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山中 昇
山中 昇
(英語講師)
白尾 由喜子
(英語発音スペシャリスト/英語プレゼン講師)

閲覧数順 2024年04月19日更新

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英語教育者としての37年 - So Much Fun to Talk About

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日本の英語教育

アメリカの雑誌タイム誌勤務が大きな動機となり、日本で「英語教育」の世界に飛び込んで随分長い年月が経ちました。

 

1978年、3人息子の末っ子が生まれたのを契機に、悲惨なまでに遅れている「英語教育」に一石を投じたいと挑戦を始めました。

 

いやぁ、面白かったですね。

私の人生で絶対譲れないもの “Freedom” (autonomy と言ってもいいですねー自分で自分のことを決められる自由)をこれほど存分に発揮できる仕事は他にはないかもと思えるほどです。

 

タイム誌を通じて得た知識・スキル・ネットワークをふんだんに利用した、「私の英語教育冒険」が始まりました。

 

長い長い経験を書き始めると膨大な長さのコラムになってしまいますのでテーマを絞ります。

「私の英語教育冒険」の主題は「10年早すぎた挑戦」です。

 

日本の英語教育の恐ろしい遅れを目の当たりにしながら、何が私にできるかをどんどん考え、新しいことを過激に提唱して来た37年です。

 

10年早すぎた挑戦 その(1)

 

英語は問題集や教科書に書いてある暗号ではなく、生身の人間が使う言葉であること。

その生身の人間には、日本人と同じように歴史も社会もあり、日常生活を営む上での大切なコミュニケーション媒体として使うのが英語言語であること。

 

その英語を理解するためには、実際にその国に赴き、英語を使う社会で生身の人間と生活すること。

 

「私の英語教育冒険・ホームステイプログラム編」が始まりました。

1986年のことです。

 

まだまだ特別な堅苦しい団体が一部のお金持ちの子供たちを外国に送り出していた時代です。

明治時代に特権階級の子息だけが英語圏に送られたのとそう変わらない時代です。

 

滞在先は自分が探しました。

航空券も自分で手配しました。

実際にコンタクトを取り、ここならと思うところに自分の息子一人とあと生徒一人を連れて乗り込みました。

国際電話がとてつもなく高い時代。 エアメールもかなりの時間がかかりました。

最初の行き先はニュージーランドでした。

 

「え?ホームステイ? って何するんですか?」の時代です。

親の理解を得始めるまでに数年かかりました。

やっと10名ほどを連れてのプログラムが成立するようになるまでには5年の歳月が流れました。

 

旅行代理店や留学業者などが「ホームステイ」をビジネスにし始めたのがそれからまた5年ほど後のことです。

そのまた5年ほどしてから、各地の教育委員会などが業者にお任せのホームステイプログラムを始めましたね。

 

生徒がどんな家庭に滞在し、どんな学校を体験し、どこに行くのかは全く業者任せ。

英語もろくに出来ない教員が物見遊山で引率し、自治体の税金が業者の懐に入るプログラムです。

その頃にはやっと生徒の親たちにも「私のホームステイプログラム」の価値が浸透してきたようで、参加者が毎年20名以上になるなど忙しい時期を経験しました。

 

が。

そのような大規模なホームステイプログラムでには、いかに「私の手作り」とは言え、超速で進化する世界についていける経験はさせられないと認識し始めました。

「私のホームステイプログラム」開始後20年。

世間で一般的に「ホームステイ」が「カッコ良い英語の経験」だとして広まってきた頃です。

 

その後は、少人数の生徒たちを、カナダの小さな町に密着させるプログラムに徐々に移行。

日本の子供がカナダの社会を理解しそのの一員として生活できるようなプログラムです。

ダイナミック(動的)な世界を深く体験させるプログラムを始めて以来、参加した生徒たちのその後の能力が変わってきました。

「世界で生きるためには自分には何が必要か」を感じとったかのように。

 

あと10年もすれば、いわゆる業者や地方自治体の「ホームステイ」でも内容をもっと個々に合わせたものになるのかも知れません。

 

