私自身、情報交換会や経営者交流会、その他いろいろな人との交流の場に参加することがあります。ある時期は幅広くいろいろな場所に出ていましたが、最近は自分にとって好ましい場、効果的な出会いの多い場がわかってきたので、行き先は少しずつ絞られてきました。
そういう場では、多くの人との新たな出会いがありますが、当然その場限りで終わってしまう人もいますし、お付き合いが継続的につながっていく人もいます。
この境目が何なのかは、はっきり言ってよくわかりません。もちろん、話す時間が長く取れたとか、共通の話題があったとか、具体的な仕事の話ができたとか、そういう部分はありますが、それがすべてという訳でもありません。
そんな感じですから、お互いに付き合いが深まっていくと、「偶然の出会いって不思議だね」などという話になります。確かに何か一つタイミングがずれていたら、その人と出会うことがなかったかもしれませんから、そういう話もうなずけるところです。
ただ、私がよく思うのは、「偶然の出会いは本当に偶然なのか」ということです。実はそう思うようになったのは、SNS等を通じて、お互いの行動パターンや共通の知り合いといったことが、お互いにわかる機会が増えてきたからです。
一見偶然のようであっても、実は同じようなコミュニティにかかわっていたり、同じような会合に参加していたりと、出会う確率がもともと高く、出会いは単に時間の問題で、偶然というより必然だったのではないかと思うことがたくさんあります。
そう考え始めると、例えば仕事という切り口であれば、会社での上司との出会い、取引先との出会い、担当する仕事そのものとの出会いにも、一見すれば偶然と思える中に、かなりの必然が含まれているように思うのです。
いろいろな人が言いますし、私もそう思っていますが、「キャリアは運に左右される」ということがあります。
自分のキャリアについて、どんなに緻密な筋書きを作ったとしても、実際にはその時に出会う人、たまたま周りにいる人たちからの見られ方、会社業績や景気動向、市場そのものの変化、その他偶然の要素に左右される部分が多く、思った通りに行くことはそれほど多くはありません。
自分の思いより、他人から見た目の方が、本人の適性をより的確にとらえていることもあります。
そうであれば、自分で決めた道筋にこだわり過ぎるよりも、流れに乗ることや流れを活かすことを考えた方が、より良いキャリアを積むことができることになります。偶然にまかせた方が良いということです。
この考え方にはおおむね同意していますが、それでも人との出会いを見ていると、ただ偶然と思っていたことの中には、必然ということも数多く含まれているように感じます。「その仕事には出会うべくして出会った」などということが、たくさんあるのかもしれません。
どんなことでも、「ただの偶然」と思ってしまえば、そこで考えることをやめ、思考停止になってしまいますが、それでは何の蓄積もありません。
「偶然の中にある必然」を見つけようと意識することは、意外に必要ではないかと最近思っています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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