- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
「子供には英語が出来るような環境を!」という親たちの「需要」をチャンスとばかり、意義のよくわからない似非インターナショナルスクールが乱立していますね。
必死になってインターナショナルを気取りたい日本の大学の「国際教養学科! 」とやらもやたらと多いようです。
いくら英語で授業をしても、頑張ってクリティカルシンキングを教えようとしても、国際バカロレアを引っ張ってきても、外国人学生を招いたイベントでみんなでピースサインの写真を写しても、「学校が日本にあり」「親が英語のNative Speaker でもない限り」単なる「英語ごっこ」に終わることは明らかですが、「ま、好きなようにやってください」と思っていました。
ところが。
その似非インターナショナル教育に放り込まれた当の生徒たちへの深刻な結果がそろそろ表面に出てきたようです。
こんな相談を受けました。
「日本のインターナショナルスクールでIBのプログラムを取り卒業。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)の1年生ですが、入学後2ヶ月ですでに日本が恋しく、帰国して、日本の大学の「国際教養学科」を再受験しようと思っています。
UBCのような大きい大学では自分から積極的に話しかけないと仲間に入れません。 私は積極的な性格ではないので難しいです。
また、バンクーバーは日本のような都会ではないので、social lifeがとてもつまらないでです。 勉強をすること以外何も得ることができないので、外国で勉強してる意味が見えません。
UBCを1学期でやめ、日本で早稲田の国際教養を受験しようと思っていますが、日本で絶対就職したいならどちらの方が有利でしょうか。将来は、日本の音楽業界でManager クラスの仕事をしたいと思っています。。」
あらあら。
文面から心配なことがたくさん見えてきました。
1. カナダそしてUBC のことも、バンクーバーもよく知らないまま、留学してしまったようですね。
また、英語圏で必須の行動にも戸惑いを感じているようです。
英語圏では、どんな大学に行ったとしても、他の学生とInteract したいのなら、自 分からどんどん前に出て行かないと何も始まりません。社会での生活も全く同じです。
「積極的に前に出る性格」が必須です
本人が「積極的ではない」とよく知っていてなぜカナダを選んだかが非常に不思議です。
日本のインターナショナルスクールでは、受け身で言われることをやっていれば面倒を見てくれたのでしょうか?
それなら、インターナショナルスクールの意味がないですね。
または、自分の意思ではなく、もともとあなたをインターナショナルスクールに入れた親の選択か、または、卒業生の進学先で評判を高めたい学校の選択かな?
そして、その勧めに自分の意思もなく従いましたか?
スタート時点から大きく間違っている気がします。
2. あなたの持つ「留学」「大学」の定義は何でしょう?
インターナショナルスクールなら、もちろんクリティカルシンキングは学んだと思います。クリティカルシンキングの第一歩は「定義」ですね。
あなたの「大学」の定義は?
もしかして、アルバイト、サークル、飲み会など、日本の大学生がなぜか頑張っているそれらですか?
そうなら、完全に国の選択を間違えましたね。
カナダの大学は「勉強」するところです。
友達とつるむところでも、サークル活動に精を出すところでも、飲み会に明け暮れるところでもありません。
様々な勉強での活動を通じて、やがて同じ興味を持ち、同じレベルの学力を持つ仲間を見つけて行く。
これがカナダの大学です。
「留学」の定義は?
外国で、自国では出来ない勉強をすることのはずですよね。
日本と同じ環境で勉強したいなら、「留学」する意味はないですね。
カナダ第二の都市でもあるバンクーバーは、カナダが誇る多民族国家の象徴でもあり、世界からやってきた移民難民たちが目を輝かせて生活しているところです。
大学も多民族を絵に描いたようだと思いますが、違いますか?
そんな人たちと積極的に交わり多くを実社会から学ぶことが、バンクーバーでのSocial Lifeであり、「留学」の大きな意義です。
日本と同じことをしたいのなら、日本で大学に行くしか方法はないと思いますよ。
3. Who Are You?
英語圏で成功するための教育に欠かすことの出来ないこと。
それは Who Are You? を深く認識する学習です。
カナダの教育課程ではGrade One レベル以前から、あらゆる方法を使い、生徒たちに自分のことを学ばせます。
例えば、具体的に言うと、下記の質問にかなり具体的に答える形で自分のことを語れること。
Who are you?
What are your gifts?
What are your interests?
What are you talents?
What are your characteristics?
“Who I Am” を認識した後は、その自分を社会で最大に生かすにはどうするのかを学んでいきます。
これがカナダなどの学校でやっていることです。
あなたの才能、興味、スキル、そして特別な性格を考慮し、大学での専攻は決めるべきですね。
例えば、音楽業界(瀕死状態ですが)の5年後を考えると、IT 特にComputer Science に長けた人材が一番必要とされるでしょう。
Data の分析能力も必要。
英語と日本語でのずば抜けた交渉能力も必要。
これらはもちろん大学、大学院での勉強で身につけることは出来ますが、もともと自分の中に適性がない場合は、まずEmployable level になることは不可能に近いです。
「将来は、日本の音楽業界でManager クラスの仕事をしたい。」ことは、どこから出た希望なのでしょうか?
「積極的な性格ではないマネージャー」なんて雇いたい会社はないと思いますよ。
それは、UBCを出ても、日本の大学を出ても同じです。
長年、優秀な日本の生徒に英語の思考法を指導し、多くの教え子が、カナダと日本の大学に進学した経緯の観察と、自らの日本の大学・カナダの大学(UBCも含めて)の経験から書いてみました。
が。
正直なところ卒業なさった「インターナショナルスクール」にもたくさんの質問をぶつけたい気持ちです。
現在のあなたには、カナダでの勉強は適していないと思います。
決断して日本に戻るかは、あなた次第ですが、「帰りたい」気持ちでいっぱいのようですね。
カナダの国に、また英語の思考法に、英語圏での行き方に、再挑戦するならばそれも良し。撤退するならそれも勇気ある決断だと思います。
今までの間違った選択に終止符を打つわけですからね。
余談ですが、先の世界大学ランキング(Times Higher Education)では UBC は34位、東大は43位、早稲田は384位です。
インターナショナルレベルでの大学の評価ですね。
Good luck with your life-long trip.
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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