又吉直樹『火花』を読んでみた! - コラム - 専門家プロファイル

湯田 佐恵子
結婚相談&婚活コンサルティングのリアルラブ 
東京都
婚活セラピスト、心理カウンセラー

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閲覧数順 2024年04月18日更新

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又吉直樹『火花』を読んでみた!

- good



by Don

「臆病でも、勘違いでも、
救いようのない馬鹿でもいい、
全力で挑める者だけが
漫才師になれるのだ。」

「それがわかっただけでもよかった。
この長い月日をかけた無謀な挑戦によって、
僕は自分の人生を得たのだと思う。」

オーラスにある文章。
主人公の僕(徳永)の感慨なのですが、
作者又吉さんが
この小説に挑むことで得られた
栄誉と重なりますね。

この辺りの文章はモノに憑かれたかのように
文学の神様に憑かれた?)
良いです。

ここを書きたくて、
すべてが準備されたような。

花火に始まり、花火に終わる小説。

太宰が愛し、生きた無頼派、
現代の無頼派は、お笑い芸人だった!
安吾や織田作、檀一雄も。
(新戯作派とも)

主人公の僕が、
漫才の師匠と慕う神谷さんと繰り広げる世界は、
昔の“文士”の世界を彷彿とさせる。

というより、
又吉が現代に蘇えらせたというべきか。

太宰は一方的に師匠の井伏鱒二を困らせたが、
『火花』では逆転している。
終始、僕を困らせるのは師匠の神谷さん。

神谷の圧倒的な話芸そのものが
もっと描かれても良かった。

弟子の僕・徳永(コンビ名・スパークス)が
神谷の芸を模倣し、
その延長上で、
理想とする漫才、美学、
芸人道が追究される。

最後の舞台で師を超えてゆくシーンが秀逸。

僕(徳永)
「あえて反対のことを言うと宣言した上で、
思っていることと逆のことを全力で言うと、
明確に想いが伝わるんちゃうかなと思うねん」

相方
「お前は、最後まで、何をややこしいこと言うとんねん」


「まあ、やったらわかるわ。行くぞ」


「理屈っぽさと感情が爆発するとこ、
矛盾しそうな二つの要素が
同居するんが
スパークスの漫才やな」
(神谷のセリフ)


クライマックスの後の一見、
無くもがな?なエピソードは、
こう閉じられる。

「生きている限り、
バッドエンドはない。
僕達はまだ途中だ。
これから続きをやるのだ。」

ハッピーエンドではなかったが、
バッドエンドでもない!
ことに意味があるのだろう。

最後の無頼派・神谷に共感できるか?
独特の拘りが伝わり切るかどうか?
でこの小説の評価(好き嫌い)は
分かれると思う。


苦労人 又吉さんは、
なかなかのリアリストと見た。


蛇足ながら、
予想通り、
タイプ6の人の小説に思えて仕方ないのだが。

6の両価性が至るところに溢れている。
服従と反抗、
感嘆と卑下。
相反する感情の描写。

人の自分に対する態度を
試したくなる動機が伺える。

自分が深く信じる個人(師匠)や、
お笑いというムーブメントに
対して息苦しくなるくらい献身的で。

他人を疑い、
自分を疑う。
結果、疑いそのものを疑う癖。
二重の認知、知的な疑い。
(6の三段論法)

面白かったのは、
登場する女性が理想的過ぎて、
記号化されてるところ。
神谷の二人の女、
真樹さんも、由貴さんも
生身の女ではないような。

次回作に期待。

追記:
主人公徳永のモノローグは、
又吉自身の叫びにも思える。

「僕は徹底的な異端にはなりきれない。
その反対に器用にも立ち回れない。
その不器用さを誇ることも出来ない。
嘘を吐くことは男児としてみっともないからだ。

知っている。
そんな陳腐な自尊心こそみっともない
などという平凡な言葉は何度も聞いてきた。
でも、無理なのだ」


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