つい信頼してしまいがちな「人によって態度が変わる人」
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周りの人たちと信頼関係を築くのは大事なことですが、これが会社である場合、特に責任が大きい立場にいる経営者や管理者といった人たちが信頼する相手を間違うと、これは大変まずいことになります。
私が見てきた中で、間違えてしまいがちな相手として、「人によって態度が変わる人」ということがあります。要は、自分に対する接し方は好ましいが、その他の人に対しては・・・? というような人です。
この典型的な例として挙げられるのは、「ヒラメ社員」「ごますり社員」と呼ばれる、上司のご機嫌ばかりうかがっているような人です。
こういう人を上司の側から見れば、常に自分に注目し、自分に対して気が利き、いろいろお膳立てをしてくれ、言うことを良く聞いてくれる人というように見えるので、信頼の置ける相手だと思うのは無理もないでしょう。
ただ、こういう人は、自分よりも下、自分よりも弱いと見た者に対して、非常に横柄であったり、強引であったり、高圧的であったりします。例えばお店で食事をしたり、買い物をしたりするときに、店員さんに対して乱暴な言葉づかいであったり、いばった態度を取ったり、最近よく話題になる土下座を強要したりするクレイマーという人も、基本は同じようなことだろうと思います。
会社の中でこういう人物を信頼して仕事を任せてしまうと、部下たちには大した説明もせず、権威や命令で強引に物事を進めようとします。ときには「○○部長の命令だから」などと“虎の威を借る○○”のような行動を取ります。
こんな人は当然部下からの信頼は得られませんが、ここで“威を借られた”ことになる上司自身も、本人のあずかり知らぬところで部下からの信頼を失っています。
信頼する相手を間違っていると、自分が直接手を下していなくても、部下たちの評価としては、「こんなおかしな人を信じている」「人を見る目がない」「現場のことをわかっていない」となります。
自分が主導した事に対する反応であればまだしも、他人の行為で自分の信頼が失われているとしたら、部下が否定的な反応をする理由が自覚できにくくなり、会社や自部門をまとめていく上では大きな障害になります。こういう状況はできるだけ避けたいところです。
責任ある立場であればあるほど、自分が「信頼する相手」を間違ってはいけないと思います。
このコラムの執筆専門家

- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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