- 堀江 健一
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
- 東京都
- 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー
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花咲舞が黙ってない
「半沢直樹」の原作者・池井戸潤氏の諸説「不祥事」を映像化した、銀行を舞台にした、社会派ドラマです。
社会派ドラマというと、男性向けの硬派な印象に思えますが、主人公花咲舞(演・杏さん)が、会社にはびこる理不尽な出来事を公にし、苦汁を飲んで苦しんできた同じ銀行の社員達の無念を晴らしていく、と言う痛快な内容です。
シーズン2なので、前作からのファンの方も、多いことでしょう。
私は、この、シーズンから見出しました。
舞さんは銀行の臨店班という部署に勤めています。
臨店班と言うのは各支店の事務部門・窓口業務を監査し、実際に仕事ぶりを見て、改善できる事があれば指導したり、支援したりする部署のようです。
ドラマでは、「たかが臨店班の人間に、何が出来る?!」
とさげすんだ言われようをしているので、この臨店班の部員達自体、理不尽に苦汁を飲まされているのだろうと思われます。
第一話では、日本橋支店の支店長が、高圧的な態度で、逆らえない部下達を脅し、本当は元本の保障など出来ない「投資信託」を、顧客に「元本は保証しますから」と嘘をついて契約を取って来るように、強要します。
顧客が「損をした。元本を保証してくれると言ったじゃないか!」と訴えてきたら、責任は部下になすりつけ、その部下を左遷してしまったり、辞職に追い込むという、卑劣な行為で、自分の成績だけは良い成績をあげている支店長の悪事を暴くべく、舞ちゃんが立ち上がります。
渉外課の北原有里(演・片瀬那奈さん)も、そんな支店長の手先に使われ、事が公になった途端、辞職に追い込まれた犠牲者の一人です。
話を聞いて、黙っていられなくなった舞ちゃんは、他の日本橋支店の社員達に、支店長の実態を暴くべく、聞き込みをしますが、上には逆らえない社員達は何も話してはくれません。
そして北原さんの辞職当日の朝礼の真っ最中、舞ちゃんが、辞職に対して「待った」を掛けます。
社員一同見守る中、すでに銀行を追いやられた犠牲者達の証言を、まるで水戸黄門さまの印籠のごとく突きつけ、不正を暴くと、ついに黙っていられなくなった他の現職銀行員達も
「支店長に、こんな不正を強要された」
と証言し始め、ついに悪事が日の本に晒されます。
予断ですが、今回、舞ちゃんの勇気にほだされ、真実を証言する銀行マンを演じたのは、サモアリナンズという劇団員の小松和重さんで、劇団立ち上げのころから私はファンなので、「おぉ小松ちゃん、がんばってるな!」と嬉しくなりました。
ちょくちょく脇役でテレビでも見かけるのですが、すごく個性的なコメディアンでもある役者さんなので、どこかでもっとブレークして欲しいものです。
さて、大手銀行で、こんな詐欺まがいの不正が行われる事があるのかどうかは、良く分からないのですが、なんだかわからない理由で、理不尽に社員が犠牲になる事は、色んなところであることでしょう。
社会人で、ウツになってカウンセリングに来られる方からは、度々、
「ひでぇ会社だな」
「無茶な職場だな」
と唖然とするような話をよく耳にします。
大抵は、そりゃウツにもなるよな、と慰めずにはいられません。
黙って耐えるしかない。
自分に白羽の矢が立たないように、祈る事しかできない。
仲間が窮地に立たされていても、見て見ぬふりしかできない。
そんな会社の中で、「それでいいんですか!」と立ち上がる主人公は、さながら会社版
「学校のカイダン」
の広瀬すずさんのようです。
ちょうど、今、私の奥さんが派遣社員として勤めている大手システム開発会社も、そんな職場の一つです。
まぁそこでは「不正」が行われているわけではありませんが。
●そもそも仕事の分担が明確でなく、誰が、どこまでやるのか決められていない。
●そんな中、真面目な人ばかりが、抱えている仕事が、一杯一杯になり、もう回らないのが明らかなのに、自分にしわ寄せが来るのが面倒くさいので、誰も手を貸そうとはしてくれない。
●職場に入ってきたのが最近で、教えてもらわなければわからない仕事がたくさんあって、困っているのに誰も教えてくれようとはしない。面倒なのか、尋ねても、知らないふりをされる。
●「今の仕事の流れだと、内容が中途半端なので、こうした方が良いと思います」
なんて助言しようものなら、
「じゃぁあなたがやって」
と本来の仕事の範囲ではない事まで押し付けられてしまう。
だから余計改善した方が良いと思うことでも、見てみぬふりで放置されてしまう。
●仕事を仕切るべき立場の上司でさえ、更に上から過剰に仕事を押し付けられ、下の面倒を見ている余裕がまったくないために、指揮系統が機能していない。
●重要事項のメールを回しても、誰もきちんと見ていないので、伝えた事を誰も把握していない。
そのため、ますます仕事が遅れていく。
