- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『自動車「ソフト化」への備えを急ごう』に関する考察
-
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
11月7日付の日経新聞に、『自動車「ソフト化」への備えを急ごう』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『自動車の開発でソフトウエアの役割が増している。環境や安全への要求が高まり、高度なソフトが必要になっているためだ。すでに高級車は旅客機を上回る量のソフトを搭載しているといわれ、さらに増えるのは確実だ。自動車メーカーや関連企業は開発体制の整備など備えを急ぐ必要がある。。。』
しょうしょう極端な言い方をしますと、顧客はパソコンに搭載されたアプリケーションソフトを使うことで、既存AV家電商品の機能・性能を1/10~1/100くらいの低価格で利用できるようになりました。
当然のごとく、顧客は低価格で使い勝手の良いパソコンや搭載されたアプリケーションソフトを使うようになり、国内AV家電商品の売上は激減しました。
しかも、当時の国内家電メーカーには、ソフトウエアエンジニアの数が少なく、このようなインターネットやソフトウェアの重要性などについても、あまり認識されていませんでした。
ハードウェアとしてのAV家電商品の魅力を、得意なモノづくりに頼っている企業もありました。
ソフトウエアの重要性に気が付いた企業の中でも、どちらかというと、多くの国内家電メーカーは、ソフトウエアの内製化に注力せず、アプリケーションソフトを受託で開発・実用化する外部のITベンダーを活用する傾向がありました。
私は、その当時仕事がら、アップル、デル、マイクロソフト、アドビシステムズ、SGI、HP、シスコシステムズなどのIT関連企業との連携・協業(アライアンス)やM&A関連の交渉を行うため、ひんぱんにこれらの企業を訪問して打合せを行っていました。
どの企業も、例外なく、ソフトウエア開発先行型の開発・実用化・事業化の体制を取っており、自社の社内環境の大きな違いを感じていました。
ITベンダーのソフトウエアの開発・実用化の速度が速く、当時、アナログ技術に頼った商品の開発・実用化では、まったく太刀打ちできませんでした。
現在、自動車産業は、電動化と自動運転化という大きな変化の波をかぶりつつあります。
電動化が、欧州や中国で進められている電気自動車(EV)の開発・実用化に結び付くと、現在のガソリンエンジン車の需要の多くが、EVにシフトします。
EVに搭載する電池性能が年々向上していますので、そう遠くない将来、1回の充電で走行するEVの距離が長くなり、ガソリンエンジン車並みになる可能性があります。
そのとき、自動車は、しょうしょう極端に言いますと、ガソリンエンジン車の開発・実用化能力やノウハウが無い企業でも、EVを商品化できます。
また、自動車の自動運転車の開発・実用化は、年々加速していますので、人工知能(AI)・IoT対応を徹底的に行うことで、より安全なレベル3もしくはレベル4の自動運転車が商品化されるようになります。
つまり、自動運転機能付のEVは、米グーグルが開発・実用化を進めている、動く電子端末機器的なものになります。
この動く電子端末機器の付加価値は、搭載されているOSやアプリケーションソフト、インターネットでつながったWebサイトやSNSなどとのつながり方で決まることになります。
現在、多くの国内自動車メーカーが自動車の付加価値を算出している、強みの出し方がまったく通用しない状況になります。
これは、かって国内AV家電商品のメーカーが、直面したものと同じです。
トヨタ自動車は、このリスクを理解していると考えています。このため、トヨタは、巨額投資を行って米国のシリコンバレーに大型のIT研究拠点を行って設けたり、海外AIベンチャーへの出資やM&A(買収)を行っています。
トヨタは、国内でもpfnなどのようなAI・ソフトウエアベンチャーに巨額出資を行って、連携・協業(アライアンス)を積極的に行っています。
私は、このようなトヨタの動きが、商品力のある自動運転機能付EVの開発・実用化に結び付くことを、大いに期待します。
トヨタがこのことを成功させるためには、自社およびグループ内のソフトウエア開発力を強化しつつ、不足する部分を他社との連携・協業(アライアンス)、オープンイノベーションのやり方で、巧みに保管・強化するやり方が必要であり、重要になります。
国内メーカーが、国内外の市場で、競争力を維持強化するためには、多くの場面でソフトウエアを使いこなすことが必要になります。
このときに、上記する他社との連携・協業(アライアンス)の実行がポイントになります。
多くの場合、国内メーカーは、ITベンダーやITベンチャーとの間で、連携・協業(アライアンス)を組むことになります。
このときに、可能な限り、メーカーは一定規模のソフトウエア開発力をもっていることが望ましいです。
私の経験では、すべてのソフトウエアの開発・実用化を外部のITベンダーに頼った形では、当該メーカー商品に真の競争力をもてないケースがありました。
理想は、自社に競争力の源泉となるソフトウエアの開発・実用化を行える上で、より一層の競争力や多機能などを実現するために、他社との連携・協業(アライアンス)を組むことです。
今後、多くのメーカーは、ソフトウエア開発力をもつ必要があります。このため、自社の技術者の再教育やソフトウエアエンジニアの獲得、独立したフリーランスのソフトウエアエンジニアやITベンダー・ITベンチャーとの連携・協業(アライアンス)などを、巧みに行っていく知恵が求められます。
また、ソフトウエアエンジニアのモチベーションを高めるやり方の一つとして、高い専門的な知識や知見・ノウハウをを評価して、高度専門職として、年齢や社歴に関係なく、一定程度の高い賃金を支払うやり方が有効になります。
この他にも、ソフトウエアエンジニアのモチベーションを高めるために、最新技術を取り入れて、エンジニアの能力を向上させながら、自社の事業基盤を強化していくポジティブサイクルを実現するやり方も有効になります。
私の支援先企業の中には、このやり方を取り入れて、自社内にコア技術をもつソフトウエアエンジニアの確保しているところがあります。
多くの国内企業は、中小といえども、ソフトウエア開発力の重要性と必要性を正しく理解して、自社の事業環境にマッチした形で、当該技術の維持強化を実現することが重要です。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
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