「高断熱・高気密」後の断熱法 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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「高断熱・高気密」後の断熱法

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これからの家づくりの視点 「高断熱・高気密」後のより自然に即した断熱法とは?
 さて、「高気密・高断熱」後の、特に「外張り断熱」後の断熱を考える時、その施工性の良さから採用していた発泡プラスチック系の断熱材は、それが石油化学系建材であるという理由ひとつで排除されることになります。

 では、断熱はどうするのか、断熱はしないのか、はたまた、防湿気密シートを張った充填断熱に戻るのか、ということになるのですが、答えはそのいずれでもありません。

 その答えは、防湿気密シートを張らない充填断熱です。

「高気密」には3つの意味があります。その目的は、湿気(水蒸気)を通さないための「防湿」と、漏気を防ぎ計画換気を可能にする為の「気密」である、ということです。

 これは今まで常に「高気密」という言葉でひとつにまとめて考えられていたことです。

 私はそれを分けて考えてみようと思います。

 防湿気密シートを張らない充填断熱とは、「防湿」を取らないで「気密」だけを取る、ということです。

 防湿を取らなければ内部結露を起こす、というのは、北海道などの寒冷地における重要な教訓ですが、首都圏地域は寒冷地から比べると家の内外の温度差はそれほど大きくはなく、内部結露が起きる前に壁の中に侵入した水蒸気が外部に排出されるような外壁構成ができれば、それも可能であろうと考えた訳です。

 実際に外壁を構成する各々の材料の透湿抵抗(湿気の通し難さを表す数値)を元に結露計算をすると、それが十分可能であることが分かります。

 それは正に昔の日本家屋がそうであった様に湿気を通す壁、即ち、高断熱の「透湿する壁」「呼吸する壁」なのです。