日経記事;『次世代電池へ日本連合 「全固体」を開発 トヨタ・NEDOなど』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『次世代電池へ日本連合 「全固体」を開発 トヨタ・NEDOなど』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. アライアンス・事業提携
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

6月16日付の日経新聞に、『次世代電池へ日本連合 「全固体」を開発 トヨタ・NEDOなど』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は15日、トヨタ自動車やパナソニックなどと高効率な次世代電池とされる「全固体電池」の基盤技術の開発を始めると発表した。2022年度までの技術確立を目指す。

電気自動車(EV)に使うリチウムイオン電池では中国勢に追い抜かれた。「オールジャパン」で開発に取り組み、電池産業の復権を目指す。

既にNEDOは全固体電池の研究を素材メーカーを中心に進めていた。15日発足した新たなプロジェクトではトヨタや日産自動車、ホンダなど自動車メーカーも加わり、総勢23社で活動する。EVへの搭載や量産も視野に入れた研究をする。

リチウムイオン電池は主要部材に液体の電解質を使うが、航続距離やコスト面での課題が多い。全固体は固体を使うため液漏れの心配がなく安全性が高まるほか、出力も高くなる。小型化しやすく設計の自由度も増す。

プロジェクトでは22年度までの活動を通じて全固体電池の基盤技術の確立を目指す。30年ごろには電池パックのコストを1キロワット時あたりで現在のリチウムイオン電池の3分の1となる1万円台とし、急速充電にかかる時間も3分の1の10分を目指す。

車載電池の開発では国をあげた体制づくりが重要。中国では政府の後押しを受けた電池メーカーが急成長を遂げている。調査会社のテクノ・システム・リサーチによれば車載用リチウムイオン電池の世界シェアで長らく首位だったパナソニックの世界シェアは14年の44%から18年見通しで16%に落ち込み、寧徳時代新能源科技(CATL)が首位だ。

全固体電池は電解質の材料を世界に先駆けて開発するなど日本にまだ一日の長がある。NEDOの細井敬プロジェクトマネージャーも「全固体電池の特許の半数は日本が出願している」と強調。

トヨタなどの参画を得て巻き返す構えだ。パナソニックの藤井映志資源・エネルギー研究所長は「電池メーカーとして全固体電池でも海外勢に絶対負けられない」と強調した。

開発のリード役になるのはトヨタだ。同社は全固体電池について、20年代前半の実用化を目指す。トヨタは全固体電池の特許出願件数で世界トップ。開発に携わる人員は300人前後と昨秋に比べて5割増とした。

15日に会見したトヨタの電池材料技術・研究部の射場英紀担当部長は「大きなブレークスルーを得て、何が何でも実用化したい」と強調した。

豊富な資金と人材を抱える中国勢にどう先んじるか。半導体や液晶パネルなどで追い越された教訓を踏まえ、スピードをあげて開発を進めることが重要になる。』

本日の記事は、NEDOがパナソニックやトヨタ自動車などの国内関連企業と、次世代電池の一つである全固体電池の開発・実用化を国家プロジェクトとして進めることについて書いています。

