日経記事;『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』に関する考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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渕本 吉貴
渕本 吉貴
(起業・資金調達・事業再生コンサルタント)
村田 英幸
(弁護士)

閲覧数順 2017年10月17日更新

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日経記事;『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月23日付の日経新聞に、『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は中核事業である半導体部門の一部を売却する方針を固めた。自動車や産業機械などに広く使われる汎用的な半導体が対象で、3月末をメドに売却先を選定する。同社は会計不祥事を受けて、収益力回復に向けた抜本的な事業構造改革を進めている。

半導体の主力であるスマートフォン(スマホ)向け中心のフラッシュメモリー事業と、原子力などの発電設備事業の2つを柱に経営再建に道筋を付ける。

売却対象はNAND型フラッシュメモリーを除く大半の半導体事業となる。具体的にはアナログ半導体、大規模集積回路(LSI)、マイコンや省電力半導体と呼ばれる製品群。自動車や産業機械のほか、家電、住設機器などに幅広く使われる。

対象事業の年間売上高は計2000億円程度とみられ、全体を売却した場合の金額も2000億円規模になるもよう。NAND型フラッシュメモリーは東芝最大の収益源で韓国サムスン電子に次ぐ世界2位のシェアを持つ。事業再編で得る資金は、四日市工場(三重県四日市市)でのメモリーの設備増強などに投じる。

東芝は入札手続きを進めており、まず日本政策投資銀行が名乗りを上げた。政投銀はセイコーホールディングスと共同で半導体事業を手掛ける出資会社を抱えており、東芝の半導体事業との連携を模索する。ファンドなども応札する見通し。買い手側の条件や顧客の意向次第では、東芝が引き続き事業を保有する可能性もある。


東芝は半導体部門のリストラでは、すでに大分工場(大分市)で手掛ける画像センサーの生産設備をソニーに売却することで合意済み。赤字が続いた白色発光ダイオード(LED)からの撤退も決めている。

また全社的な事業の選択と集中を進める中で、パソコンは富士通などと統合交渉に入っているほか、白物家電はシャープとの統合を検討している。1万人規模の人員削減にも踏み切る計画で、リストラ費用の積み増しなどで2016年3月期は5500億円の最終赤字となる見通し。一段の財務体質の悪化は避けられず、収益源の1つである医療機器子会社の東芝メディカルシステムズも売却する方針だ。

一方で、フラッシュメモリー事業と並び国際競争力を維持できる原子力や火力などの発電設備事業には力を注ぐ。特に原発設備では、傘下の米ウエスチングハウス(WH)の最新鋭原子炉をインドなどの新興国を中心に売り込む計画。この2事業に経営資源を集中し、15年度中に構造改革に区切りを付け、16年度以降の成長につなげる。』


東芝については、昨年の会計不祥事が明るみに出るまで、日立製作所と並んで、国内電気電子機器メーカーの中で、ソニーやパナソニックなどに先行して集中と選択作業を行った点を評価して何度か本ブログ・コラムで取り上げました。

会計不祥事が表面化したあとは、発表されていた経営数字が実態をまったく反映していなかったので、東芝の状況について様子見をしていました。

その東芝が今回本格的な集中と選択を短期間で行うとしています。本日の記事によると、東芝は、事業の柱をフラッシュメモリーの半導体事業と原子力発電や火力発電などの発電設備事業を中核事業とするようです。

会計不祥事で発足した新経営陣が、国内企業としては短期間にリストラ計画を作成したことは、今後の東芝が収益拡大を実現する足場を固めつつあるとみます。

東芝は、集中と選択作業で現行事業の再編を以下のように行うとしています。

・半導体事業のうち、画像センサーの生産設備をソニーに売却し、撤退する。
・白色発光ダイオード(LED)から撤退する。
・アナログ半導体事業を売却する。
・ハードディスク(HDD)事業を工場閉鎖などにより縮小する、代わりに、最近パソコンに大量され始めたフラッシュメモリーを使った「ソリッド・ステート・ドライブ(SSD」事業を拡大する。
・かって新規事業の柱の一つにするとしていた電力事業のうち、送配電事業から撤退する。
・医療機器子会社を売却して、医療機器事業から撤退する。
・パソコン事業を、富士通やVAIOとの統合する検討を行っている。
・産業革新機構主導で動いているシャープの経営再建に関連して、白物家電を統合する検討を行っている。など

もし上記のことがすべて実現しますと、東芝は完全に総合電気機器メーカーの看板を外して、フラッシュメモリーの半導体事業と発電設備事業を中核とした電気機器メーカーになります。

最近の電気機器メーカーの集中と選択作業では、1月15日付の日経新聞に、米GEが家電事業を中国・海爾集団(ハイアール)に40億ドル(約4700億円)以上で売却することで近く合意するとの記事が掲載されました。

GEは、創業時の家電事業を売却して、重電事業とIoT対応を軸にしたソフトウエア事業を両輪にして専業メーカーとして、世界市場で勝ち組になるように動きを加速しています。

技術・商品が汎用化して価格競争が起こる領域や、市場が縮小している領域の土俵から下りて専業化することで、競合企業との競争に勝とうとしています。

東芝の場合、もし粉飾決算が表面化していなければ、従来の経営施策を続けており、最近になって矢継ぎ早に出されている集中と選択作業が生まれていなかったと考えます。

実質的な赤字の垂れ流しは、企業の体力を弱めていきますので、もっと先になって赤字体質が表面化したときには、手遅れになっている可能性がありますので、東芝にとっては不幸中の幸いになったとみています。

今後の東芝に対する期待は、自社の強みを最大化できる事業を最強化して、世界市場で圧倒的なシェアをとる勝ち組になることです。

半導体事業で言えば、ソニーの画像センサーのように、世界市場のガリバーになることです。ソニーも不振の家電事業を合理化することで、ようやく収益確保ができる経営体質をもてるようになりつつあります。

東芝は、身軽になった経営体で、GEをしのぐ速さで集中した事業分野で世界市場で圧倒的なシェアをもつメーカーになって欲しいと考えます。

中小企業が大いに参考になる模範的な企業になることを期待します。その観点から、今後の東芝の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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