
- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- クリティカルシンキング/バイリンガル教育
Justin Trudeau 政権になって以来、カナダが留学生・移民受入により柔軟・積極的になって来ました。
これはとても良いことです。
教育の質が高く、目が飛び出るほどでもない授業料と生活費、正式な大学・カレッジに在学中のアルバイトも可、Degree, Diploma 取得後はPost Graduate Work Permitで就労の機会など。
留学生にとっては魅力的な要因が並ぶカナダです。
これもとても良いことですね。
また、カナダの正式な大学学士号を取得した留学生には永住権取得への簡単な道が用意されています。
ほぉ〜良いことずくめです。
しかし、カナダに留学を希望する日本人にちょっと裏話し。
良いことの裏もしっかり理解してからカナダに来れるようにアドバイスです。
これだけの「カナダにいらっしゃい!」「良いことばっかりよ〜」を用意して、留学生を三顧の礼で迎えるには、それなりの理由があります。
留学生が多く来る学校には大きな利点があります。
カナダ人学生の視野が大きく広がり、学ぶ場が活性化します。
異なった文化から、異なった考えをもたらす留学生は、今ではカナダの教育には欠かせない存在になっています。
留学生は大学ではカナダの学生のほぼ3倍の授業料を払いますので、学校にとっては大きな収入源です。
高校に至ってはカナダの学生がただなのに対して、留学生は年間150万ほどの授業料を払います。
授業料収入からも、留学生は欠かせない存在です、
留学生を多く呼び込みたい学校は、様々なプログラムを用意して宣伝しています。
日本のカナダ大使館で行われている毎年数回の「カナダ留学フェア」にはこぞってたくさんの学校がやって来ます。 留学生一人獲得したら「なんぼ儲かった!」です。
うちの車を買ってください!とセールストークに余念のないセールスマンのような人たちが、自分の学校のいいところをまくしたてます。
(全部信用したらとんでもないことになりますから、気をつけてね。)
カナダの国にも(優秀な)留学生は大きな魅力です。
(優秀な)はとても大切な条件ですからね! 絶対わすれないように!
カナダの将来にとって優秀な留学生は、約束された収穫のようなものだ(移民担当大臣の弁)。
優秀な留学生は、高い教育を終了でき、経験も豊富、言語スキルにも優れている。
そりゃそうですよ。母国語と英語のバイリンガル同然ですから。
3ヶ国語以上使える留学生も非常に多いです。
カナダで生まれ育った人で他の言語が出来る人は少ないです。 ていうか英語以外の言語の存在意義を余り感じていないのではないかとの印象を持っています。
カナダで勉強中に構築したコネクションと、母国でのコネクションを結びつけ、カナダの国に大いなる利益をもたらす。
つまり!
【カナダに留学を希望する日本人】に取って、カナダは宝物に満ちた国のようです。
そして、その宝物を大いに満喫出来るための条件は簡単。
日本で優秀な実績を残していること。
これだけ。
では今度は【良いことずくめの裏】【留学生を受け入れるカナダ人】へ注文です。
政府や社会はこれだけ将来性のある留学生を大切に思ってくれているのに、実際の受け入れ現場との認識間に大きな差があるな〜と感じています。
カナダ政府は「カナダ留学」をこう宣伝しています。
「カナダの国は外国人を歓迎する開かれた国です。」
私も認めます!
国の方針は多民族主義を第一義とした素晴らしいものを持っています。
(だから、私は今カナダに住んでいます。 他の英語圏にはこんな国はありません。)
“The country officially encourages new arrivals to maintain their own culture.”
「新しくカナダに来る人は、自分固有の文化を持ち続けることを、カナダ政府は公式に奨励しています。」
これも素晴らしいですね。
しかし、実際に人に接してみると微妙に違います。
最近のリサーチによると60%以上のカナダ人が「新しくカナダに来る人はカナダの文化をもっと尊重すべき」と思ってるんだそうです。
「何をあつかましい。」が正直な実感です。
「は?」「みんな元々移民やん!?」「先住民族さえも元々移民やん!」「で、カナダの文化って何、多民族だと思ったけど?」と反論したい気分です。
実際に、「あ、リサーチで言ってたとおりや!」というプレッシャーを感じる場面もあります。
留学最初にはみんな英語に苦労しますが、その段階で留学生を萎縮させるような言動を取る人もいます、残念ですが。
表立って「英語が下手ね」とは言いませんが、「英語は難しいからね〜」と。 「いや、そうじゃない。 英語が特別なのではなく、外国語を使うのはどんな言葉でも難しい。 じゃ、今度は日本語で話しましょうか? あなたは何語が話せますか、英語の他に?」と思わず挑戦したくなった場面は数知れません。
授業料目当てに質の悪い留学生を簡単に入学させる、または問題のある生徒もずるずるおいておくのはいい加減止めてほしいです。
本当の意味で優秀な留学生までが同じカテゴリーで見られてしまいます。
「あ、留学生ね。。。」という。
カナダの将来にプラスになる留学生を求めているのなら、腐ったりんごは入れない、みつけたら本国に戻すという、確かな線引きをしてほしいです。
そうでないと、優秀な生徒たちがカナダに来なくなります。
「あ〜あんな奴がカナダに留学中?」と思っただけで、自分の価値を下げてしまうカナダになんか来たくなくなります。
「迷った留学生は救わなくちゃ!」なんて、見せかけの”Nice Canadian” を強調されると「やっぱりこの国を勧めるのはやめたほうがいいかなぁ」とも思ってしまいます。
日本の若者の留学人数の激減にも関係あるでしょうね、この不必要なナイスさは。
ということで、良いことも悪いことも、長年のカナダ留学サポート経験から書いてみました。
どの国に留学しても、同じく、良い面と悪い面とがあると思います。
(今のアメリカは悪い面と悪い面でしょうがね。)
それでもカナダを勧めるのは、国の方針がただ者ではないからです。
多民族国家として卓越した方針を持っています。
(ただし今の政権が続けば。。ですが)
さて、カナダ留学。
しつこいようですが、「優秀」じゃないと来ないこと。
「優秀」なので留学したいけど、カナダの裏の面が気になる。。。人は相談して下さい。
生き抜いて成功する方法を伝授しましょう。
Come to Canada!
このコラムの執筆専門家

- 大澤 眞知子
- (クリティカルシンキング/バイリンガル教育)
- Super World Club 代表
Be Bilingual
カナダ在住。カナダからオンライン講座カナダクラブ提供。留学生へのアカデミックサポート(エッセイ指導)留学希望生へのアカデミック準備 (Reading, writing, エッセイ基本)Critical Thinking指導、最新の理論に基づくBilingual Education特別提供中。
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