
- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
この水蒸気が外壁の外側で冷やされて結露を起こす前に、外壁通気層に抜けてしまえば問題はないのですが、そこに透湿抵抗(湿気の通し難さ)の大きな構造用合板が張られていると、水蒸気の逃げ場がなく、そこで結露を起こしてしまうことになるのです。
従って、充填断熱を行う場合には、耐力面材としての構造用合板の使用は避けなければなりません。
反対に、構造用合板の外側に発泡プラスチック系断熱材による「外張り断熱」を施すなら、内部結露問題に対しては極めて有効であり、理にかなった断熱法と言えます。
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しかし今では、耐力面材としても使える自然系の透湿性の高いシージングボードがでてきています。
石油化学建材をできるだけ使わない、という意味からも、紙の様に薄い板を何枚も化学接着剤で張合わせた構造用合板や発泡プラスチック系断熱材を、できるだけ使わない設計仕様に切り替えてゆく必要があります。
必要な事は、高気密・高断熱に関わらず、軸組の室内側にはできるだけ水蒸気を通し難い、即ち、透湿抵抗の大きな材料を使い、軸組の外側にはできるだけ壁体内に侵入した水蒸気が抜け易い、即ち、透湿抵抗の小さな材料を使う事で、内部結露に対する安全性への配慮を怠らないことです。
勿論、今までの様に25年で建て替えることが前提ならそれでも構わないかもしれません。その時には設計者の瑕疵責任も問われることもないでしょう。
しかし、これからの長寿命住宅を考える時、こうした基本的なことを知らないでは済まされないのです。