先進医療特約は必要? - 保険設計・保険見直し全般 - 専門家プロファイル

田中 香津奈
かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
東京都
CFP・社会保険労務士

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対象:保険設計・保険見直し

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先進医療特約は必要?

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かづな先生の新保険ゼミ 04.医療保障の基礎知識

先進医療特約とは、医療保険またがん保険に付加する特約の一種で、厚生労働省によって先進医療として認められた治療技術で、さらに厚生労働省が先進医療を行うことを認めた病院にて治療を受けた場合に、かかる先進医療の技術料を決められた保険金額の範囲で支払うという特約です。最高水準の治療法である先進医療の技術料を保障してくれる保険は、単品では加入できず、医療保険やがん保険の特約として加入することになります。特約保険料は、月々100円前後と割安ですが、「先進医療特約は必要?」を考える上では、先進医療について知ることが大切です。

先進医療とは、一定の治療効果と安全性を国が認定している最先端の医療です。日々新しい医療技術が研究・開発されていますが、申請から承認までの期間が長期化しているため、平成18(2006)年の健康保険法の改正により保険診療との併用が認められる先進医療制度が整いました。

難病などの新しい治療法や手術法は、最初は特定の大学病院などで研究・開発が行われます。
この段階で新技術による治療を受ける場合、公的医療保険の適用は受けられず、すべて患者が自己負担しなければなりません。これを「自由診療」といいます。また毎月健康保険料を支払っていても、国内未承認の薬や治療法を一つでも使ってしまうと、健康保険証は効力がなくなり、その治療に係る診療や検査、入院等の費用も自己負担は3割ではなく、10割負担となります。

ある程度の新治療法が実績をつみ、治療法として確立されてきたと厚生労働省が判断すると先進医療として承認されます。先進医療は、新しい医療技術の出現や、医療に対するニーズの多様化に対応して、先進的な医療技術と一般の保険診療の調整を図る制度です。

先進医療に認められると、その先進医療にかかる技術料以外、たとえば診察料、検査料、投薬料、入院費などは公的医療保険が適用となるため、患者の自己負担はぐっと減ります。
ただし、技術料は医療機関や治療法により異なりますので、高額な出費を覚悟しなくてはならない場合もありますので注意が必要です。
なお、先進医療は、どの病院でも行われているわけではなく、高度な技術を持つ医療スタッフと、質・量ともに十分な施設・設備が必要です。先進医療を取り扱うのは、専門家や関係審議会でこうした条件を満たしていると認められた病院に限られています。病院ごとに取り扱う先進医療の種類が承認されることになっていますので、どこの病院でどんな種類の先進医療を受けられるかを以下のホームページで確認しておくことが大切です。

★先進医療を実施している医療機関の一覧
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

先進医療がどこの病院でも一般的に行われる治療法にまで普及すると、先進医療ではなくなり、通常の治療法と同様に技術料を含めたすべてが公的医療保険の対象となるのです。


 
実際に先進医療はどのくらい費用がかかり、実施されているのでしょうか?
代表的な先進医療の技術をまとめてみます。



命にかかわる病気や治療が難しい病気にかかったら、効果の高い最先端の治療を受けたいと思うものです。しかし、先進医療の費用負担が高額になる場合もあり、貯蓄だけで対応するには、経済的リスクが大きいといえます。

先進医療特約は、三井住友海上きらめき生命(現:三井住友海上あいおい生命)が平成18(2006)年に生保初となる“実損払”タイプの販売を開始しました。医療保険やがん保険の価格競争が激化する中、月々わずかな保険料で、先進医療にかかる技術料を全額保障してくれるという手軽さがうけて、数年のうちに多くの会社が販売し始めました。同じような保障内容に見えても、以下のように各社によってそれぞれに特徴がありますので、比較する際のチェックポイントを解説します。

(1)給付金額

先進医療にかかわる技術料と同額としている会社が多いですが、技術料に応じて基本給付金額の0.2%~100%といった給付倍率を決めている会社や1回当たりの給付額に上限を設ける会社もあります。通算支払限度の上限も各社で取り決めが異なり、2,000万円が最大です。

(2)技術料以外の給付

先進医療に該当する治療は、限られた医療機関でしか受けられないということと、10~40回程度の通院が必要になるため、実際に治療を受けるには交通費や宿泊費が必要になる場合もあります。技術料の支払いとは別に、交通費・宿泊費の実費払いの保障をしたり、5万~15万円程度や給付金の10%といった一時金の保障があるなど、追加給付も見逃せません。

(3)保険期間

保険期間は終身タイプと定期タイプがあります。主契約の医療保険が終身タイプでも、先進医療特約は定期タイプで10年毎など更新する場合がありますので注意が必要です。なお、定期タイプの自動更新できる期間は、最長80歳のもの、終身のもの、など各社で取扱いに差があります。先進医療に該当する治療は随時見直されているため、更新時に保険料設定を修正できるよう、定期タイプが主流になりつつあります。そのため、終身タイプは検討する際のプラスの材料になるでしょう。



ここがポイント!

医療保険の中には、月々100円前後という割安な保険料で、先進医療にかかる技術料を最高2,000万円まで保障する先進医療特約が付けられる商品もあります。命にかかわる病気や難病にかかった際に治療法の選択肢を広げておく、という考え方をベースにすると、適切な金額での医療保険やがん保険の加入につながります。

(2004.11.14公開 2015.5.11更新)  

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