米国特許判例:均等侵害と故意侵害(第1回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例:均等侵害と故意侵害(第1回)

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米国特許判例紹介:均等侵害と故意侵害(第1回) 
〜心臓用カテーテルの均等判断〜

       Jan K. Voda, M.D.,
         Plaintiff-Cross Appellant,
         v.
         Cordis Corp.,
      Defendant-Appellant.

河野特許事務所 執筆者 弁理士 河野英仁 2008年10月24日


1.概要
権利範囲の解釈にあたってはクレームを文言どおりに解釈する文言解釈が原則である。しかしながら、文言解釈を厳格に適用した場合、文言に合致しない迂回技術を採用することで第3者が容易に特許の網をすり抜けることができてしまう。

 このような不合理を回避するために、クレームの文言に加え、これと均等な範囲にまで権利範囲を拡張する均等論が存在する。イ号製品がクレームと均等か否かを判断する場合、非本質的テスト、または、Function-Way-Result(以下、FWRテスト)が採用される。本事件においては、地裁及びCAFC共に、いずれのテストにおいても均等と判断した。

 また、故意に特許権を侵害した場合、損害賠償額が3倍にまで引き上げられる。故意か否かの判断基準は、近年Seagate事件により明らかにされた。Seagate事件においては、従来は故意侵害を回避するために必要と考えられていた弁護士の鑑定が、必ずしも必要とはならない等、故意を認定する際の要件が厳格化された。

 本事件では、地裁において故意侵害と認定され、その後Seagate判決がなされた。控訴審では、Seagate事件で判示された故意侵害の要件に照らし、原判決が、妥当か否かが争われた。CAFCはSeagate事件における要件を適用した場合、地裁の結論が覆る可能性があることから、地裁の判決を取り消し、再度Seagate事件における要件に合致するか否かを判断するよう命じた。(第2回につづく)