- 熊谷 竜太
- ハイク行政書士法人 行政書士
- 東京都
- 行政書士
対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
公告は「官報」に掲載するのが一般的ですが、
インターネットのホームページ上で公告をすることもできます。
(電子公告といいます)
○ 公告とは・・・
株式会社は自社の経営に関わる重要な事項を決定したら、
株主、債権者などの利害関係者に知らせなければなりません。
最もよく目にするのは決算公告です。
決算公告とは、株式会社が前年度の決算内容について
株主総会の承認を得た後、その要旨を債権者や投資家に
広く伝えるために官報などに掲載するものです。
決算以外でも、合併、減資、組織変更などの場合にも、
公告する義務があります。
※有限会社では、決算公告の義務はありません。
公告の方法には、官報、日刊新聞紙、電子公告の3種類あります。
どの方法にするかは、定款に定めることになっていますが、
特に定款で定めなかったときは、官報によることになります。
官報が最も一般的に行われる方法です。
日刊新聞紙は掲載費用がかなりかかるので、
中小企業では利用しにくいと思います。
○ 電子公告とは
電子公告とは、公告をホームページで公開するものです。
官報だと、1回掲載すればいいのですが、
電子公告の場合、一定期間(決算公告の場合5年間)
継続してホームページ上に掲載・公開しなくてはなりません。
また、定められた形式できちんと掲載しているかどうか、
国の登録を受けた調査機関の公告調査を受けなければなりません。
この調査費用が十数万〜と結構かかってしまいます。
○ 決算公告だけなら、費用はあまりかからない
ただ、決算公告では、公告調査は不要となっていますので、
この調査費用はかかりません。
かかる費用は、サイトの制作と維持管理費くらいでしょうか。
官報による公告だと、おおよそ6万円程度かかります。
決算公告だけなら、費用面で考えると
電子公告を利用するメリットがあるといえます。
ただ、既存の会社が公告方法を変更して、
電子公告にする場合は、定款変更と登記が必要です。
変更登記の登録免許税が3万円かかります。
新規に会社設立する場合で、電子公告を採用するときは
設立登記の中で公告方法を登記しますので、
電子公告だけでの登記費用はかかりません。
ただし、決算公告以外での公告をする場合は、
先述の調査費用がかかりますので、注意が必要です。
また、合併、会社分割、資本減少、準備金減少の場合は、
定款で公告方法として官報と定めていない場合でも、
債権者保護手続きのための公告として、
かならず官報による公告が必要です。
とはいえ、決算以外の公告をする機会は、
中小企業では通常はあまりないと思いますので、
電子公告を検討するのも良いかもしれません。
○ 電子公告をするには
公告方法を電子公告にする場合
決算公告では、貸借対照表などの全文の掲載が必要(要旨だけでは不可)で、
5年間継続してホームページ上に掲載・公開しなくてはなりません。
既存会社が、公告をホームページ上の掲載にするときは、
掲載URLの登記が必要です。
また、会社設立の場合は、
公告を載せるURLを登記する必要があります。
会社設立登記のときに、URLを記載する必要があるので、
「官報での公告」の場合と一般的な設立登記書類と書き方が変わる部分があり、注意が必要です。
【参考】
電子公告制度について(法務省のサイト)