「男はなぜ予定を聞かれるのがイヤなのか」の話で思い当たること
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あるテレビ番組で、「男性は自分の予定を聞かれることを本能的に好まない」という話がされていました。
その理由は、そもそも太古の男性の役割は“狩猟係”が中心であり、狩りというのはいつ獲物に出会うか、今日どれだけ捕れるか、いつまでに終わるかといった予定ができない仕事であり、そんなどうなるかわからないことを、いちいち他人から聞かれることについて、不快に感じてしまうのだそうです。
これに対して女性の役割は“採集係”であり、どこに行けばどんな実がなっているか、どの程度の時間でどのくらい収穫できるかなど、予定がある程度わかるので、男性にも同じ感覚で、その予定を尋ねるのだそうです。
最近は、男女お互いに予定を共有した方が、合理的に物事が進む世の中になっているので、「食事がいらない」「これから帰る」など、自分の予定を家族に知らせる男性も多いですが、実は男の本能としては好ましいとは思えない行動だそうです。
この話を聞いて、ちょっと思い当たることがあります。
一つは、部下の業務や勤務状況を管理する中で、報告がない、何をやっているかわかりづらいという問題があった人は、圧倒的に男性が多かったということです。思えば、女性で報告をあげてこない、相談がないといったことで困った経験は、少なくとも私は一度もありませんでした。。
これに本能的な要素があると言われれば、なるほどそうなのかという感じがします。
そしてもう一つ、これは自分自身のことですが、サラリーマンとして会社の人事部門にいた頃は、家族に予定を知らせることを当たり前のようにやっていましたが、独立して自分で仕事をし始めてからは、その時々の予定をいちいち知らせることは、必要最低限しかしなくなりました。
そう変わったことは、家族にとっては迷惑なのかもしれませんが、急な予定や突発的な付き合いが入るなど、自分のスケジュールを見通せないことが増え、そんな不確定なことをいちいち他人に伝えるのがわずらわしい感じになり、いつの間にかそうなってしまったというのが本音のところです。
たぶんサラリーマン時代は、自分のスケジュールが見通しやすい“採集係”に近く、独立して何でも自分でやらなければならなくなった今は“狩猟係”に近くなってきたということで、そのせいで行動も変わってきたということなのかもしれません。
そう考えると、部下管理でも、営業職や外勤など毎日の予定がまちまちの人の方が、社内にいる人より状況が把握しづらいですが、ただ外にいるから見えづらいというだけでなく、外勤は基本的に“狩猟係”なので、他人に予定を聞かれることを好まないという面もあるのではないでしょうか。
こうなると、営業部門のような“狩猟係”にあたる“男性”は、最も報告や連絡を好まず、行動を把握しづらいということになります。
ただ、ここに本能的な部分があるのだとすれば、最低限の報告は求めたとしても、途中経過は本人に任せ、最終的な“獲物”という結果で見極めようとすることは、意外に理にかなっているのかもしれないと思いました。
いずれにしても、他人に気持ちよく動いてもらうということは、なかなか難しいことだと痛感します。
このコラムの執筆専門家

- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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