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渕本 吉貴
渕本 吉貴
(起業・資金調達・事業再生コンサルタント)
村田 英幸
(弁護士)

閲覧数順 2017年10月18日更新

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日経記事;『シャープ経営陣、革新機構の再建案評価』に関する考

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー  山本雅暁です。

1月31日付の日経新聞に、『シャープ経営陣、革新機構の再建案評価』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『シャープ経営陣は30日、産業革新機構などからの再建案について本社で対応を協議した。革新機構の幹部と台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長がシャープ本社を訪れてそれぞれの再建案を説明した。シャープは革新機構案の方が優れていると評価しており、受け入れる方針だ。

革新機構はシャープ本体への3000億円の出資や、不振の液晶事業の分社化などが柱となる再建案を正式に提示し、詳細を説明したもようだ。シャープ経営陣は革新機構が主導する業界再編を通じた再建策が経営の抜本的な立て直しにつながるとみている。

鴻海は経営トップである郭董事長自らがシャープ経営陣に直談判して、総額7千億円規模を投じる案を伝えたようだ。郭董事長は代理人を通して「シャープのブランドの起死回生を図っていきたい」「シャープ社員には安定的な仕事をコミットする」などとのコメントを発表した。

ただ、シャープ経営陣の間では鴻海への不信感もある。両社は2012年3月に資本・業務提携を発表したが、出資を巡って関係が悪化。現在は堺市にある液晶パネルの生産会社を共同で運営するにとどまっている。

革新機構はシャープの液晶以外の事業でも再建を急ぐ構えで、太陽電池でも昭和シェル石油の子会社との事業統合を検討していることが明らかになった。シャープはこれまでも昭シェルなど他社との提携を模索していたとされるが、実際には交渉が進んでいなかった。

昭シェル側は過剰設備を残したままの統合を避けたい考え。革新機構主導でリストラが進むかが成否を握りそうだ。』


シャープをめぐる経営再建策については、1月の後半に大きな動きが幾つかありました。この動きの中で、中心となっていたのは産業革新機構です。

産業革新機構は、正式名を株式会社産業革新機と言います、この会社は旧産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法・現産業競争力強化法に基づき、2009年7月に設立された官民出資の投資ファンドです。(出典元;ウィキペディア)

産業革新機構は、たとえば、2012年4月にソニー株式会社・株式会社東芝・株式会社日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合した会社である、株式会社ジャパンディスプレイを設立しました。

産業革新機構は、このときシャープにも参加提案をしましたが、シャープは独自路線を行くということで参加しませんでした。

産業革新機構は、会計不祥事で巨額損失が明るみに出た東芝とシャープを中心に、国内家電関連事業の基盤再構築を狙っているようです。東芝については、1月23日に、日経記事;『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』に関する考察 [事業再生、集中と選択〕のタイトルで記事を書いています。

液晶パネル事業の場合、国内メーカーは大きくジャパンディスプレイとシャープの陣営に分かれていました。

シャープは、省エネ性能などに定評がある独自技術「IGZO(イグゾー)」をもっており、独自技術の優位性により自社単独で経営再建できると判断して、その当時、ジャパンディスプレイに加わりませんでした。

しかし、その後テレビやスマートフォンなどの電子機器の世界市場での需要が増加しないことと、韓国勢との競争が一段と激化して市場での優位性やシェアが低下する事態に直面して経営危機を迎えました。

シャープは、さらに、経営再建を提案した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との連携も思わしくなかったことも事態の悪化につながりました。

液晶パネル事業は、スマートフォンの先進国市場での飽和、中国や新興国市場での安価製品の台頭、タブレット端末の低需要、パソコン販売の低下、テレビ機器の汎用化による価格低下など、全体の事業環境が売上・収益の両面で右肩上がりが期待できません。

さらに、次世代のディスプレイ技術として、有機ELへの対応も必要になります。有機ELについては、韓国のLGが一歩先行する形で事業展開を進めています。

有機ELについては、2015年12月に、米Apple社が3年後、iPhoneに有機ELディスプレーを採用するという報道が出されました。このとき、韓国のLG Display社とSamsung Display社が有機ELディスプレーの供給メーカーとしてあげられていました。

ジャパンディスプレイは、現時点では有機ELディスプレイを商品化していませんので、供給メーカーに入っていないことは当然のことです。

また、LGは2015年11月に、韓国北西部の坡州(パジュ)に有機ELパネルの工場を新設すると正式に発表しました。総投資額は10兆ウォン(約1兆700億円)以上。2018年上半期に最初のラインを稼働させ、段階的に拡大する、としています。

液晶パネルや有機ELの事業は、最終的には韓国や中国のメーカーとの激しい競争に直面しますので、圧倒的な技術力と価格競争力をもたなければ勝ち残れません。

今回の産業革新機構の動きは、国内メーカーを絞り込んで経営資源を集中して、世界市場での勝ち組になることを目的としているのは明確です。

液晶パネルや有機ELは、将来汎用化が進みますので、世界市場で圧倒的なシェアをもつことで残存者利益を享受できます。ジャパンディスプレイを中核とした国内メーカーが、韓国、中国勢との競争に打ち勝つようなやり方を工夫して、実現できるかがポイントになります。

産業革新機構は、シャープと東芝の白物家電事業も統合して、世界市場での競争力強化を計画・実行しようとしています。

今回の一連の統合の動きは、産業革新機構が中心となって青写真を描いて実行しようとしています。この統合の効果を出すためには、ジャパンディスプレイ、東芝、シャープなどの企業が、集中と選択作業を加速させて、技術および価格の両面で世界市場での競争力をもてるかによります。

これらの企業の動きは、中小企業にとって、集中と選択作業や新規事業立上に対する大きな参考事例になります。

この視点から、ジャパンディスプレイ、シャープ、東芝などの関連メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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