乳酸菌おばけ - 体の不調・各部の痛み全般 - 専門家プロファイル

有限会社 木村爽健 代表
東京都
鍼灸師

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対象:体の不調・各部の痛み

関村 順一
(鍼灸マッサージ師)

閲覧数順 2017年08月17日更新

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「この乳酸菌のサプリを飲めば大丈夫ですよ。」
病院のベッドに座っているA先生に、ある女性が小さな容器を差し出してこう言った。
この話は、10年近く前の話になります。
気功治療をしていたA先生は、重病患者の治療が連続したせいで、邪気をもらいすぎてしまい、体調がおかしくなっていました。
突然のお腹の痛みで病院に運ばれ、病名は急性胆のう炎。
胆のうが炎症を起こし、胆汁が流れなくなっていました。胆石があったようです。
手術の予定は次の日。
手術までの間は、一切の飲食は禁止されます。
これは、何かを胃に入れると消化する働きの一環として、胆のうの胆汁が分泌され、逆流するリスクがあるからです。最悪死亡してしまいます。
私はA先生から連絡があり、すぐに病院に駆けつけました。
急性胆のう炎による上腹の激痛は落ち着いていましたが、極度の疲労からかA先生からは血の気が引いていました。
その時、病室には私以外にもう一人いました。
それが先ほど出てきた女性です。
何ヶ月か前からA先生のところに出入りしていた、乳酸菌サプリを売っている女性。
青白い顔はやせ細り、ギョロっとした目は鈍い光を放ち、ぱっと見て健康そうには見えません。
私がその女性につけたあだ名は、乳酸菌おばけ。
あだ名の由来は、なんでもかんでも乳酸菌で治ると話し、本人は病的だったからです。
ひとしきり私とA先生の話が落ち着いた時、私とA先生の間に入ってきたその女性は、「先生、この乳酸菌サプリを飲んだら楽になりますよ。ほら、これ、飲んでください。」
すでに消灯時間を過ぎた病室は、A先生のベッド脇の読書灯だけがついて薄暗い状態。
手術まで飲食禁止という話をしていたにも関わらず、平気でサプリを進める女性。しつこく、サプリをA先生の顔近くまで持っていき、何が何でも飲ませようとしている。
薄明かりに照らされた女性の横顔を見ると、青白く頬骨がつきだし、目は炯々として明らかに死神の形相。
乳酸菌おばけは、あの世の使いだった。なんて、冗談を言ってる場合じゃない。
私は女性の後ろから、A先生に向かって全力で首を振り、「ダメ、ダメ、絶対ダメ。死んじゃう。」とサインを送りました。
「そのサプリを飲んだら、死んで楽になってしまう。」そんな嫌な予感がしていました。
そんな私の行動に気がついたA先生は、絞り出すような声で「今はつらくて飲めないから、後で飲むよ。」と、うまくごまかして事なきを得ました。
手術が終わり、医師から再度説明を聞いたA先生は、「飲んだら死んでましたよ。」と、医師に言われたそうです。
症状的にかなり重病だったので、あともう少し発見が遅れたら、命に関わる状態だったそうです。
それから、乳酸菌おばけは現れなくなりました。
おそらく、乳酸菌おばけは、今もどこかで乳酸菌サプリを売っているはずです。
夏の怪談のような体験でした。


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