- 増岡 健司
- 医療法人社団 MEDIQOL 理事長 歯科医師
- 東京都
- 歯科医師
対象:一般歯科・歯の治療
急に歯が痛み出して、治療をするのに麻酔をしたのに治療がとても痛かったということを経験したり、聞いたことはありませんか?
意外としらない方が多いのですが、歯の麻酔は歯に直接するのではなく、周りの歯肉や粘膜にします。周りから少しずつ浸透させて歯に麻酔をするので浸潤麻酔という呼び方をします。
麻酔が効きにくい状況には次のようなことが考えられます。
1、炎症(痛み)が強い時
周囲の組織に強い炎症があると、麻酔液の浸透をブロックしてしまい、麻酔が効きにくくなる。
2、膿が溜まっている時
膿には麻酔の効果を弱める作用があるため麻酔が効きにくくなる。
3、下の奥歯
周りの骨が固くて密なため、麻酔液が歯の根元に染み込みにくいことがある。
●麻酔が効きにくい場合の対処
麻酔があまり効いていなければ、その旨を伝えるようにしましょう。その場合、次のような対処をします。
1、麻酔の追加をする。
2、虫歯の穴の中の神経に直接麻酔を打つ。瞬間的に痛むが、すぐに楽になる。
3、治療を中断して薬を処方する。(炎症を止める)
4、少し時間をあける。(だんだん麻酔が効いてくる場合があるため)
●無痛治療って何?
痛みの感じ方は人それぞれです。本当に痛む場合と、痛くされるのではないかという恐怖心から敏感になってしまう場合があります。
いくら麻酔や治療法に工夫をしても痛みを感じてしまう方はいらっしゃいます。逆に信頼した人の治療だと、少しぐらい痛くても我慢できる場合もあります。
まずは信頼関係を築き、安心して治療を受けるということが無痛への第一歩です。信頼関係を築くためには、治療について疑問に思うことがあれば、納得いくまで相談しましょう。どんな治療を受け
るのか、きちんと把握することは安心感に繋がります。
●無痛治療の種類
実際には無痛治療と称して次のような治療が行われています。
1、注射の麻酔
・針を極細、または電動注射器などで麻酔液の注入をコントロールする。
・麻酔液を体温に温めて温度差による刺激を少なくする。
・表面麻酔(塗り薬)を塗って、針を刺すところの痛みを軽減する。
・麻酔ではありませんが、不安な気持ちをリラックスさせる意味で、笑気吸入鎮静法や静脈内鎮 静法(精神安定剤含有点滴)などを用いることもある。
・全身麻酔を応用することもある。
2、レーザー
・虫歯を蒸発させる。(極浅い場合)
3、エアーアブレーション
・微細な粉を噴出して虫歯を削る。
4、カリソルブ
・薬で虫歯を溶かす。(極浅い場合)
いずれにしても、極浅い虫歯などの場合には無痛治療の選択肢も多く、重症になればやはり注射の麻酔が有効であると言えます。痛みに弱い方は、できるだけ早期に治療を受けた方が無痛で済むということになりますので、早めの受診を心がけてください。