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<インプラント専門医が解説>歯医者にインプラント治療を断られる場合とは?

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1.今どき当たり前のインプラント治療…どこの歯医者でも治療は受けられる?

 

 歯周病やむし歯、怪我などにより歯を失った場合に、噛み合わせを回復させる方法の一つにインプラント(=人工歯根)治療があります。

 今どきインプラントを知らない方なんていないかもしれませんね。入れ歯はハッキリ申し上げて患者さんからは人気がありません。硬い物が噛めないし、違和感は凄いし、見た目も…。

 ブリッジという選択もありますが、健康な歯を削るのはちょっと…という方も多いかもしれません。何よりも磨きにくく、汚れが溜まりやすい点が歯周病の患者さんには不向きかもしれません。

 

ブリッジは本当にインプラントより安全か?(リスクの比較)  http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-134060/

 

 そんな患者さんからはインプラント治療が支持されて、20年ほど前から一般化してきており、本邦においては年間で約60万本のインプラントが販売され、約30万件のインプラント植立手術が行われています。歯科診療所の約2割でインプラント治療が受けられるとされています。

 

 逆に申し上げれば8割の歯医者ではインプラントをやっていないことになりますから、インプラントを行わない歯科医院であれば当然「ウチでは治療出来ません」と言われるケースはあります。

 

 

2.歯科大学でインプラント学の授業が始まったのは、実は最近のこと…

 

 歯学部の授業や実習では10数種類にも及ぶ臨床科目を履修します。
 また、卒業後は臨床研修を経て、半分以上の先生は医局に在籍し、それぞれの専門分野追及していきます。例えば矯正歯科だったり、床義歯(入れ歯)だったり、小児歯科や、口腔外科などです。

 

 私が大学を卒業したのは平成10年…私たちの1つ上の学年から日本歯科大学では「口腔インプラント学」の授業が始まりました。当時、他の大学ではインプラントの授業をやっている所はほとんどなかったと聞いておりますから、現在の40代半ばより年齢が上の先生方は、大学の授業ではインプラントの基礎的な内容を教えてもらっていないんだと思います。

 

 以前は「インプラント」が必修科目ではなかったのですから、勉強したい先生はインプラントメーカーの講習会に参加するなどして、スキルを学ばなければならず、ご苦労されたのだと思います。 

 ですから先生により技量や経験値に差があったり、歯科医院の中でもインプラント治療を行えない先生がいるのはある意味仕方がないことかもしれません。

 

安全・確実なインプラント治療を受けるために http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-53633/

 

3.性格的にインプラントに向いていない患者さんだと断られることも…


 インプラント治療が比較的高額な治療であること、療養上の注意事項を守っていただかないと上手くゆく治療も予後不良となる場合があるために、歯科医院側が「トラブルになりそうな患者さん」と判断した場合は、お互いが不幸にならないために断られることもありえます。

 

 具体的には、歯磨きなどの口腔清掃が十分になされておらず、繰り返しご説明や歯科衛生士によるご指導を行っても改善が見られない場合や、自らお口の状況改善を行おうとする意志が欠けている場合、無断キャンセルが多く、継続的かつ計画的な治療が困難と予想される場合などです。

 

インプラントを長持ちさせるには・・・ http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-145722/ 

 

 インプラントは埋め込んですぐに噛めるわけではありません。埋め込んでから1~2カ月程度は骨と結合するのを待たなければなりません。

 すなわち療養期間が必要なんです。私の患者さんの中で数名ですが、こうした注意事項を守らずに、インプラントがゆるんで抜けてしまった方がいます。

 また、以前のコラムでも申し上げましたが、インプラントはちゃんとお手入れしないと汚れに弱く、「インプラント周囲炎」と呼ばれる天然歯で言うところの歯周病のような状態になってしまうことがあるため、治療を受ける人を選ぶ治療法と言えるかもしれません。

 


4.患者さんの健康状態が思わしくない場合や難症例の場合も断られる場合があります


 一般的に重度の不整脈や心筋梗塞の発作後6か月以内などでは、インプラントに限らず外科的処置自体が禁忌となります。患者さんの安全性を考えたら、コントロールがなされていない糖尿病や、高血圧症もやるべきではありません。ハッキリ言ってインプラントをやっている場合ではありません。

 

 インプラントは顎の骨に埋め込みますから、骨がしっかりしている=十分に厚み・高さ・密度がないと埋め込みようがありません。歯周病の末期になった歯を抜かずに放置するなどして骨ががっつり溶けてしまったケースでは条件が悪くなります。

 骨補填剤という人工材料を用いたり、別の場所から移植骨を採取するなどして、インプラントを埋め込みたい場所の骨を造成したり、骨量を増やす方法もありますが、治療期間が長くなること、治療費用が大幅に増えること、バイ菌が入り込むなどして感染のリスクが増大することなどを覚悟しなければなりません。

 

 インプラント治療は痛いのか?痛みの程度は? http://profile.ne.jp/w/c-118895/

 

 こうなってくると、もはやインプラントは簡単でスマートな治療ではなくなってしまいます。治療担当する歯科医師も必要以上のリスクを負いたくないはずですし、患者さんに責任転嫁されて非難されるのはご免なはずです。

 逆に担当歯科医師が技術的な意味で、「やって差し上げたいけど、自分には無理だ…」と診断し、お断りすることもあります。その場合は患者さんとしては断られたと思わずに、安全性を考慮した結果とお考えいただければと思います。それでもインプラントを希望される方は複数の歯科医師にご相談いただくことをお勧めいたします。

 

 

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