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やり過ぎの懲戒処分にメリットなし

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 目に留まった事

 あまり好ましいことではありませんが、組織の秩序を維持するために、懲戒などの罰則が必要になることがあります。私の経験でも、かなりひどいと思われる服務規律違反などを見たことがあり、そんな時ほど、懲戒処分に関する規定はきちんと整備しておく必要性を痛感します。

 

 ただ、最近あるところから聞いた話で、少し納得がいかない思いを持ったことがありました。

 ある社員が、地域的にも遠方への異動を命じられ、いろいろ事情があって、初めは無理だと拒否したそうです。その後結局は命令を受け入れて異動したそうですが、それが会社の秩序を乱したとして、社内の懲罰にかけられ、降格という懲戒処分にされてしまったそうです。

 

 法律的にいえば、配置異動の権限というのは会社に対して広く認められているので、相当な無理や嫌がらせの要素でもない限り、ほぼ一方的に命令することはできます。

 ただ、最終的に異動を受け入れたにもかかわらず、それを懲戒処分にされてしまうというのは、さすがにちょっとやりすぎではないかと思います。

 

 私の考えが甘いと言われるならば、その指摘は甘んじて受けますが、もしも私が経営者であったならば、そこまでのことは絶対にしません。

 この例のような懲戒処分は、不正行為や不当行為、他の社員への迷惑行為などを罰するというよりは、「会社の命令にたてつくと、痛い目にあうぞ」という見せしめでしかないように感じるからです。

 

 異動命令に際して、それなりの話し合いはしたのかもしれませんが、社員との間に信頼関係を作ることができず、それを権限で押し切った上に、罰則まで課したということです。

 

 異動に関しては、いくら会社側に権限があるからと言っても、私はお互いにしっかりと話し合って、お互いに納得した上で行うべきだと思います。会社と社員の関係は、相互に依存している“お互い様”の関係だからです。

 

 最近は、ブラック企業など、社員から搾取することを当たり前のように考えている会社の話を聞きますが、社員を粗末に扱う会社は、同じように社員からも粗末に扱われます。

 今のような厳しい雇用環境のおかげで、多少きついことがあっても働いてくれる社員がいますが、このバランスが少しでも転換すれば、そんな会社で働こうという社員はあっという間にいなくなります。

 

 最近は会社側の立場が強いという状況がずっと続いているので、感覚がマヒしているかもしれませんが、会社と社員の力関係のバランスは、常に揺れ動きます。揺れ動くからこそ、自分の立場が強いからと言って、一方的に相手ばかりに押し付けず、常に“お互い様”の関係が必要なはずです。

 

 この話の会社は、その時点では会社としてのプライドを保ったのかもしれませんが、社員との信頼関係は確実に崩れたと思います。この手の話は社員の間にはすぐに広がり、その影響は悪い方向しかありません。

 

 この会社が、今の強気な姿勢のままで、これからもやっていけるのかと考えると、私はとてもそうとは思えません。

 

 

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