新銀行東京、旧経営陣に110億円の賠償請求へ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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新銀行東京、旧経営陣に110億円の賠償請求へ

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雑感
17日8時5分産経新聞ネット記事はこう報じた。

東京都が1000億円を出資して設立し、昨年4月に400億円を追加出資して
経営再建中の新銀行東京(津島隆一代表執行役・東京都新宿区)の
経営責任をめぐり、同行は16日、不適切な融資が経営悪化を招いたとして、
仁司泰正元代表執行役(68)ら旧経営陣2人に計110億円の損害賠償を
請求する方針を固めた。
訴訟を通じ、背任罪を視野に本格的な刑事告発の検討にも入る。

弁護士らで作る外部調査委員会は同日、仁司元執行役ら旧経営陣の
「独善的な業務運営」が経営悪化を招いたとする答申をまとめ、
同行に提出した。
これを受け、新銀行は、損害賠償請求の提起で仁司元執行役らの
経営責任の明確化を図る。
また、当時の取締役に対し、経営監視に不備があったとして役員報酬の
返還を求める。

外部調査委員会は、平成17年4月の開業から18年12月までの間、旧経営陣が
適切なデフォルト(債務不履行)防止策を取らずに融資拡大路線を推し進め、
同行に多大な損失を与えた点を重視。
数ヵ月後の破綻が予測でき回収不能が明らかな企業への融資を積極的に
推奨したり、容認していたと指摘した。

また、仁司元代表ら元執行役が取締役会に対し、事実とは異なる「楽観的」な
報告を行い、正確な情報を意図的に隠蔽したとの見方を強めた。

内部調査などによると、新銀行は昨年3月末時点で融資先2300社以上が破綻、
総額約285億円が回収不能となった。
「返済が滞ってもまともに回収しない状態」(元行員)が続き、
行内のモラルハザードが蔓延していたという。
新銀行設立を主導した石原慎太郎知事は、これまで「経営者の才覚に
問題があった」などと旧経営陣の責任を繰り返し強調していた。

新銀行は昨年12月に金融庁から業務改善命令を受け、1月に全役員10人の
報酬の30%を1ヶ月減額する社内処分を明らかにした。
今月12日に発表した平成20年4〜12月期決算(非連結)では、最終損益が
73億円の赤字(前年同期赤字は89億円)だった。




ずさんな融資基準で経営破たん寸前の新銀行東京は、
とうとう元幹部に対する損害賠償請求にまで発展したようですね。

その原因がどこにあったのか究明するためには、
新銀行が自ら訴訟を提起することはいいことなのかもしれない。

訴訟の場で争われるのは、旧経営陣のずさんな融資基準を誰が主導したのか、
というところになるであろう。

朝日新聞によると、仁司元執行役は昨年の朝日新聞の取材に対して、
「「都や専門家の作った当初計画通りの展開をした」と主張。
「もともと年間経費が150億円かかる銀行規模のため、6千億円の融資残高が
ないと黒字にならない計算だった」と都が作った同行の構想に無理があった
との考えを示していた」(asahi.com17日6時1分記事)という。

仁司元執行役ら旧経営陣の暴走なのか、都の計画がずさんすぎたのか、
政治家の思惑を外れる法廷の場に、原因究明の場が移されたのは、
非常にいいことではなかろうか。

また、他人のお金だと思って、適当に使ってしまっていたのであれば、
その責任をきっちり取って頂くべきであろう。
その責任がどこにあったのかが明確にならなければ、
誰が責任を負うべきなのかはっきりしない。

仁司元執行役が主張する都の計画通りにやったのだから責任はないというのは、
経営者として会社経営を受けた以上、言い訳に過ぎないのではないか。

都の計画に無理があるのであれば、なぜそれを是正する努力をしなかったのか。
もし是正する努力をしたけれども、都議会の反対で出来なった場合や、
知事の反対で出来なかったのであれば、その責任は都議会であり、知事にあろう。

経営者である以上、従業員や顧客、株主等、関係者の利益を守るために、
体を張るべきであろう。

体を張ったけれども、都に押し切られたのか?
そういう面も多少はあるかもしれないが、それだけではあるまい。

自分たちが突き進めたビジネスモデルが失敗だったと気が付いたときに
その変更を決めるのは、経営陣の叡智ではないのか。

ウソの報告をして取締役会の判断を誤らせたのであれば、
その責任は甚大である。

トップが責任を取る社会が確立されてこそ、
下が思い切り動けるんではないでしょうか。

責任の取り方が出来ていないわが国の現状は憂うばかりである。