Dr.倫太郎 1 自分の中の別の自分同士が憎しみ合う時 - 恋愛の悩み・問題 - 専門家プロファイル

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Dr.倫太郎 1 自分の中の別の自分同士が憎しみ合う時

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恋愛心理 自己受容
Dr.倫太郎
精神科医である日野倫太郎(演・堺 雅人さん)の活躍を描く医療ドラマです。

今までも個性的な精神科のドクターや心理療法家が個性的な患者さんやクライエントの抱える問題を解決していく様を描いたドラマは、過去にも
サイコドクター(演・竹之内豊さん)、
Dr.伊良部一郎(演・徳重聡さん)
などあり、人の心の不思議と、サンスペンスあり笑いありと趣向を凝らしたストーリーで、分かりやすく面白く精神疾患のことが描かれていたと思います。

今回のDr.倫太郎では、より深くクライエントと治療者の関係が描かれているようです。

具体的に言えば、良い治療者はクライエントさんが良くなっていくために、親身になるものですが、その親身な気持ちが、

「治療上必要な共感」の範囲で留まるのか?
それとも
「治療の範囲を超えた恋愛感情になってしまうのか?

というところが、一つの大きなドラマのテーマになっているようです。



倫太郎先生は、勤める病院の理事長に連れられて行った料亭で、とある芸者さん、夢乃(演・蒼井優さん)と出会います。

夢乃に初対面なのにお金を貸してくれと頼まれ、戸惑う倫太郎先生ですが、不思議な魅力のある彼女に心を惹かれつつ、精神科医としての洞察からでしょうか、夢乃が心に何か大きな問題を抱えている事を感じ、二人の交流が始まります。

倫太郎先生の信条として「恋愛は、一過性の精神疾患のようなもの」と言うのがあり、恋愛からは一線を引いて消極的な姿勢でいるようです。
ですが、これは実は建前で、先生自身の心の傷から、恋愛を避けたいと思う理由があるようです。



夢乃が抱える心の問題。それは回を追うごとに明らかになるのですが、夢乃がお金(しかも1千万もの大金)を必要としているのは、ギャンブル依存症の母親に頼まれ、外貨取引(FX)で失敗した借金返済の為のお金だったのです。

夢乃の母親(演・高畑淳子さん)も昔芸者をしていたのですが、そのころからギャンブル(麻雀)と男に依存していて、父親とは離婚し、幼い夢乃を部屋から追い出して男を連れこむは、夢乃をほったらかして何日も旅行に出かけるはで、育児放棄のような状態で、要は虐待を受けていたのです。

しかも、大人になってからもそんな母親からの愛情を欲している子供の心を利用して、借金の建替えを要求し、断ろうとすると「お前なんか、産むんじゃなかった」と罵り、金づるとして利用していたのです。
高畑さんのこの性悪の演技がまた上手いこと!


最初はこの高畑さんが者金取りで、夢乃に「金返せ!」と嫌がらせのメールを送っているのかと思いました。(ドラマの演出上、視聴者にそう思わせるようにしていたのです)

その為、夢乃はお客の男性に、半分人をだますようにしてまでお金を用意しなければなりませんでした。

このような過酷な状況のせいで、夢乃は「解離性同一障害(いわゆる多重人格)」
になっている事を、倫太郎先生は見抜きます。


人格の1人目「あきら(夢乃の本名)」=成長が止まってしまったかのような、まだ幼いまま母親の言いなりの気弱な少女

人格の2人目「夢乃」=あきらの心がこれ以上傷付かないようにするため、辛い事、汚ない事を一手に引き受けるために生まれた人格。

多重人格になる原因として、精神的にまだ弱く純粋な主人格を、生きて行く辛さから守るために、「したたかで、暴力的」な別の性格の人格が出来上がるとされています。






解離性同一障害という疾病は、センセーショナルな症状の為、度々ドラマには登場しますね。



日本の精神科医の先生方の間でも、この疾患については、認めない立場を取られている先生方も多いようです。
アメリカでも一時期研究が進み、幼い頃虐待されたと言う記憶自体が、後から作り上げられたニセの記憶だったことが証明されたりしました。

心の問題で、精神科のドクターやカウンセラーに相談しているうちに、
「その心の問題の原因には、何かトラウマになるような出来事があったんじゃないのかい?幼い頃、虐待にあったことは無かったかい?」
なんて話をしていて、いつの間にか
「そう言えば・・・」と、最初は作り話をしてしまい、繰り返し治療の為に話しているうちに、段々それが本当にあった記憶として定着してしまうのだそうです。

