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日経記事;『東芝,ソニーに事業売却 画像用半導体200億円で リストラ着手 大分工場の一部譲る』に関する考察

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経営戦略 M&Aの事例と経営上の課題

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月24日付の日経新聞に、『東芝,ソニーに事業売却 画像用半導体200億円で リストラ着手 大分工場の一部譲る』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝はスマートフォン(スマホ)などに使う画像用半導体事業をソニーに売却する最終調整に入った。売却額は200億円規模とみられる。画像センサーを生産する大分工場(大分市)の一部をソニーに譲り、主力の一つである半導体事業を再編成する。

ソニーは画像センサーで世界首位の座を固める。会計不祥事を受け、東芝は事業売却による本格リストラに着手する。

半導体を中心とする電子デバイス事業は東芝の連結売上高(2015年3月期で6兆6559億円)の4分の1を占める。NAND型フラッシュメモリーで全体の利益のほとんどを稼ぐ一方、今回の画像センサーを含むシステムLSI(大規模集積回路)や単機能半導体(ディスクリート)は低収益が続いていた。

東芝は半導体やパソコン、家電の収益力が低下していたが、不適切会計で利益がかさ上げされ、構造改革が遅れていた。画像用半導体事業の売却を契機に低収益事業のリストラを急ぐ。

売却対象はCMOSセンサーを主力とする画像センサー事業。東芝とソニーは事業売却の基本合意に向けて詰めの交渉に入った。大分工場で最も新しく、直径300ミリメートルのシリコンウエハーに対応した先端工場棟を売却する。

ソニーは製造設備や人員の一部を取得するほか、自動車やカメラメーカーなど既存顧客との取引を継承する。東芝は事実上、画像センサー事業から撤退する。

東芝は強みとするNAND型フラッシュメモリーで容量を増やした次世代製品を16年1~3月期から四日市工場(三重県四日市市)で量産する計画。不振事業を縮小し、限られた投資はメモリー事業に集中する。室町正志社長は9月末の新体制発足後、不振が続くシステムLSIと単機能半導体の構造改革を先行させる意向を示していた。

ソニーは大分工場をCMOSセンサーの生産能力増強に充てる。今夏には公募増資などで総額約4200億円を調達し、CMOSセンサーの設備投資や研究開発費に大半の資金を振り向ける方針を示した。

今年に入り、約1500億円を投じて16年9月に15年比で約3割増となる月産約8万7000枚(300ミリウエハー換算)に生産を増強する計画を公表済み。16年以降、スマホにカメラを2個搭載する「複眼カメラ」が広がる見通しで画像センサー需要の急増に備える。

調査会社のテクノ・システム・リサーチ(東京・千代田)によると、14年の東芝のCMOSセンサーの世界シェア(金額ベース)は1.9%、ソニーは40.3%だった。韓国サムスン電子が追っており、ソニーは積極投資で競合を突き放す。

日本の半導体事業は東芝がメモリー、ソニーが画像センサー、ルネサスエレクトロニクスがマイコンなど、得意分野に経営資源を集中する体制が鮮明になる。米インテルが米半導体大手アルテラを約2兆円で買収するなど世界の半導体産業は再編が活発になっている。』


本日の記事は、東芝が新経営陣のもとで行い始めた集中と選択作業の一つとなるもので、半導体事業の一翼を担うCMOSセンサー事業をソニーに事業売却する動きについて書いています。

私は、本ブログ・コラムで何度か国内の総合電機メーカーの中で、東芝を日立製作所と共に、ソニーやパナソニックなどに比べて一足早く集中と選択作業を開始して、環境やエネルギー、ITなどの新規事業分野に集中投資する動きをかけた企業として高く評価してきました。

何社かの中小製造事業者に東芝の集中と選択作業の内容を説明して、参考にするようにアドバイスしました。

しかし、東芝が今まで公表してきました経営数字が正確なものではなく、巨額損失をごまかすために不正に操作していたことが判明して、東芝に対する信頼をまったくもてない状況になっていました。

今後、東芝の新経営陣がどのような集中と選択作業を行っていくか、動きについては注視していきたいと考えています。将来、東芝に再び注目するかどうかは、正確な経営数字の確保・公表をし続けられることと、集中と選択作業の内容・結果によります。

東芝が今回ソニーへの事業売却を決めたCMOSセンサー事業は、東芝の中ではマイナーなビジネスです。

本日の記事によると、東芝のCMOSセンサー事業の世界市場でのシェアは、1.9%です。この小さなシェアでは、右肩上がりの成長市場でも収益拡大を目指すことは難しい状況です。

ソニーは別格として、サムスンや米オムニビジョン、キャノンなどが、東芝より大きなシェアをもっていることや、多数の競合他社が当該市場に存在することによります。

東芝は大きな半導体会社でありますが、今後は、強みをもっているNAND型フラッシュメモリー事業に注力するとのこと。これは、合理的な経営施策です。

これは、競争の激しい世界市場で勝ち組になるには、一定規模以上のシェアを確保しつつ、競争力を維持強化するために巨額投資を続ける必要があることによります。

東芝は、世界市場1.9%に巨額投資を行うことができません。この視点から、ソニーへの事業売却は、東芝にとって正しい選択になります。

ソニーの視点からみますと、東芝からCMOSセンサー事業を買い取ることは、大きなメリットがあります。

CMOSセンサーの需要が、スマホ、各種IoT対応、自動車の自動ブレーキ・自動運転など数多くの事業分野で大きく使用される状況が確実になっていることによります。

ソニーは、本日の記事によりますと、世界市場で40.3%のシェアをもっていますが、もっとシェアを拡大して、競合他社を突き放して、巨額投資を続けられないビジネス環境を作る必要があります。

このため、ソニーは2015年に公募増資などで4200億円を調達しました。この事業環境の中で、ソニーが東芝からCMOSセンサー事業を買収することは重要な意義があります。

ソニーは、東芝から工場や最新の製造設備、関連従業員の一部に加えて、自動車やカメラメーカーなど既存顧客との取引を継承することになります。ソニーは、東芝の既存商圏を獲得できます。

とくに、ソニーにとって自動車の顧客獲得は、CMOSセンサー事業の自動車市場参入を加速させる効果を期待できます。

また、当然のごとく、ソニーは東芝工場の獲得で、CMOSセンサーの生産能力を拡大できますので、当面、iPhoneなどのスマホ用途の需要拡大に対応しやすくなります。

今回の事業売却は、東芝・ソニーの双方にメリットがある「Win/Win」関係になります。今後とも、CMOSセンサー事業売却が東芝とソニーにどのようなプラス効果を発揮するのか、注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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