電池メーカーとユーバー企業が一つのプロジェクトチームを構成することは、開発・実用化を進める上で大きな効果を発揮します。

全固体電池は、現在の主力電池であるリチウムイオン電池に比べて下記の特徴をもっています。

・全固体電池は、電解液でなく無機系の固体電解質を使用するため、発火の危険性が非常に小さくなり、安全性がリチウムイオン電池よりも高くなる。

・固体なら積層が可能なので、エネルギー密度を既存のリチウムイオン電池よりもさらに高めることで、充電をリチウムイオン電池より短時間で行える。

・全固体電池は、-30℃~100℃でも安定した性能を発揮できる。

・全固体電池は、電解液を使用していないためケースの中で直列にすることも可能であり、使用する上での設計の自由度が高い。

・全固体電池は、リチウムイオン電池と比べて、劣化しにくい。など

このように、全固体電池は、リチウムイオン電池と比べて優位性をもっています。

現時点では、次世代環境対応車は、燃料電池車(FCV)ではなく、電気自動車(EV)になる可能性が高くなっています。

本日の日経新聞に、『燃料電池車 日産、ダイムラーなどとの商用化凍結』のタイトルで記事が掲載されました。

主な内容は、以下の通りです。

『日産自動車と仏ルノーの企業連合は、独ダイムラーや米フォード・モーターと共同開発する燃料電池車(FCV)の商用化を凍結する方針を固めた。今後、電気自動車(EV)に経営資源を集める。次世代エコカーの開発費は巨額で複数技術を同時に手がけるのは難しい。大手の一角である日産・ルノーがEV集中を鮮明にすることで他社も追随し、FCVの普及が遅れる可能性がある。

3者陣営は2013年にFCVの共同開発で提携。早ければ17年にも価格を抑えた量販車を発売する計画でシステムや部品の規格を統一しコスト削減を目指していた。

世界最大の自動車市場である中国が19年からEVの製造・販売をメーカーに義務付けるなど、普及を後押しする動きが広がる。このため3者陣営はFCVの商用化計画を凍結し投資や技術者をEVの開発に集中させる。。。』

トヨタは、FCVの開発・実用化で、他の自動車メーカーより先行しています。ガソリン車並みの航続距離や、3分程度の充填時間で済むことから、ガソリンエンジン車並の性能をもっています。

しかし、FCVの普及は、車両自体のコストの高さや、高額投資を必要とする水素スタンドなどのインフラ整備が大幅に遅れており、当面の間、普及する事業環境になっていません。

トヨタは、FCVの開発・実用化を進めながら、EVの開発・実用化も並行して行う必要があります。

もちろん、日産のように、一旦FCVの開発・実用化を凍結するやり方もあります。EVの米ベンチャー「テスラモーターズ」のCEOは、次世代環境対応車は、FCVではなく、EVであると言い切っています。

EVの性能を左右するのは、言うまでもなく電池です。現在の主力電池は、リチウムイオン電池です。

この分野では、残念ながら、中国企業が中国政府の大きな支援効果もあり、パナソニックを抜いて、世界市場でトップになっています。

NEDOは、上記するように様々なメリットがある全固体電池を自動車用途に開発・実用化するプロジェクトを、国家レベルで進めます。

自動車産業は、日本経済を支える最重要な事業分野の一つです。NEDOが、パナソニックやトヨタなどの関連企業と組んで、国家プロジェクトとして、全固体電池の開発・実用化を進めることは極めて重要であり、合理的です。

このプロジェクトには、日産やホンダも参加します。電池性能を左右する素材分野では、国内企業が強みをもっています。

NEDOの全固体電池の開発・実用化に関する下記Webサイトをみますと、下記国内企業が本プロジェクトに参加します。
トヨタ自動車(株)、日産自動車(株)、(株)本田技術研究所、パナソニック(株)、(株)GSユアサ、日立オートモティブシステムズ(株)、マクセル(株)、(株)村田製作所、ヤマハ発動機(株)、旭化成(株)、JSR(株)、住友金属鉱山(株)、大日本印刷(株)、凸版印刷(株)、東レ(株)、(株)日本触媒、富士フイルム(株)、三井化学(株)、三菱ケミカル(株)、(株)クラレ、日産化学工業(株)、出光興産(株)、三井金属鉱業(株)の23社
URL; http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100968.html

NEDOが上記23社と連携・協業(アライアンス)を組んで、高効率な事業運営を行うことで、全固体電池の開発・実用化を進めて、目標とする2022年までに技術確立を実現することを大いに期待します。

トヨタ、日産、ホンダの国内自動車メーカーが、全固体電池を搭載した次世代EVで、世界市場の勝ち組になることと、パナソニック、GSユアサなどの電池関連企業も世界市場で大きな収益確保・拡大を実現することについて期待します。

この視点から、今後の全固体電池の開発・実用化に関する国家プロジェクトの動向に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム