
- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
昔は、引き違いの雨戸だったため、片側しか開きませんでした。
その後、戸袋に雨戸を収納する、現在の形となり、雨戸を全開することが可能となり、室内が明るくなりました。
紙の障子だけでは、防犯、音、断熱、光、どの点を考えても夜の戸締まりとしては不安でしょうから、雨戸の必然性がありました。
全国を見てみると、昔から雨戸が多い地域と少ない地域があります。
風が強く、物が飛んでくるので雨戸が多いとか、積雪の多少が理由のこともあります。
現在では、サッシ+ガラスの性能が上がったため(雨戸以上に)、余り使われなくなり、必ず必要なものではなくなりました。
私が関わる住宅の場合、雨戸をつけたのは、全体の1割位です。
建主が是非つけたいという場合に、理由を伺って話し合った上で決定しています。
アルミ雨戸は、防犯上の効果としては、サッシ本体程きっちりできていず、全く効果がないとは言えませんが(少し時間を稼げるか)、過信はできません。
ガラスを防犯ガラスにする方が、効果があります。
断熱材が入った雨戸は、特に1枚ガラス(ペアガラスでない)サッシでの、断熱効果が期待できます。
夜間の視線を防ぎたい、暗くしたい、という方には、確かに効果はあるでしょう。
もちろん、カーテン、ブラインドで視線を防ぐことはできます。
それでも「夜、雨戸を閉めると安心する」という方はいます。
現在の雨戸は、この精神的効果が一番大きいのかもしれません。
昔のように、あたりまえのように雨戸をつける理由はなくなっています。
目的をはっきりした上で採用するかどうかを決めることが大切です。