日経記事;『真相深層EVシフト 素材駆け込む 車メーカー、軽量・耐熱化急ぐ』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『真相深層EVシフト 素材駆け込む 車メーカー、軽量・耐熱化急ぐ』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

5月12日付の日経新聞に、『真相深層EVシフト 素材駆け込む 車メーカー、軽量・耐熱化急ぐ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『電気自動車(EV)シフトなど自動車産業が転機を迎えるなか、自動車大手と素材メーカーの関係が変わりつつある。

次世代技術を組み込んだ車体設計は素材の加工や成形まで含めた改良が不可欠で、自動車各社が素材メーカーに日参するケースが増えてきた。長く自動車メーカーの「下請け」に甘んじてきた素材業界は千載一遇のチャンスと捉える。

埼玉県朝霞市の住宅が点在する一角に、自動車の設計開発や金型を手がける名門が本社を構える。三井化学が1月、300億円を投じて買収したアークだ。ここにホンダの経営幹部がお忍びで通う。

室内の階下に広がる高天井の広いスペースでホンダ車は産声を上げる。アークは持ち込まれた新車のデザイン案から、赤茶色の粘土を三日三晩で削り実物大のクルマに仕上げる。

ドイツには1000人規模のエンジニア集団を抱え、車体や部材に伝わる熱や振動、光の反射などを緻密にシミュレーション、設計に落とし込む。

独BMWなどからも車体設計の受注が舞い込む。EVや次世代ハイブリッド車(HV)、自動運転など様変わりするなか、アークはゼロから自動車を構想する伴走者だ。

この名門を畑違いの三井化学が買収したのは、「もはや素材を売るだけでは生き残れない」(同社の淡輪敏社長)からだ。

同社はバンパーなどに使う樹脂を手掛けるが、できる材料は他社と似たり寄ったり。自動車部品メーカーからの受注を待つだけでは他社とのコスト競争に陥る。

そこでアークを通し「クルマづくりの最上流にアクセスする」(三井化学の下郡孝義取締役)ことができれば、将来の自動車を先取りした材料開発で競合を出し抜ける。これが三井化学の野心だ。

「先端素材を使った部品設計や加工ノウハウをぜひ教えてほしい」。昨年来、大手自動車メーカーの開発担当者らが、名古屋市の東レの自動車材料開発拠点に足しげく通うようになった。自動車大手が自ら東レの門をたたくのは極めて異例だ。

樹脂、炭素繊維、フィルム――。東レは軽量化や電装化を進める自動車メーカーに対し、多種多様な素材をそろえストライクゾーンが広い。「炭素繊維で部品加工が難しければ樹脂で」「金属を軽量な積層フィルムで代替を」。こんな対応はお手の物だ。

なかでも自動車大手が視線を注ぐのが、世界首位のポリフェニレンサルファイド(PPS)。軽さはもちろん、耐熱性が200度以上ある。

リチウムイオン電池や電装品など各所が熱を帯びるEVに適している。モーターコイルを束ねるワイヤや絶縁材、電動装置のフィルムに引っ張りだこだ。

PPSはガソリン車1台当たり平均900グラムほど使われるが重量が重いEVやHVでは2~3キログラム使われる。

頼られる存在に

「車メーカーは素材から見直して作り込もうとしている。我々は頼られる存在だ」。東レの石野裕喜夫・自動車材料戦略推進室長は自信を示す。

「これは立派ですね」。昨年、トヨタ自動車の開発担当者らの前で披露されたEVのコンセプトカー。手掛けたのは旭化成だ。高機能樹脂や半導体など同社の27品目もの技術、素材が詰め込まれたEVにトヨタの開発陣は目を見張った。

材料だけではない。無意識の状態でドライバーの脈波を検出できる非接触のセンシングシステム、車内の空気環境を感知するセンサー――。小堀秀毅社長も「どんな部品にどんな材料が適しているか、成形ノウハウも含め我々に一日の長がある」と明かす。

化学産業では米ダウ・デュポンなど巨大再編が自動車産業に影響を与えようとする。独BASFもEVの先進地である欧州と中国で勢いを増す。

日本勢は規模ではなく抜きんでた技術力で欧米勢に対抗してきた。だが人工知能(AI)で素材開発ができるようになり、独創性が陳腐化する恐れもある。下請けを超えて次世代車を巡る新たな素材間競争に挑まなければ世界で勝てない。』

本日の記事は、EV、HV、燃料電池車などの次世代自動車に使用される、新素材について書いています。

素材産業は、日本が伝統的に強みを発揮する事業分野です。たとえば、多くの飛行機に使用されている炭素繊維は、発明企業は米国のメーカーであったが、開発・実用化を進めたのは、国内大手メーカーです。

米国メーカーは、開発・実用化の段階で、製造のやり方の複雑さや、高コストを要したことから早々に、事業化を諦めてしまいました。

これに対して、東レ、帝人、三菱マテリアルなどの国内素材メーカーは、10年以上の長期間、コツコツと炭素繊維の開発・実用化を進めてきた結果、事業化を達成できました。

東レが開発・実用化した炭素繊維は、最新の飛行機の素材に多く使われています。最近、次世代自動車にも使用される機会が増えています。

EV、HV、燃料電池車は、今後、自動運転機能付の前提で開発・実用化されていきますので、高効率性と高安全性が同時に要求されます。

この高効率性と高安全性の両方の要求を満たす次世代自動車を開発・実用化するには、新素材の開発・実用化を行う必要があります。

本日の記事は、この新素材の開発・実用化を、使用者側の、たとえば自動車メーカーと、素材メーカーが、イコールパートナーシップで行っていく動きについて書いています。

このような動きは、一般的に国内では今までありませんでした。

自動運転機能付EVの開発・実用化は、トヨタや独フォルクスワーゲンなどの既存自動車メーカーだけでなく、米大手ITベンダーのグーグル、アップル、アマゾンなどの新規参入企業との、激しい競争が待ち受けています。

これらの米大手ITベンダーは、他社とのオープンイノベーションのやり方を徹底的に取り入れたオープンイノベーションのやり方で、新規事業立上を行ってきました。

同時に、これらの企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。

何度か本ブログ・コラムで書いていいますように、トヨタ自動車は、次世代自動車の開発・実用化を進める上で、これらの競合相手と戦い、世界市場で勝ち組になる必要があります。

したがって、必然的に次世代自動車の開発・実用化を進める上で、素材メーカーと、イコールパートナーシップで、オープンイノベーションのやり方を徹底的に取り入れて実施することは、必然になります。

従来のように、自動車などのセットメーカーから、素材メーカーに情報や注文が流れる、上流から下流のビジネスモデルが変質していくことは、確実です。

大手セットメーカーと大手素材メーカーの水平分業方式で行う開発・実用化の進め方は、ベンチャーや中小企業にも大いに参考になります。

この視点から、素材メーカーとセットメーカーの、オープンイノベーションのやり方について、今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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