なぜ日本の住宅寿命は短い:古いものへの価値観−1 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

森岡 篤
有限会社パルティータ 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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なぜ日本の住宅寿命は短い:古いものへの価値観−1

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家の寿命を科学する
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。


さて、日本の家が建て替えられる主な理由は、住み手の生活の変化に、家の機能が対応できなくなること、ということでした。

欧米の人々の生活も、同じように時代と共に変化しているはずです。
それなのになぜ日本の住宅の寿命は、欧米に比べ極端に短いのでしょうか。

いくつかの理由が、考えられます。
1番目の理由は、古いもの、新しいものに対する価値観の差です。


■ 古いもの、新しいものへの価値観(その1)



欧米人、特にヨーロッパの人は、古いものを大切にします。

各都市に、古い街並みが随所に残っています。
100年も前の画家や作家や音楽家の行動した場所や建物・施設が、そのときのまま残っています。
必ずしも、生家を記念館として、というような特別なことでなく、街の一部が、特に保存運動があったわけでもなく、自然に残っているのです。日本では考えられませんね。
そういう所を訪れるとき、歴史の重みに、感銘を受けます。
住宅の場合でも、彼らは家の機能が満足していれば、新築か中古かは気にしません。
家は、古くなって汚らしくなっても、手入れで生まれかわります。
古い家の手入れは、多くの人が自分で行います。
ペンキ塗り替えや、壁紙貼り替えはもちろん、日本では普通誰でも専門業者に頼むような、大工仕事や設備機器の修理も自分でやります。

ヨーロッパの人は、合理的考え方、早い話がケチで、古くてもちゃんと使えるものを捨てるなんてもったいない、ということもあるのでしょうが、経済原則は別として、古いものに対しての価値観が、日本人とかなり違うのであります。