が。

その頃には私はもっと先を走っています。

「ホームステイプログラム」自体が時代遅れだからです。

 

英語圏の社会と人たちの中で、日本の子供が真剣に何かを学び取るには、もっと進化したプログラムが必要です。

これからの世界を生き抜ける能力の芽を創るための全く新しいプログラム。

2017年開始。

 

 

10年早すぎた挑戦 (2)

 

 

パートナー Robert McMillan との出会い。

 

1978年に小さな「英語教室」からスタートした私の挑戦。

「私のホームステイプログラム」が起動に乗り始めた頃、日々の授業でのNative Speaker の存在の重要性を感じ始めました。

1987年あたりの話です。

 

ちょうど日本がバブルに浮かれていた後半。

経済力が上がるけれど、一向に上がらない英語力に劣等感を抱く日本感情につけ込んだ、いわゆる「英会話学校」が乱立し始めた頃です。

都会では金髪・青い目の外国人たちが、当時でも時給5,000円という職のため来日し始めた頃です。

「何かが大きく違う」と思いました。

外国人と「英語ごっこ」をしているだけじゃないかと。

 

私の住んでいる愛媛県では、まだまだ白人は珍しく、子供達がぞろぞろ後を追いて行った時代です。はて、どうしようかと考えている時、新聞で「ボランティアホストファミリー」登録のお知らせを目にしました。

主にヨーロッパからやってくる若いバックパッカーたちにボランティアとして2泊の限度でホストファミリーをするプログラムです。

 

始めたのが1987年。

来ました、来ました。

ノルウェー・デンマーク・ドイツ・イギリス・イタリア・オーストラリア・ニュージーランドなどから若者がやってきました。

生徒たちの受けた刺激は言葉ではとても言い表すことが出来ません。

世界が教室にやってきた!

 

いわゆる「会話学校」がやっているフレーズを暗記しておうむ返しに会話するのではなく、内容がいっぱいある話をするにはどんな英語能力が必要なのかに、生徒たちが気がつき始めました。

 

そして、私が感じたこと。

英語のマナーを教えることの重要性です。

“How are you?” は単なる言葉ではなく、そこに込める感情、イントネーションなどの重要性を生徒に教え始めました。

それがコミュニケーションだと教え始めました。

 

(これは「10年早すぎた!」どころか、未だに日本の英語教育の追い付いて来ていない分野です。 私のところに途中から入会する中学生・高校生にまず教えることは未だに「英語のマナー」です。 学校や塾や会話学校で英語教育は随分経験しているはずの子供たちなのにと不思議です。 大人? 問題外。)

 

1989年、カナダ人パートナーとの出会いです。

金髪・青い目のくせに、都会での仕事など自分には全く向いていないと、はるばる愛媛までやってきたRobert が、どうして「私の英語教育冒険」の同志になったかというと。

 

私の生徒たちの「英語マナー」に驚いたからです。

挨拶も「ハロ〜」ではなく、彼の母国カナダで日常耳にする、感情のこもった”Hi!” だったことに完全にやられたそうです。

 

それから今日まで。

Robert と一緒に創り出したプログラムは数知れません。

 

外国人教師は単なる会話クラスのエンターテイナーではないことを、Robert は日本滞在30年近くの実績で証明して見せました。

 

Secret Gesture: 子供に英語の自然な表現を教えるために編み出した方法です。 人間は言葉を発するときに自然に表情が変わったり、四肢が動いたりします。 英語圏での表情・動作をシリーズにし、子供達の脳に教え込んだ傑作です。

 

Special Writing: Robert のSignature Work ですね。 英語がいかに論理的思考に基づいたものかを指導するために創作したEssay Writing シリーズです。 このSpecial Writing のおかげでカナダ・アメリカの大学の宿題のレベルについていけた生徒たちも非常に多数です。

 

Big John Math Series: 日本式思考法から英語思考法への過渡期を経験できる「算数を英語で」コンピュータープログラムです。 これを経て英語の世界に入ってきた子供達の理解力のスムーズさは驚きです。

 

Computer Science: 小学生からコンピュータープログラミングを英語で指導。 もともと数学専門家であるRobert の本領発揮です。 オンラインのプログラムも始め、JavaScript を難なくこなす小学生が!

