母のなかに『愛の種』を見出すと、真実のパートナーシップが現れる!
-
さいきん「婚学」という言葉があるのを初めて知りました。
「結婚とはなにか」を学問として教えている先生がいるというのです。
あなたはどんな人生を送りたいのか?
若い人たちがライフデザインを思い描くためのデータを提供し、自分の頭で考えさせる。
そのうえで、「不幸せにならない力を身につけてもらう」。
調べてみたら、それが「婚学」のコンセプトでした。
「いい人が現れたら、いつかは結婚したい。」
漠然とそう考え、独身のまま高齢を迎える男女は多いと聴きます。
また、仕事に熱心な余り、気がついたら子どもが持てない年齢になっていた。
そういう女性の声もよく聞きます。
それは悲劇ですし、失敗感の残る人生かもしれません。
後悔先に立たず、です。
ですが、データをいくら集めて分析してみても、結婚とはなにかを学んだとしても、ままならいのが人の心や、愛というものです。
「愛に飛びこむには勇気が必要だ」とアドラーは述べました。
愛という深淵を前に佇む人は、愛されないことを恐れているように思えるが、実は「愛することを恐れているのだ」と喝破したのはフロムでした。
「婚学」の先生や学生たちにも教えたいな、と思えた一冊の本と出会いました。
栗原弘美さんの『女子の最強幸福論』という本です。
著者は、数多くのクライアントやセミナー受講者の問題を解決してきたベテランの心理トレーナーで、アジアを中心に海外でも活躍されている方です。
教えられることが多く、婚活中の皆さんが読んでくれたら、前に進む力になるなと思いながら読んでいました。
男性の皆さんにも、既婚者にもお薦めです。
女性が心の底で本当に求めていることはなにか?
女性自身でさえ知らないことがいっぱい、わかりやすく書かれています。
題名の「最強の」という形容詞には、少し注釈がいるかもしれません。
実はわたし、会員でない独身の方から結婚について相談されると、どう答えていいのか迷っていました。
結婚がすべてではないし、今のご時勢、結婚を選ばない人生だって全然アリだからです。
「絶対結婚したほうが良いですよ。」なんて口が裂けても言えません。
2人で成熟したパートナーシップを創り上げていく。
実はそれが結婚の中身、ビジョンです。
結婚自体は2人の約束とか誓いであり、社会的な制度に過ぎません。
「どんな相手とでも幸せになる力」
「自分も相手も幸せにできる力」
それこそが、成熟したパートナーシップの力だと、本書は教えてくれます。
もしももう一度生まれてきて、また結婚するか? と誰かに聞かれたとしたら、
「わたしなら結婚するな!」
こういう言い方で良いんだと思います。
成熟した男女のあり方、パートナーシップの処方箋を手にした今なら、そう言える自分がいます。
人の心の成長には、社会的な自立を果たしたその先に、「パートナーシップ」という段階があると著者はいいます。
結婚という半ば永続的な愛の本質がそこにあります。
すこし長いですが、引用してみますね。
>>
自分と相手とで、手と手を取り合って助け合い、ともに人生の喜びや幸せを享受できる段階です。
1人で生きているよりも、より軽やかで人生に新たな彩りを感じられる領域です。
健全に自立して、さらにパートナーシップの段階に進むためには、今の自分が気づいていない、子ども時代の「依存のやり残し」を知っていく必要があります。
それは、今のあなたの「感情に対する認識度」と「女性性の成熟度具合」に表れています。
未消化だった「依存」が十分に満たされると、感情と女性性が成熟し、健全な男性性と女性性を発揮することで相手とつながり、幸せなパートナーシップが築けるようになります。
「依存のやり残し」ですか。
思い当たるものがいっぱいありそうです。
依存と自立と、パートナーシップ、それから感情と、女性性と男性性。
そこには人としての「成熟」が関係している。
婚活に絞って内容をおさらいしてみますね。
たとえば、「パートナーができない女性」にはこんな特徴(拘り)がありそうです。
・過去の男性への未練や感情
・両親から引き継いだパターン
・1人でいることの自由さ
・人に頼るのが苦手
・セルフイメージに固執する
いずれも「結婚したいのに、できない」状況を作り出してしまう拘りです。
心理学用語は使わず、わかりやすい言葉で、問題を丁寧に紐解いていきます。
圧巻は、実際の13人の女性のカウンセリング事例。
対話形式で圧縮されて、核心部分が再現されています。
テーマは、
・出会いがない
・好きな人にはフラれ、好きでない人から告られる
・口説かれるのに、なぜかフラれてしまう
・好きになるのは既婚者ばかり
・ダメ男を好きになってしまう
・「長すぎた春」から卒業できない
他にも、「婚活アルアル」的な事例を紹介してみると、
「交際相手が好きになれない」
「一瞬好きになっても、関係が続かない」
「本音が言えない」
「セクシャリティへの怖れ」
「結婚か仕事か悩む」
「価値観や生活感のすれ違いで、よくケンカしてしまう」
などなど、いろいろなケースに応用できそうです。
陥りがちな自分のワナを知り、解決する処方箋を実践してみる必要がありそうです。
既婚者へのアドバイスからも、深く学べそうです。
結婚生活で起きがちな問題を先取りして、対処法を学んでおくのは、自信につながります。
愛を前に佇んでいる方にも、飛び込んではみたものの、なかなか実を結ばない方にも、結婚に対する自分なりのビジョンを思い描き考えるヒントと勇気をくれます。
そして、本書の核心というか、著者の真骨頂は、実は終わりの章にあります。
多くの方の悩みや問題と関わる中で培われてきたであろう、「哲学」がシンプルに語られていて、説得力があります。
「男性に心から愛される秘訣」
(わたし的には、ここが目からウロコでした。)
・私たちは、そもそも「感情」とはなにか?わかっていない
・責めたいコミュニケーションを止める〜「言いすぎる人」と「黙る人」
(まさにわたし達夫婦!)その悪循環のループから抜けると決意する!
さらに終章「女性は世界の花」で、
「母のなかに『愛の種』を見出すと、真実のパートナーシップが現れる」
ここが心に響きました。
わたし自身は男の中では女性性が高い方だと思っていましたが、母から多くを受け取っていたこと、母の影響が大きいのがもの凄く良く理解できました。
パートナーシップとは特別なものじゃなく、毎朝植物に水をやるようなもの。
与え続けないと枯れてしまうだけでなく、それくらい日常的なもので良いこと。
相手を代えても、同じ課題に直面せざるを得ないとわかったのなら、一人の相手を愛し抜くと自分に誓うこと。
そして、「自分を選んでくれない相手は手放して、誠実な、育てがいのある男性を選ぶ」こと。
栗原弘美さん流「パートナーシップ学」の薦めです。
本の情報は下記で確かめてみて下さい。