- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
「留学」しても「英語」は自動的に出来るようにはなりませんよ。
日本で自分の脳に叩き込んだ英語文法の基本と、自分の意見を論理的に作れる能力のある人のみが「留学」の恩恵を享受出来ます。
昨今流行りの「日本式留学」は「英語のしゃべれない日本人」という情けない評判を世界に撒き散らしているだけ。
これが現実です。
【質問】
生きた英語を学ぶ為に留学するって聞きますけど、やっぱり日本の学校の義務教育だけじゃ英語は上達しないですか?
英語圏に留学経験のない人が、留学経験のある人より英語が流暢に話せることはありますか? 僕は留学に憧れているんですが、家が貧乏なので留学出来る人が凄く羨ましいです。
【回答】
「留学」=「英語が出来るようになる」という公式は存在しません。
大丈夫。 留学などしなくても「日本の学校の義務教育及び、高校で学ぶ文法の基本」が確実に理解できていれば「英語は出来るように」なります。
逆に、日本の学校で学ぶ英語の基礎も身についてない日本人が「留学」しても「英語力」の上達は望めません。
家を建てるのに、しっかりした基礎工事も何もなしでやみくもに柱を打ち込むようなものです。
グラグラして立つことすら出来ないですからね。
今流行りの「高校からの1年体験カナダ」「大学からの語学遊学」でたくさんの日本人がカナダにやって来ますが、英語力の低さはこちらが恥ずかしくなるほどです。
結果、やっとひとりで買い物が出来る程度の英語力(or 英語非力?)で帰国していきます。
「留学」で本当に英語運用能力がつき、仕事にも問題なく使えるレベルになる日本人が非常に少ないのには大きな理由があります。
1.英語は「単語」「フレーズ」を並べたらいいだけと思い込んでいる。
英語はIdea を形にする言語です。
クリティカル・シンキング(論理的・客観的・科学的・批判的思考方)に基づき、英語言語を効果的に使い、自分固有のIdeaを表現するのが英語です。
それが理解出来ない日本人が何年カナダにいても、英語で話が出来、まともに相手にされるようにはなりません。
「英語のしゃべれない日本人」というニックネームのまま帰国します。
2.英語文法と日本語文法の最大の違いを認識せずに、ただ「名詞」だけを声にすることしか出来ない。
英語には絶対「主語」+「動詞」の文法が必要です。
大学のエッセイにも、日々のコンビニでの会話も同じです。
しかも、その「動詞」を「主語」に合わせて正しい形で使うことが必須です。
それが出来ない限り、周りの誰もわかってくれません。
またしても「英語のしゃべれない日本人」のニックネームがぴったりの存在にしかなれません。
対照的に、日本語はほとんどの場合「主語」は省略されます。
「学校に行きました。」
「主語がありません。
日本人の脳には「主語」という概念が非常に薄いので、その後に来るべき「動詞」(例:行きました)もすぐには声に出来ません。
結局、声に出せるのは “school”だけというお粗末極まりないことになります。
このように意味不明の「名詞」を突発的に発して「英語をしゃべった気になっている」のが「留学」しても何の効果もない「英語のしゃべれない日本人」です。
では、「留学」で「英語能力が上がる」ための条件は:
1.日本で習った英語の基礎、特に文法の基礎が確立していること
前述の「主語」+「動詞」の重要性を確実に理解しておくことが必須です。
もちろん、「動詞」の時制も理解が必要です。
英語の時制を理解しないままでは、エッセイすら書けません。
2.世界を知り、様々な出来事に対して論理的・客観的な意見を持つ訓練が出来ていること
これは、まず母国語である日本語で出来るようになる必要があります。
論理的・客観的に意見を組み立てることは、脳の抽象的な部位を活用します。
いきなり外国語でその抽象的な部位を使うのは不可能に近いです。
日本語で抽象的な概念を言葉に出来るようになると、外国語である英語理解が進むに連れ、その脳の部位が「英語」にも反応出来るようになります。
日本での何の基礎もなく、ただ憧れで留学した日本人のほぼ大多数は、母国語の日本語ですら論理的・客観的な分析能力がありません。
もともとないものを、いくら英語の単語を覚えても、掘り出すことは不可能です。
家の基礎になる土台も柱もないのに、屋根をつけようとするのと同じです。
私自身は、現在カナダ・アルバータ州エドモントン在住、日本とカナダをむすぶオンラインコースのAdministratorです。
BC州バンクーバーでも1994〜2004年の間、International Program を主催していました。
学生時代、留学などは超お金持ちしか出来ない時世でしたので、出来る限りの努力を日本で行いました。
その後は、縁あってアメリカのタイム誌で勤務。 退社後は起業し、日本とカナダで事業を始めました。
現在は日本語と英語のバイリンガルです。
確かに、カナダでの経験は大きなプラスではありますが、最初に日本で身に付けた英語の基本が大きな力であったことには間違いありませんね。
日本で出来ることを自分の力の限り頑張って下さい。
確固とした英語の基礎と、自分の意見を組み立てる能力さえあれば、将来きっと英語圏で経験を積む機会を捕まえることが出来るはずですよ。
Good Luck!!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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