日経記事;『自動運転で移動コンビニ トヨタ、セブンと開発交渉』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『自動運転で移動コンビニ トヨタ、セブンと開発交渉』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
6月9日付の日経新聞に、『自動運転で移動コンビニ トヨタ、セブンと開発交渉』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『トヨタ自動車は自動運転車両を使った新サービスを、ヤマトホールディングス(HD)やセブン―イレブン・ジャパンと共同で開発する協議を始めた。自動で移動するコンビニエンスストアへの活用などを検討する。

自動運転技術が浸透すれば新サービスが生まれる可能性が高まる。車メーカーが外部企業と協力する動きが広がってきた。

自動運転技術を使う商用向け電気自動車(EV)のサービスをトヨタは「イー・パレット」と呼んでいる。米国で1月、大きさが違う3種類の箱型のEVが、人や物を自動で運んだり、移動型店舗になったりする構想を発表していた。

トヨタは日本で協力相手を探し、セブン―イレブンと協議し始めている。「移動コンビニ」としてEVに商品を積んで決まった地点まで出向くか、消費者が車両を止めて買い物できるようにする構想がある。

ヤマトとは短距離の配送拠点間の荷物を無人EVで運び、家庭まではロボットの配送車両などを使って届ける仕組みを検討している。今後、実証実験の時期を調整する。

新たなモビリティー(移動手段)サービスを試す動きが世界中で広がっている。スマートフォンの浸透で、車の位置情報を共有できるようになりライドシェア(相乗り)が世界で普及した。自動運転が浸透すればサービスはさらに増え便利になるとみられている。

トヨタは米スターバックスとも移動カフェで協力したい考え。豊田自動織機と無人の移動ロッカーを使って家庭に荷物を届けるサービスの構想もある。EVの仕様は各社と共同で決める。新たな提携先とは国内中心に事業を進めるもようだ。

トヨタが進めるイー・パレットはEVの供給だけでなく安全な制御や保険、決済、メンテナンスなどのサービス創出が狙い。車両をリースしたり、提携先に複合サービスを提供したりするモデルの構築を目指す。

米国では、先に提携したアマゾン・ドット・コムや中国の滴滴出行、マツダ、ウーバーテクノロジーズ、ピザハットの5社と共同の実証実験を2020年代前半に始める予定。エリア限定で完全自動運転ができる「レベル4」の技術の搭載を想定している。』

本日の記事は、トヨタ自動車が現在の自動車メーカーとしてもっているビジネスモデルに変更を具体的に行い始めた兆候であることを示唆しています。

現在の自動車メーカーのビジネスモデルは、高効率・高性能のガソリンエンジン車を開発・実用化して、自動車本体で差別化・差異化を実現することで、売上・収益を拡大してきました。

しかし、自動運転機能付EVの開発・実用化が、世界各地で急速に進んでおり、2020年前後には、これらの自動車が市場に導入されます。

米国市場で、自動運転機能付EVの開発・実用化で、主導権を取っている企業の一つが、米大手ITベンダーのグーグルです。

グーグルは、自動運転機能付EVの開発・実用化を行っていますが、トヨタやGMなどの自動車メーカーになる意図はもっていません。

グーグルは、自動運転車をIoT対応した動くインターネット端末機器としてとらえています。

完全自動運転車が実用化されると、自動車を利用する人は、車内でインターネット活用して、検索や買物、音楽や映画などの鑑賞を楽しみます。

グーグルは、完全自動運転車を実用化することで、自らのインターネット検索の出口端末を増やして、広告宣伝収入を拡大することが可能になります。

当然のごとく、アマゾンやアップルなどの他の大手ITベンダーも、何らかの形で自動運転車市場に参入してきます。

自動運転機能付EVの開発・実用化は、既存自動車メーカーの開発・実用化ノウハウをそれほど必要としません。

さらに、グーグルは、自前で自動車工場を持たず、自動本体を自動車メーカーから調達するやり方を取ります。

グーグルの強みは、人工知能(AI)・IoT対応と、利用可能なアプリケーションソフトなどで実現します。

このビジネスモデルは、アップルiPhoneなどの事業化で実現しました。アップルの力の源泉は、デザイン、商品企画、開発・実用化能力、アプリケーションソフトにあります。アップルは、現時点ではハードウェアの製造工場を持たないファブレス企業です。

グーグルもアップルと同じように、自動車工場を持たないファブレス企業となります。同時に、両社は、検索エンジンやiPhoneなどを事業基盤とする強力なプラットフォマーです。

自動運転機能付EVは、自動車を所有するから、いつでも使いたいときに活用する移動手段に変えるとみなされています。

代表的な事例が、米ウーバーテクノロジーズなどが手掛けているライドシェアビジネスです。独ダイムラーや米GMなども積極的に事業化を進めています。

このように、トヨタを取り巻く事業環境は、急速に変化しています。何度か本ブログ・コラムで書いていますように、トヨタは、オープンイノベーションのやり方を積極的に採用して、近々に起こる大きな地殻変動を乗り切ろうとしています。

自動運転機能付EVの市場投入後に、ライドシェアが大きなウエイトを占めるようになると、自動車の販売台数は落込みます。

また、自動車単体での差別化・差異化を実現することは、今より難しくなる可能性があります。

本日の記事は、トヨタがこのような事業環境の変化を見据えて、自動車単体の販売から収益確保・拡大を図るビジネスモデルから、各種自動運転車に関わる事業分野で安定的に収益確保・拡大を実現するプラットフォーマになるための布石をうっていることを示しています。

トヨタのこのやり方が、ここ2~3年の間でどのような事業に進化していくのか、注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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