キャリア・クライシスに企業経営陣・人事部門はどう向き合うか? - 人材育成全般 - 専門家プロファイル

戸村 智憲
日本マネジメント総合研究所合同会社 理事長
東京都
経営コンサルタント ジャーナリスト 講師
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キャリア・クライシスに企業経営陣・人事部門はどう向き合うか?

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先日、経営プロサミット2015(6月4日)のパネルディスカッションに登壇してきました。

http://www.jmri.co.jp/KeieiProSummit2015.June.4.Tomura.pdf

その際の課題・テーマとして、シニアのキャリアや少子高齢化・ダイバーシティ経営・これからのキャリア開発・人材開発などについて、さまざまな観点から各パネリストよりコメントがありました。

わたくし戸村からは、下記のようなお話しをさせて頂き、ご参加の大手経営陣・幹部層・人事部門の方々に問題提起と打開策のポイントについてコメントさせて頂きました。

・従来からの「キャリア」や「キャリア開発」といった概念が通用しなくなってきている!

 キャリア開発は資格を社員に取らせてどうなるものでもなくなってきました。資格の最難関である弁護士や公認会計士では、弁護士ですら年収200万円台の人も少なくありませんし、そもそも、弁護士になったは良いものの、法律事務所や企業内弁護士として就職すらできずに漂流しているような状態も少なからず見受けられます。

 これからの「キャリア」とは、単に社内で手技・技法・作業などの習熟度をもってキャリアアップしたというものではなく、今、ポンと防波堤の中で波風たたない社内から社外に放り出されたとしても、自律的に生き働いていける適応力やサバイバビリティーをもった、社外で通用する人材を育成することが重要なのです。

 社内だけの内弁慶的な人材開発研修だけでなく、シニア・インターンシップなどにあるような「他流試合」をどんどんこなし、シニアの方は定年というキャリア・チェンジ期に計画的に適応力や柔軟性を取り戻していくことも大切です。

 また、これまでは多くの企業で副業禁止の規定がありましたが、昨今では副業OKや逆に自社内だけの「専業禁止」を打ち出す企業もあるように、これからはキャリア開発の文脈で、「あなたはわが社でしか仕事ができず、副業すらできない人材・能力なのですか?」と問われるような状況になってきているように思われます。

・「定年再雇用」から「定年再起動」へ!

 シニア・インターンシップの講師としても、また、シニア人材の定年再起動プロジェクトを担当する者としても、常々申し上げているのが、定年再雇用として漫然と雇用され続けるのではなく、定年を機にこれまでの良いスキルやノウハウや経験というデータはそのままに、新たに自己実現や社外という異文化で生き抜く力・しなやかな適応力を備え、リフレッシュと無駄・害になるものをそぎ落とした定年再起動が重要であるということです。

 また、スムーズなキャリア・チェンジを進めるうえでは、定年を迎えてからいざどうするかを検討するのではなく、定年前にプレ・シニアの段階から、キャリアを変える以前に生き方・働き方・社会とのかかわり方における「マインド・チェンジ」を十分に行えるようにしておくべきです。

 その点で、私のもといた国連などでは「サステイナブル・デベロップメント(持続可能な開発・発展)」というキーワードがよく出てきますが、キャリア開発が社内研修づけの「乱開発」になっていないか、また、入社から退社・退職に至るまで、「サステイナブル・キャリア・デベロップメント」になっているのかという点もかなり気になります。

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