特に、若い女性が、ありもしなかった父親からの性的虐待を訴え出し、父親を裁判で訴える例が多発してしまい、社会問題にまでなってしまいました。

今現在の自分が抱えている問題が、「親の虐待のせいだ」と人のせいにしてしまった方が、自分は楽になれるから、そのようなニセの記憶が、あたかも本当にあった事実のように、本人が思いこんでしまうと言うことがあるようです。
ですから本人も意識してウソをついているわけではない所が、人の心の奥深さを物語っている様に思います。


また、私は解離性同一障害ですとドクターに言うと、ドクターもとても自分に注目してくれ、特別に扱ってくれる事となるので、解離性同一障害である演技をする患者がいることが報告されるなどして、その信憑性に疑問が残ると言うのが、主な理由のようです。






私も過去に、解離性同一障害と思われる女性クライエントさんと、師匠であるカウンセラーの先生と共に心療にあたったことがありました。

彼女は夫婦関係があまり良くない生活を送っていましたが、そんな中、たまたま自宅で、旦那さんと他の女性がベッドの上で行為をしている隠し撮りされたビデオを見てしまい、ショックを受け不安定になられてしまいカウンセリングを受けに来られました。

旦那さんがそういう隠し撮りを、後で見て楽しむ趣味があったのですね。

ところが、何度か通われているうちに、日によって、どう見ても同一人物であるにも関わらず年齢も性格も違い、話も食い違う人物が現れることに気付きました。

そうした事が顕著になったため、解離性同一障害を疑い、本人にその話をして、「家にノートを置いて、日記を付けて見るように指示しました。

すると後でそのノートを読み返して見ると、自分にはまるで記憶にない行動をしていることがわかり、それで初めて自分の中に自分の知らない人格がいることを確信したそうです。

後日、そのノートは、主人格と、副人格の「交換日記」のようになり、副人格から指示が書かれていたり、アドバイスや励ましなども受ける事もありました。

やはり虐待を受けていた過去もあったそうで、そのため地方の実家に帰省することもできず、旦那さんとも離婚されましたが、新しい環境で安定した生活を送れるようになるにつれ、あまり人格の移行は少なくなって行ったようです。



幼く、幼いからこそ純粋すぎて現実と折り合いが付けられない人格
と、
ダーティな現実を生きる為に、時には邪悪にもなる人格
が混在している精神世界。


それはあたかも、「天使と悪魔」


誰にでもその様な内面はあるかと思いますが、それはまさに究極的な「表の顔と裏の顔」と呼んでも良いものでしょう。

そして解離性同一障害の場合でも、表の顔(主人格)と裏の顔(副人格)は、一見正反対の価値観(良い⇔悪い・善⇔悪など)や性格をしているので、お互いに批判的で嫌い合っている場合の方が多いようです。
まるで水と油のように境界が混じってはいないのですね。


一般的にも、自分の中で、「良いと思える長所」と「ダメだと思う短所」があり、
「なんで私はこんなダメな面があるのだろう」
「もっとこう考えたり、行動出来たら良いのに」
と悩んでいたりするものです。
でも通常は、どちらの面の自分も「自分である」と認識しているかと思います。


解離性同一障害の場合は、この「どちらも自分である」という認識が無く、まるで他人を批判するように「あいつはどうしてあぁなんだろう、まったく悪いじゃないか」みたいに思ってしまうのですね。
自分を守るために、他人に責任を負わせてしまった方が、まだ楽だったりもする面があるのですね。



解離性同一障害とまで極端ではなくとも、心に問題を抱えてしまっている人の場合、やはり「どちらも自分である」と、ありのままの自分を受け入れることが出来ずに、
まるで他人に対して批判するように、
一方的に人一倍自分に批判的、否定的になってしまう傾向がある方が多いように思います。

時には「お前なんか死んでしまった方が良いんじゃないか!?」
とまで。


解離性同一障害の方も、そうでない方も、自分の中にある様々な価値観や感情を持つ自分を、受け入れて行くことが大切になって来ます。
それが解離した人格を「統合」して行くことになるのですね。


特に解離性同一障害の場合、様々な価値観や感情を持っているそれぞれの自分がいるという認識が無い為、まずそうした別々の価値観や感情を持っている部分があると言う事を知って行く必要があります。
そうした価値観や感情を画用紙に絵や図形で描いていき、図式化して全体像を把握して行く「マッピング」という技法が使われることがあります。



「表の顔と裏の顔」という意味では、解離性同一性障害は大変象徴的な現象のように思われます。

当ブログでも、「表の顔と裏の顔」というテーマはドラマ
「ウロボロス」
「天使と悪魔」
でも書いてきましたので、そうしたテーマの話はそちらのブログで、引き続き扱って行きたいと思います。

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