米国判例:ビジネス方法は特許されるか?(第3回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国判例:ビジネス方法は特許されるか?(第3回)

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米国判例:ビジネス方法は特許されるか?(第3回)
〜ビジネスモデル特許の判断基準 大法廷判決〜  河野特許事務所 
2008年11月25日 弁理士 河野 英仁
                In re Bernard L. Bilski
                     and
                  Rand A. Warsaw

3.CAFCでの争点
米国特許法第101条はいかなる基準により判断すべきか?
 米国特許法第101条*7は以下のとおり規定している。
 新規かつ有用な方法,機械,製造物若しくは組成物,又はそれについての新規かつ有用な改良を発明又は発見した者は,本法の定める条件及び要件に従って,それについての特許を取得することができる。

 米国特許法第101条に規定する「方法」であるか否かを判断するには、どのようなテストにより判断すべきか、またそのテストを適用した場合に、本願のヘッジ取引に係る純粋なビジネス方法が特許になるか否かが問題となった。


4.CAFCの判断
「機械または変換」テスト
「方法」の一般的な意味は、
「自発的または非自発的であろうとなかろうと、明確に結果を導く手続き、一連の行為、運動または操作*8」 である。

 しかし、最高裁は1850年代から、米国特許法第101条で使用されている「方法」の意味はその一般的意味より狭いと判示している。特に最高裁は、
「自然法則、自然現象または抽象的なアイデアをクレームしている場合、当該クレームは特許性ある方法とは言えない」
と判示している*9。

 このような「基本的法則(自然法則、自然現象または抽象的なアイデア)」は、「誰もが自由に使用でき、だれにも占有権のない、全人類の知識の宝庫の一部」であり、特許を受けることはできない。「単なる発見に過ぎない自然現象、精神的プロセス、及び、抽象的な知的概念は、科学及び技術研究の基本的ツールであり、特許を付与すべきではない」からである。

 基本的法則(自然法則、自然現象または抽象的なアイデア)と法上の発明との臨界を、いかなるテストで明確にすべきか?

 CAFCは最高裁におけるBenson事件*10で判示された「機械または変換」テストを用いるべしと判示した。

  

(第4回に続く)