日経記事;『ベトナム、対米輸出拠点に クラレ、縫製ライン増設/伊藤忠、織布生産を増強』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ベトナム、対米輸出拠点に クラレ、縫製ライン増設/伊藤忠、織布生産を増強』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月15日付の日経新聞に、『ベトナム、対米輸出拠点に クラレ、縫製ライン増設/伊藤忠、織布生産を増強』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『クラレ、伊藤忠商事など日本企業がベトナムで相次ぎ生産増強や販売強化に動いている。クラレは協力工場で7月に縫製ラインを増設。伊藤忠も生地工場の生産が拡大している。環太平洋経済連携協定(TPP)が発効すると、輸出入にかかる税負担が軽減される見通し。技術力の高いベトナムを拠点に対米輸出を増やす考えだ。

東レ子会社の蝶理もベトナムを縫製主力拠点に

クラレはベトナムでスポーツ衣料の縫製ラインを増設する。繊維事業子会社のクラレトレーディング(大阪市)が中部ダナン市の協力工場に縫製ラインを設ける。協力工場の負担分と合わせて3億円を投じる。

日本から輸出した生地をベトナムで縫製し、米国に輸出する。縫製品に占めるベトナム生産の比率は、現在の55%から7月以降に60%超に高まる見込み。将来は南部ホーチミン市近郊で織布や染色関連の数十億円規模の設備投資も検討する。

伊藤忠はTPPをにらみ、ベトナムに月50万メートルの織布生産能力を持つ生地工場を14年に設立した。同社はシャツを受託生産し、主な販売先は米国。能力は現在2倍に増強したが、TPP発効で対米輸出が増え、需要が拡大するとみている。需要増に対応し新たな設備投資も検討している。

東レもベトナムで縫製品の生産を拡大中。子会社の蝶理がホーチミンに現地法人を設け、米国などに縫製品を輸出する。東南アジアの縫製技術の指導役を集め、縫製の拠点としても育てる。綿紡績のシキボウは中国子会社の縫製工場を縮小し、ベトナムの協力工場での生産を増やす。近く協力工場で寝装品向けの織布の生産を始める。

バングラデシュやミャンマーより賃金は高いものの、ベトナムの縫製工の技術力は高い。日本製原糸をベトナムで縫製して輸出するモデルが定着すれば日本の繊維産業の復調を後押ししそうだ。

他の製造業にもベトナムでの増産の動きは広がっている。時計製造大手のリズム時計工業は中国で製造していた米国向けの腕時計や置き時計の完成品などの製造をベトナムの工場に順次移管する。現在、米国向けは時計の完成品で7%程度の関税がかかっている。

日本勢を含め外資のベトナム投資拡大が相次いでいるのは、中国の半分程度の人件費に加え、政府が規制緩和を推進しているためだ。TPPや東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体のほか、韓国や欧州連合(EU)とも貿易協定などを広げており、魅力が高まっている。

縫製業では中国、台湾、韓国からの投資が多く、縫製以外でも靴、革製品、農水産品がTPPの恩恵を受けると有望視されている。規制緩和では、15年に原則禁止してきた外国人の不動産所有を最長100年間認められ、最高49%だった上場企業への出資規制も撤廃された。』

最近、ベトナムに対する関心が高まっています。本日の記事は、ベトナムに対する関心が高まっている理由や背景について書いています。

私は、半年に1度くらいの頻度でハノイ市やホーチミン市を中心に訪問しています。半年に1度くらいの頻度でも、両市の変貌・発展していく様を実感しています。

ベトナムの魅力は、幾つかあります。私にとって最も魅力的なことは、ベトナムでは15歳から64歳までの生産年齢人口が増えていることです。

生産年齢人口の増加は二つの意味をもっています。一つは、製造工場などでの労働力確保が可能になることです。もう一つは、消費者市場の中核を担う中間所得層が成立することです。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、電気電子機器や自動車関連機器などの日本の製造事業者は、約50年以上継続してタイに投資してきました。タイの政情が他のアセアン諸国に比べて安定していること、親日的、生産年齢人口が増加していたことなどが主な理由になります。

その結果、タイはアセアン地域で有数の産業集積した国になりました。バンコク周辺の工場団地では、日本の東京や大阪などと同じように、6次下請けの事業構造が構成されるようになりました。

タイの軍事政権設立後、一般的に経済状況は以前ほど活発になっていませんが、現時点でも失業率はほとんどゼロに近い状況になっています。

また、タイの生産年齢人口は、2015年ころをピークに今後減少していきます。さらに、タイの労働者賃金も、シンガポールやマレーシアほどではないですが、高くなっています。

つまり、タイはアセアンの中で製造業を中心した高度経済成長が終わりつつあり、安定した消費者市場になりつつあることを示しています。

一つの例として、タイから日本への観光客数が増えていることは、中間所得層の購買力が増えていることを示しています。

アセアン域内では、ベトナム、フィリピン、インドネシアが第2のタイを目指しています。日本や欧米からの投資を呼び込んで、産業基盤を育成強化しようとしています。

これらの3カ国の中で、トップを走っているのがベトナムです。ベトナムの港湾施設や鉄道・道路などの社会インフラが、比較的整備されつつあることも理由の一つになります。

さらに、ベトナムが一歩抜きん出たのはTPPに参加したことです。ベトナムは、社会主義国です。中国ほどではありませんが、社会主義国特有の問題を抱えています。その一つとして、役人から要求される賄賂があります。

ベトナム政府は、この問題の深刻さを理解しており、賄賂撲滅の動きをかけていますが、実体はあまり以前と変わっていないのが実情です。

しかし、TPPが日本や米国で批准されて実行されるようになると、ベトナム内の経済・ビジネス活動の透明性が増すことになりますので、徐々に役人からの賄賂要求の頻度減少が期待できます。

ベトナムでは、外資に対する規制が存在していますが、TPPが実施されると規制緩和が進みます。本日の記事によると、「15年に原則禁止してきた外国人の不動産所有を最長100年間認められ、最高49%だった上場企業への出資規制も撤廃された」とあります。

ベトナムは、タイが歩んだのと同じような道を歩くことになります。現時点では、中国の50%程度とされる労働者賃金もいずれ上昇していきます。

同時に、ベトナムで失業率が減少し、多くの労働者の賃金が上昇すると、今のタイ以上の消費者市場が形成されるようになります。

今後、アセアン域内あるいはバングラデシュなどの近隣諸国で、事業展開するときは生産年齢人口の動き、今までのアセアン諸国の経済的変化や、アセアン経済統合の効果・影響、TPPを含めた各種の自由貿易協定(FTA)、社会インフラ整備状況などの情報を事前に入手・分析して、しっかりとした行動計画を作成して、実行することが重要になります。

今後のアセアンの動きについて、引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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