 

まだまだ、まだまだ、ありますが、このようにして、Robert の持つ能力、英語話者であるからこその直感と、私の能力・特性が大きく融合した指導を進めて来たことは、私たちの誇りです。

 

10年早すぎた?

この分野は日本より100年早すぎたようです。

 

日本中の学校に配置されているALT(assistant language teachers), 給与だけで年間1億3千万円の税金を無駄遣いしている日本政府。

せっかく持っているもともとの能力を使うこともできずにALT たちは毎日、自己紹介、ゲーム、そしてCDの代わりに教科書を読む英語授業をしている日本の英語教育現場です。

 

10年どころか、私とRobert は走る国を間違えたようです。

 

10年早すぎた挑戦 (3)

 

「留学」

 

「留学」とは、特別な能力・資質を持った日本の子供が、その能力を発揮するためには日本の教育制度では余りにも制限が多いため、最適な教育環境でその能力を伸ばすこと。

 

この定義の元、1994年、カナダB.C. 州、Greater Vancouver 地域で「高校留学」「大学留学」のサポートに乗り出しました。

カナダの公教育が留学生獲得に本気で乗り出した頃です。

 

一向に変わらない日本の教育、日本的思考の融通のなさに潰される日本の子供の能力を救いたい。それが動機でした。

「留学」は優秀な子供だけが出来るもの。

これも信念でした。

 

「高校留学」は10年後の2004年、一時撤退しました。

理由の一番大きなものは、いわゆる「日本人高校留学生」の恐ろしいまでの質の低下です。

 

雨後のタケノコのように出てきたイカサマ留学業者が、一人送っていくら!式のビジネスで無責任に生徒を送り始めました。

受け入れ先の公教育も一人の生徒が払う授業料の大きさ(約120万ほど)に目がくらみました。

 

日本中から、日本の高校では何も出来ない非常に質の悪い高校生が留学し始めました。

そんな高校生の親たちは、まるで厄介者を追っ払うように自分の子供を外国に送ることに執心しました。

能力がないので、卒業は出来ません。

それでも親は何かにとりつかれたように必死で子供を送ります。

業者も「バラ色の留学」を囁いて親と子供を騙します。

 

結果、「日本人高校生」は「英語が出来ない」「学力も低い」代名詞にもなってしまいました。「授業料だけ払わせておいて、どうせ英語が出来ないので、適当に扱えばいい。」これです。

 

そんな中で、私が送る「準備をして送り出す資質の高い高校生」を守ることは至難の技でした。

その当時の日本の親世代も困った年代でしたね。

「留学生の面倒を見る」というよりも、「親の面倒を見る」ことに嫌気がさしたのも一時撤退した理由の一つです。

 

日本中が「留学」についてきたのはいいけれど、余りにも呆れる低レベルだったので、一緒にされてはたまらんと撤退した「高校留学」。

そこに復活したのは、今年2016年です。

 

「カナダの小さな町」で全く新しい形の「高校留学」。

カナダ教育制度の最高の魅力 Flexibility (個々の生徒に合わせる)を最大限に利用し、個別の計画を立て特定の能力を伸ばす。

単に「高校留学」ではなく、「〜〜さんが〜〜という特別な能力を、〜〜と〜〜などのカナダのプログラムを使い、最高の形で伸ばす勉強」を生徒一人一人のために創りだす。

それを支えるのが、カナダの小さなコミュニティ。

 

ここでもRobert のカナダ市民ならではの特性と、カナダ社会に深くまで入り込んだ彼の人的ネットワークが大きな味方です。

 

走り出したばかりの「私とRobertの英語教育冒険・留学編 Take 2」。

紆余曲折が待ち構えているでしょうが、2〜3年後には答えが見え始めているはずです。

 

さて、10年後、日本はついて来ているでしょうか。

 

 

どんどん前を走っていくことにします。

“Freedom” を満喫しながら。

 

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