- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
軸組の外側に構造用合板を張り、軸組の中にグラスウールなどの断熱材を挿入し、室内側には石膏ボードを張る、というのは、現在最も一般的に行われているやり方かもしれません。
これで石膏ボードとグラスウールの間にきちんと気密シートが張られていて、水蒸気の壁体内への侵入を防いでいれば問題はありません。これは高気密・高断熱における基本的な充填断熱工法です。
しかし、首都圏では公庫物件(現在ではフラット35など)で、次世代省エネ基準の割増融資を受ける場合を除き、気密シートを張る、ということは極めて煩雑な作業であり、高気密・高断熱の知識も希薄なため、ほとんど行われていないのが現状です。
現在、グラスウール製品の多くは気密シートの耳付きのものが用いられていて、それを柱、間柱間に留め付けることで容易に防湿気密が図れる様になっていますが、作業員(大工さん)がその意味をよく理解していなかったり、筋交いのある箇所など、取り付けが難しい場所では、きちんと施工されていない場合がほとんどです。
例え、きちんと施工されていても、コンセントなど、気密シートに穴を空けた箇所を気密テープで塞ぐ、ということまで厳格に行っているケースはまずありません。
首都圏において正しい充填断熱ができる工務店があるのか、と言えば、ほぼ壊滅状態に近いと言って過言ではありません。