架構の安全性を検証しない建築家達 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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架構の安全性を検証しない建築家達

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空間の詩学
架構の安全性を検証しない建築家達

栃木県小山市に2階リビングの家を建てた。
 木造住宅で2階リビングにすると、屋根の勾配を利用した豊かな空間を演出できる。
 だから建築家達は結構好んでそんな作品を発表しているが、結構不思議な事がある。

 梁(桁)などに用いられる木材の長さは通常4mくらいだから、普通なら2間毎に繋いでゆかねばならない。だから2間毎に水平梁を渡し、そこにできた2間角を固めるために「火打梁」(梁を直角に接合する箇所に付ける斜めの材)が必要になる。

建築家の作品にはこの「火打梁」が殆どでてこない。

確かに格好が悪いから、付けたくはない。
しかし、構造計算(許容応力度計算)をすると、それでは保たないことが分かる。
さらに、構造計算では、桁(軒回りの梁)に掛かる風圧に対して、横方向の強度が足りないので「耐風梁」なるものをくっつけなければならなくなる。

建築家の作品にはこの「耐風梁」もない。

だから、とってもすっきりした素敵なデザインができる。
基準法では勿論、木造の2階建て程度の住宅で構造計算(許容応力度計算)など求めていないし、そうした部分の規定もないので、建築家は自由に架構をデザインできる。

デザイン優先で、構造の安全性を検証しなくていいなら、僕ももっと素敵なデザインができるのだが、、


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