日経記事;『日本車、変わる自前主義 欧州開発受託が相次ぎ拠点 EV・自動運転、分業促す』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日本車、変わる自前主義 欧州開発受託が相次ぎ拠点 EV・自動運転、分業促す』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

9月23日付の日経新聞に、『日本車、変わる自前主義 欧州開発受託が相次ぎ拠点 EV・自動運転、分業促す』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事について考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『クルマのパワートレイン(駆動装置)などの部分的な開発を完成車メーカーから受託するドイツやオーストリアの企業が日本に相次ぎ拠点を新設する。欧州で浸透した分業モデルが日本でも広がると判断した。

完成車メーカーは電気自動車(EV)や自動運転など広範な技術が必要になり、自社ですべてを賄うのは徐々に難しくなる。外部の力をいかに活用するかが次世代車の競争力を左右しそうだ。

自動車メーカーはエンジン開発から車両設計、組み立てまで幅広い技術を手掛ける自前主義の傾向が強い。開発受託はエンジンなどパワートレインを中心に開発業務を支援するビジネス。EV向け技術も蓄積し、独フォルクスワーゲン(VW)など欧州メーカーでは開発の一部を外部に任せる手法が浸透している。

オーストリアのAVLは11月、名古屋市に新拠点を設ける。16年11月に川崎市に開いたテクニカルセンターに次ぐ拠点となる。同センターはエンジンが想定通りに動くかを試験する装置を備え、近くEVなど電動車向け設備も入れる。

試作したパワートレインを欧州に送って試していた手間を省き、自動車メーカーに迅速なサービスを提供する。名古屋市の新拠点はエンジンなどの性能テストに使う試験設備の販売拠点にする。

独FEVも18年以降に日本に技術拠点を設ける方針。ソフトウエアの開発を担うほかエンジンなどの試験設備を備える。投資額は10億円超の見通し。独IAVも18年に日本でエンジンなどの試験ができる設備を整える。

FEV日本法人のロバート・ヤンソン社長は「電動車を開発する大型プロジェクトを抱えている」と話す。黒子と言える存在の開発受託企業は受注先の詳細を明かさないが、トヨタ自動車やマツダ、ホンダなどに技術者を送ってきた。日本で開発、設計、試作まで一貫して手掛けたエンジンを完成させた実績もある。

開発受託各社はガソリンやディーゼルのエンジンに加えEVやプラグインハイブリッド車(PHV)のバッテリー、モーターの開発ニーズにも応える。各国政府の動向にも詳しく、EVシフトを進める規制当局の情報を得るためにも完成車メーカーにとって欠かせない存在になってきた。

次世代車はパワートレインが変わるだけでなく、自動運転に人工知能(AI)が必要になるなど完成車メーカーが慣れない技術領域が増える。自社内に多様な技術を抱えるトヨタでも「AIではあらゆる手段をつかう。

自前主義だけではいけない」(伊勢清貴専務役員)との声が出始めた。通信、電池、半導体と必要な技術を確保するためには自社の取り組みだけでは立ちゆかなくなる。
一方、EV化が進めば繊細な技術で擦り合わせる機械部品は減り、モジュール(複合部品)やパワートレインの開発を外部に任せやすくなるとみられる。完成車メーカーはブランドやデザインの力がより問われるようになる。部品メーカーを囲い込み競争力を保ってきた自動車業界のビジネスモデルが変わり始めた。』

自動運転機能付EVは、既存のガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車の自動車の概念とは全く異なるものになると考えています。

自動運転機能付EVは、しょうしょう極端な言い方をしますと、言わば動き・移動する電子端末機器と考えています。

ここに、米大手ITベンダーであるグーグルが、自動運転機能付EVを開発・実用化する理由があります。

グーグルは、インターネットを通じた広告宣伝収益の拡大を、自動運転機能付EVから上げることを想定しています。

自動運転機能付EVを利用する人は、運転する必要がありませんので、IoT対応したEVでインターネットを活用して、検索したり、ゲームや音楽・映画鑑賞、買物などを楽しむことができます。