●仕事が遅れたりしたら、派遣社員や、協力会社のスタッフに責任がなすられる。
●そのくせ社員と非社員とでは、福利厚生や給料に、かなりな格差がある。
●社員は暇なくせに、面倒な仕事は、全部派遣社員や、協力会社に押し付ける。
どこの会社にも多かれ少なかれあるものでしょう。
快適に仕事がしやすい会社なんてものはないでしょうし、付き合いやすい良い人ばかりが勤めている会社もないでしょう。
以前は、職場がらみの相談をお聞きしていても、
「本人の考え方や、仕事の捉え方に偏りがあり、その考え方が替われば、仕事もしやすくなる」
と思える場合も多くありました。
あるいはもう少し、上司に自己主張して、環境を改善してもらうようにすれば、また仕事も続けられるのではないかと思えるケースもありました。
しかし、どうも最近では、
「もうそんな職場はだめだ。辞めたほうが良いよ」
としか思えない職場が増えてしまっているように感じます。
まぁ辞めるとしても、当然次の就活に関する不安がそこで生じる事になるのですが。
しかし、相談者や、うちの奥さんの考えでは、
「現実は甘くない。そんな環境でも順応していかなければならないのに、適応できない自分がダメなのではないか」
と、自分にダメ出ししてしまって、余計に自分を追い込んでしまう傾向が強いようです。
「こんな職場、誰だってやっていけない」
と合理的に柔軟に判断できる人は、さっさとやめて行きます。
そして
「こんな辛い職場だって、自分のことだけ守って、自分さえ良ければ良いや」
と思えるような人だけが残ったりします。
そんな職場だと、本来思いやりのある人でも、心が死んでいくことになります。
さて、職場の愚痴は、どんな人でもつい言いたくなる、聞いてもらいたくなるものです。
うちの奥さんも、日増しに家に帰ってきてからの愚痴を言う時間が長くなっていきます。
女性同士だと、お互いに愚痴を言ったり、聞いてもらったりすることに慣れている人が多いかも知れません。
が、愚痴を言う方が女性で、聞く側が男性だった場合、
やってしまいがちな過ちがあるので、今日はそれを主に訴えたいと思います。
あなたが、その女性の大切なパートナーだったら、女性の愚痴、と言うか苦言は聞いてあげなければなりません。
話をするだけで、ずいぶん発散されるものです。
「俺に愚痴ったって、現実は何にも変わんないじゃん」
などと思ってはいけませんよ(笑)。
仕事の愚痴に限らず、誠実な男性に限って、女性の愚痴に対して、つい
「こう考えてみれば?」
とか
「こうしてみれば?」
とアドバイス的なことを言ってしまいがちです。
ところが、女性からすると
「別にアドバイスが欲しいわけじゃない」のです。
むしろ、余計なアドバイスをすると、言われた女性の方はイライラしてしまって、返ってストレスになってしまったりするようです。
ただ、その大変さを聞いてもらいたいのです。
共感してもらいたいのです。
「そりゃ酷いね」
「相手の方が悪いよね」
と。
ドラマ
「ラブ理論」
でも紹介されていましたが、そのラブ理論で言うところの
「大変じゃない?理論」です(笑)。
女性と会話中に、女性の話に対して、
「え~っ、それって大変じゃない~?」
と言うと、
「大変なのよ~。わかってくれる?聞いてくれる~?」
と女性が心を開きやすくなって、会話が弾むと言う理論です。
あまり機械的に乱用するのはお勧めできませんが、確かに一理ある対応の仕方だと思います。
ただし、女性側のストレスが、ある一定のレベルを超えてくると、単に共感するだけでは収まらなくなってきます。
深刻さを増すわけです。
あるいは、二人の関係性が深くなるにつれ、表面的な共感だけでは済まなくなります。
こうしたことは、育児に関する女性への対応などでも言えます。
「ミルクをあんまり飲んでくれないのよ」
なんて愚痴に対して、あれこれ旦那さんが
「こうしてみたら良いんじゃない」
などと言うアドバイスは、返って奥様の機嫌を逆撫でしてしまうようです。
「いつも大変だよね。ありがとう」
と感謝を示すか、
「僕に手伝える事があったら、やるから。明日は僕が夕食作るよ」
とか、
自分で出来る範囲の、具体意的な提案をしてみることが大切です。
共感だけにしておくべきなのか?
本当に深刻な状況で、真剣なアドバイスや助けを必要としているのか?
けっこうその見極めは難しいところです。
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このコラムの執筆専門家
- 堀江 健一
- (東京都 / 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)
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2021年公認心理師(国家資格)取得13年間で1万人以上の相談実績を基に、深く人を理解し心のもつれた糸を解きほぐします。恋愛が出来ない、自己否定感、人と接するのが怖い、夫婦間の亀裂など、人間関係全般、アスペルガーの方の社会適応などのご相談。
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