- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
柿渋とは渋柿を発酵させたもので、昔は防虫剤や補強材として用いられていた。袋や傘が赤茶色に塗られている様子を見たことがあると思うが、あれが柿渋の色である。
住宅の木部というと通常、ワックスのようなものを塗装することが多い。ワックスには膜を作るタイプと作らないタイプがあるが、このワックスの代わりに柿渋を塗装する。柿渋はもちろん膜を作らないタイプの塗料なので、木の呼吸を妨げることは無い。木の持つ調湿作用を生かしながら、まったくの天然塗料で塗装するわけであるので、当然シックハウスなどの心配が要らないというわけである。
写真の様子は壁に貼ったシナ合板に柿渋を塗装した例である。こうした合板に柿渋を塗装するとホルムアルデヒドなどの放散を抑えることがわかっている。この家ではセルフビルドで柿渋を塗装した。適度なむらがまた良い味となっている。