このため、将来、グーグルだけでなく、アップル、アマゾン、フェースブックなどの米大手ITベンダーが、自動運転機能付EVに関するビジネスに参入してくると想定しています。

今の自動車は、単に移動するだけでなく、自動車の運転自体を楽しむ要素などを加えて、差別化・差異化を図っています。

完全な自動運転機能付EVは、自動車の中でインターネット活用しながら楽しみつつ移動する手段になります。

この自動車概念の変化は、トヨタ自動車、ホンダ、日産などの既存自動車メーカーのビジネスのやり方に大きな変化を起こします。

上記する米大手ITベンダーは、今まで既存事業基盤を破壊・再構築して、自分たちのビジネスを拡大してきました。

日本の家電メーカーであるソニーやパナソニックなどが、米大手ITベンダーとの競争に負けて市場を奪われました。

これは、日本の家電メーカーがハードウェア商品自体での競争を意識した結果、インターネットやITを活用したソフトウエアの競争力の弱さや、インターネット配信の開発・実用化などにより、既存事業基盤を変更されたりして市場や顧客を失ったことによります。

米大手ITベンダーは、ハードウェア商品を出すとき、商品企画、デザイン、開発、設計など競争力を左右するとこは、自前で行い、製造は第三者に委託するやり方を取っています。

たとえば、グーグルは、現時点でFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)と連携・協業して、自動運転機能付EVを開発・実用化するとしています。


一方、EVの構造は、ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車の構造と比べて、使用する部品点数も大幅に少なく、簡略化できます。

また、ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車で差別化・差異化を可能にするノウハウは、EVにはそれほど有効ではありません。

トヨタ自動車、ホンダ、日産などの既存自動車メーカーにとって、EV自体をハードウェアの面からの差別化・差異化を可能にする余地は、少ないとみています。

つまり、家電メーカーがかって体験したハードウェア商品単体での差別化・差異化にこだわると、既存自動車メーカーは同じ轍を踏むことになります。

トヨタ自動車やホンダなどは、この点に気付いていると考えます。具体的には、IoT・AI対応のために、米シリコンバレーに巨額投資を行って開発拠点を設けています。

また、トヨタ自動車は、国内AIベンチャーであるPreferred Networks(PFN)に出資したりして、連携・協業を行っています。

ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車で差別化・差異化を可能にするには、垂直統合方式で、開発・実用化のすべてのプロセスで技術を磨くやり方が有効でした。

しかし、EVが主流になり、競争相手にITベンダーが入ってくると、国内自動車メーカーが今までの垂直統合方式で行っていると、開発期間の短さ、開発コスト・製造コストの圧縮という事業基盤の急激な変化についていけなくなる可能性が高くなります。

本日の記事にありますように、国内自動車メーカーは、今までの自前主義から脱却して、水平分業方式で、競争力をもつ企業との連携・協業による「Win/Win」の関係を構築して、スピーディーに事業化するやり方が求められます。

米大手ITベンダーがこのやり方の先駆者であり、オープンイノベーション(2000年代初頭に米ハーバード・ビジネススクールのヘンリー・チェスブロウ博士によって提唱された概念です。)と言われています。

このオープンイノベーションは、技術革新などのイノベーションをおこすため、企業は社内資源のみに頼るのではなく、大学や他企業との連携を積極的に活用することが有効であるとする考えです。

お互いに強みや特徴をもつ企業や研究機関などが、イコールパートナーシップにより、「Win/Win]の関係を構築して、連携・協業を行うことで、競争力のある商品を短期間に開発・実用化することが、オープンイノベーションであると理解しています。

国内自動車メーカーが、強力にオープンイノベーションのやり方を実行できれば、米大手ITベンダーがや欧米の自動車メーカーに勝てると確信しています。

もし、オープンイノベーションのやり方を有効に活用できないと、将来国内自動車メーカーは厳しい事業環境に直面する可能性があります。

企業の規模に関係なく、競争力のある企業同士がオープンイノベーションのやり方を有効に活用することを期待します。

私の支援先企業の中には、オープンイノベーションのやり方を有効に活用して、競争力のある商品やサービスを短期間に開発・実用化しているところがあります。

今後の国内自動車メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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