日本人は、大昔から新しいものが好きで、新しいものに憧れていました。
伊勢・住吉・鹿島・香取の各神宮では、20年毎に、神宮全ての神殿や神宝を新しく作り替え、御神体を移しています。
これは、式年遷宮(しきねんせんぐう)といい、1300年前の天武天皇より続いています。
現在と比べれば、当時の平民は、貧乏だったので、古いものを長く使わざるを得なかったわけですが、御上はこのように破壊と再生を繰り返すのを見、憧れ、できれば新しいものがほしかったのです。
どの国でも、若者ほど新しいものを求め、高年層ほど保守的、つまり古いものを好む傾向があります。
欧米では、街や店が新しくなると、「古いままが良かったのに、なぜ新しくするのか」という意見が出ます。
日本では、保守的のはずのお年寄りでも、街や店や家が新しくなると、新しくなったというだけで(美しくもないのに)「きれいになった」と喜びます。
このことからも、国民全体が新しもの好きであることがわかります。
このように、日本とヨーロッパでは、古いものへの価値観が根本的に違い、このことが両者で家の寿命が異なる、大きな理由の1つと考えられます。
価値観の問題なので、「機能」を考えるだけでは説明のつかないことなのですね。
このコラムの執筆専門家

- 森岡 篤
- (建築家)
- 有限会社パルティータ 代表
庭を取り込む心地良い空間、永く住むためのフレキシブルな家
家づくりは、建て主にとっても、とても手間がかかることですが、苦労した結果、建物が実際に形となり、できあがっていくのは、本当に楽しいものです。遠い将来、この家に住んで良かった、と感じてもらえるような、家づくりのお手伝いをしたいと思います。
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