- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
〜ビジネスモデル特許の判断基準 大法廷判決〜 河野特許事務所
2008年12月2日 弁理士 河野 英仁
In re Bernard L. Bilski
and
Rand A. Warsaw
この「機械または変換」テストは以下のいずれかの条件を満たす場合、特許法第101上に規定する「方法」、すなわち法定主題たり得る。
(I)クレームされた方法が特別な機械または装置に関係している場合、
または
(II)特別な物(article)を異なる状態(state)または物体(things)へ変換している場合
1)Benson事件
Benson事件では、クレームされた方法の特許性が否定された。Benson事件においては、出願人は、コンピュータ上でプログラムされたアルゴリズムを通じて、2進化10進数(BCD)形式にあるデータを、純粋なバイナリ形式へ変換する方法をクレームしている。
Benson事件ではコンピュータを用いているものの、当該アルゴリズムはコンピュータ上でしか意味をなさない。すなわち、特別な機械・装置ではないコンピュータ上で、BCD形式にあるデータをバイナリデータに変換するアルゴリズムを実行させているにすぎない。特別な機械または装置を用いない当該方法に特許を付与した場合、アルゴリズムそのものを先取り(pre-empt)させてしまうことになる。ここで最高裁は、特別な「機械・装置」テストを導入した。
さらに最高裁は、特別な機械・装置を含まない方法クレームにおいては、特別な物を異なる状態または物体へ変換しているか否かがキーになると判示した。Benson事件におけるクレームは単にBCD形式にあるデータをバイナリデータに変換しているにすぎず、ここに何ら物に対する異なる状態・物体への変換は存在しない。最高裁はここで「変換」テストを導入したのである。
「機械または変換」テストが用いられた最近のDiehr事件を紹介する。
(第6回に続く)