- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
ショッピングモールの商品のような住宅
ハウスメーカーが造る商品化住宅にしても建売にしても私は全ての中身を知っているわけではない。建売や商品化住宅の仕事を請け負っている知人、大学の同級生など様々な人から聞いた話を総合的に判断して話をしているに過ぎない。だって、そんな企業秘密を公開してくれるわけは無いからである。
しかし、その価格の決まり方はなんとなくおかしい。そしてその商品、つまり立ち上がった建築はもっとおかしい。決して住宅として欠陥があるとか何とかいっているわけではなく、どうしても好きになれないものしかない、そんな表現がぴったり来るような感じ。
このどうしても納得できない感じは、たとえば最近私の住んでいる川口市にもたくさん作られているショッピングモールに買い物に行ったときの感覚に似ている。イオンやイトーヨーカドーが運営しているショッピングモールはたいていその運営母体が造る食料品や衣料品の売り場と、テナントとして独自のブランドが入っている売り場に分かれている。
更に書籍売り場やや映画館、ゲームセンター、レストラン街などが完備され、さながら小さな街の商店街のような雰囲気を演出するというのが共通の手法だろう。ここに行けば家族連れは一日中楽しむことが出来る。車で来て、買い物を楽しみ、食事をして、飽きたら映画を見る。小さな子供にはゲームセンターで200円渡しておけば20分くらいは十分に遊べる。お父さんはすぐ近くの本屋さんで、その間立ち読みを楽しむ。そんな光景があちらこちらで広がっている。