「いらっしゃいませ。当店では、ナポリ風の厚めのピッツアと、ローマ風の薄めのピッツアの両方がお楽しみ頂けます。」
ある銀座のピッツアが売りのイタリアン。味もサービスも悪くはありません。普通です。
でも、私は、もう一度行きたい気持ちにはなりません。
少なくとも「ピッツア」を食べに行こうという気持ちにはならないのです。
私は、ピッツアが大好きです。
1年に100枚以上食べます。3日か4日に1枚のペースです。
私の仕事先が銀座にあるので、銀座でピッツアを提供している店には、ほぼ全て行ったことがあります。それぞれに特徴があり、ピッツアの生地も、ソースも,チーズも、焼き方も、全然違います。美味しい店もあれば、イマイチの店もあります。
でも、中目黒や恵比寿や六本木に比べれば、ピッツアの専門店がそんなに多いわけではありません。なので、美味いピッツアを出せば、それだけで間違いなく目的来店客を獲得できるはずです。それが、この銀座というマーケットなのです。
しかし、残念ながら、私は、前出の店にはもう行きません。
なぜならば、ナポリ風とローマ風の2種類のまったく違うピッツアを提供しているからなのです。
もちろん、このどちらもが「ムチャクチャ美味い!」と言うレベルならば、また食べに行くかも知れません。しかし、他の多くの店と同じように「普通」なのです。つまり、この店は「専門店」ではなく、「ファミレス」なのです。なので、わざわざピッツアを食べには、もう行きません。
本格的なピッツア専門店では、決してナポリ風の耳の分厚いモチモチのピッツアとローマ風の薄い生地のパリパリのピッツアの両方を提供することはありません。なぜならば、専門店や職人達は、それぞれのピッツアに大きなプライドを持っているからです。
これは、讃岐うどん専門店が、稲庭うどんやきしめんを売らないのと同じです。
天ぷら屋さんが、とんかつを売っていないのと同じなのです。
専門店としては、あたりまえのことなのです。
しかし、この店では、相反する2種類のピッツアを販売しているのです。
よくこのような戦略を行っている理由を「お客様のニーズに応えたから」という店があります。
なるほど、そうかも知れません。きっと、両方食べたいというお客様のニーズには応えているのだと思います。
しかし、ナポリピッツアにこだわっている、頑固なお客様の気持ちは無視しています。
もちろん、ローマピッツアにこだわりを持っているお客様の気持ちもないがしろにしているのです。
ファミリーレストランのように、より多くのお客様のお好みに合うように、たくさんのメニューをそろえるのも「戦略」のひとつですから、それはそれでも構いません。正しい戦略だと思います。
しかし、「専門性」を売りにしている店がそれをやっては行けないのです。
ピッツアは「イタリアン」ではありますが、「ナポリ」と「ローマ」は、全然違うのです。
ターゲット設定と戦略は、店舗運営をして行く中で非常に重要な要素です。
誰に、何を、どの様に期待していただき、それにどう応えることで、また来て頂く店にするのか!
これを、真剣に深く深く考え尽くさないと、「軸」がぶれてしまいます。
たくさんの選択肢があるマーケットの中では、「軸のぶれた店」が選ばれる確率は大きく低下してしまいます。
ああ~もったいない・・・この店には、早くこの大切なことに気がついてもらいたいですね。
<注意>
冒頭のピッツアの写真は、記事本文とは無関係のお店のピッツアです。
ご了承下さいませ。
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