- 寺岡 孝
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
- 東京都
- お金と住まいの専門家
-
03-6202-7622
賃貸住宅の市場は変調の兆し
賃貸住宅の大手である大東建託はこのところ受注が厳しくなっている。
昨年の10月から受注高が4か月連続で前年割れ。
そろそろ賃貸バブルも怪しい感じだ。
日銀が1月に発表した主要銀行貸出動向調査でも、相続税対策の貸家建設向けの貸し出し需要が鈍化しているとの見方をしており、賃貸建築の受注減少が鮮明になり始めている。
賃貸住宅の空室率が高まる中でも、このところの借り入れ金利の低下などで収益採算性が改善されつつあったが、昨年と同じような内容で賃貸住宅が増加すれば供給過剰になる可能性大である。
国交省は昨年の新設住宅着工戸数を発表しているが、前年比6.4%増の96.7万戸と消費税引き上げ前の駆け込み需要があった2013年の98万戸に迫る数値となっている。
中でも、貸家が前年比10.5%増の41.9万戸という数値で、相続税への対策需要とマイナス金利導入以降、銀行がアパートローンの貸し出しを積極的に行うことからこうした貸家の増加ということになっているわけだ。
サブリース契約が招くアパートローン破産??
貸家のオーナーは空室リスクを回避するために、プロの管理会社、といっても建築業者のひも付き会社による家賃保証でサブリース契約を結ぶ。
業者はサブリース契約を建築前当初から30年保証とか言って勧めてくるが、2年ごとに賃料の見直しがあり、賃料の引き下げが必ずある。
オーナーはそんな契約になっているとは思わず、30年間ずっと同じ賃料が払われると信じ込んでいる場合が多い。
これは、建築業者などが賃料見直しの説明をしていない場合があり、昨年の9月から将来の借り上げ家賃の変動条件を書面で交付して重要事項説明の義務付けすることを国交省が行った。
今更ながと思うが、現実、賃料が下落してアパートローンの返済ができないという実態もある。
今後、少子高齢化で間違えなく供給過剰なマーケットになり、入居者のいない賃貸住宅が増加するかもしれない。
そうなれば、アパートローンで破産という話も現実味が増す。
建築業者はグロスの大きい賃貸住宅を勧める?
都区内では賃貸住宅の需要が見込めると言いながら、業者は数億のマンション建築を勧めてくる。
こうしたシュミュレーションを見る機会が何度となくあるが、彼らの計画は30年間賃料が変動しない、つまり、30年後でも新築時の賃料でシュミュレーションされている。
また、建物の修繕費用の計上もなく、結構大ざっぱな収支計画が大半を占めている。
こうした収支計画を信用してしまうと、数年後にはその目論見通りにはいかないことが判明するだろう。
グロスが大きくなれば賃料収入も多くなり、一見儲かると思いがちだが、この賃料を稼ぐのにどれだけのコストがかかることか・・・
業者の言いなりになると、アパートローン破産になりかねない・・・
著書「不動産投資は出口戦略が9割」
ビジネス・経済書「売れ筋」200冊ランキング176位!
電子書籍もあります。
ご希望の方はAmazonサイトから。
■東洋経済がプロデュースする日本最大級のビジネスサイト
東洋経済オンライン
■賃貸住宅に関するご相談はこちら
電話:03-6202-7622
このコラムの執筆専門家
- 寺岡 孝
- (東京都 / お金と住まいの専門家)
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
「納得」と「安心」の住まいづくりを中立的立場でサポートします
生涯に一度とも言える住宅建築や不動産購入の場では「失敗したらどうしよう」と不安に思う方が多いものです。お客様が「夢」を安心して実現できるよう、業界での30年以上の経験を活かし、「納得」と「安心」の住まいづくりを中立的立場でサポートいたします。
このコラムに類似したコラム
路線価上昇で相続税対策がさらに重要視?? 寺岡 孝 - お金と住まいの専門家(2017/07/04 20:00)
アパートローンバブルはもうすぐ崩壊?? 寺岡 孝 - お金と住まいの専門家(2017/05/03 12:00)
【土日も相談可】賃貸マンション・アパート経営 個別相談会 受付中! 寺岡 孝 - お金と住まいの専門家(2019/03/26 11:00)
【土日も相談可】1棟モノの賃貸アパート・マンションの売却相談 受付中! 寺岡 孝 - お金と住まいの専門家(2018/11/14 13:00)
【土・日も相談可】1棟モノのマンション・アパートの経営でお悩みの方 個別相談 受付中 寺岡 孝 - お金と住まいの専門家(2018/10/29 10:00)