このうち、手術と放射線治療は局所療法、つまりある範囲にだけ効力を及ぼすもの。
化学療法は抗がん剤などの化学物質を、点滴や飲み薬という形で、全身に投与するもので、全身療法とよびます。
しかし、ほとんどのがんで完治する為には、局所療法である手術か放射線治療か、どちらかが必要なのです。
日本では、圧倒的に手術に人気があります。
がんの手術は、メスでがん細胞をカラダの中から取り除く治療法です。悪い部分だけを切ろうとすると、取り残す心配があるので、がんの周りの正常組織を含めて切除します。
がん細胞を1つ質問残らず切除できれば、完全に治りますから、治療法としては手術が最も直接的な方法です。
ただしデメリットもあり、正常な部分も含めて切除することになるので、ある程度臓器や身体の機能が落ちることは避けられませんし、日常生活に支障をきたすこともあります。
最近では、早期がんを中心に、内視鏡を使っておなかや胸を開けない手術も、行われるようになっています。
一方、放射線治療は、多くのがんで手術と同じくらいの効果が確認されています。
放射線治療の方法には、カラダの外から放射線をかける「外部放射線治療」がありますが、最近では、重粒子線(炭素などの原子核を加速したもの)や陽子線も用いられています。
外部放射線治療では、ただ台の上に寝ているだけでよく、治療中も痛くもかゆくもありません。
1回の治療時間は、約1分。実際は身体の温度は2000分の1度くらいしか上がらないので、何も感じません。
なぜ2000分の1度というわずかなエネルギーでがんが消えるのでしょうか?
このわずかなエネルギーでもがんのDNA(遺伝子の本体)が切断される為、がん細胞の分裂と増殖がうまくいかなくなるのです。
また、免疫の仕組みが、がん細胞を異物として、認識できるようになることも大きい効果です。
しかし、これらの重粒子線治療や陽子線治療は、今のところ、まだ保険外の先進医療です。
ちなみに、固形がんに対する重粒子線治療は、314万、悪性腫瘍に対する粒子線(陽子線)治療は、
288万もの費用がかかります。
また、これらの最新の治療は、まだ全国に少ないので、遠方の医療機関を選択するケースが少なくありません。
日本人の2人に1人ががんになる時代といわれています。
がん治療は、自分で選ぶ時代がきています。
運悪く、がんになってしまった時に、出来る治療を選べるという点でも、先進医療に対応するがん保険は、検討の価値があるように思います。
参考文書 「がんのひみつ」中川恵一著
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