「誤訳はどうやって起こるのか?」続編 - 英語全般 - 専門家プロファイル

伊東 なおみ
ILSランゲージスクール 英語講師および日本語教師
東京都
英語講師および日本語教師

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閲覧数順 2016年12月03日更新

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「誤訳はどうやって起こるのか?」続編

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三日前のブログの続きですが、(特に日本語から英語に翻訳するときの)誤訳はどのようにして起こってしまうのでしょうか?(更新が遅くなってすみません。)


(写真はJapantodayより)

「本日二の丸庭園の滝が、工事に伴い水を流しておりません」のフレーズのほうを考えてみます。

ヒントとして、三日前のブログでは、

①日本語は主語を省略することが多い
②「工事」の意味を英語ではどうとらえるのか

以上二つの事項をあげておきましたが、まずは①についてです。

英語は、主語を使うことが文法上義務に近いものがあり、日本語のように主語を使うことが義務ではない言語とは全く異なる要素を持っています。

日本語は、「主語」というよりも「主題」、つまり「何について話しているのか」のほうを重視しますので、例えば上記のフレーズでは「本日二の丸庭園の滝が」が「主題」になります。

ところが、英語ネイティブの人にとっては、「滝が自ら水を流す」と言う表現には戸惑いを感じる方も多いと思います。水を流しているのは人間ですから、このフレーズの英訳を英語ネイティブが担当していたら、訳はまた違ったものになったはずです。「誰かが(主語)」「今日は水を流していない」、だから滝が流れていないのであって、その誰かがわからないのです。

このように、日本語を英訳するときは主語の捉え方がとても重要になってきますが、この標示の日本語を見る限り「主語」をあぶり出すのは難儀です。日本語自体もとてもわかりにくいですね(流れる(自動詞)/流す(他動詞)を混同しています)^^;日本語から英語に翻訳するときは、まずは主語を明確にして、わかりやすい表現に言い換えてからでないと難しい場合が多いです。

「本日は、工事に伴い、二の丸庭園の滝は流れていません」
「本日は、工事につき、(私どもは)二の丸庭園の滝を流しておりません」


↑このような日本語なら、ある程度日本語がわかる外国の方にとってもわかりやすいのではないかと思います。

次は②についてですが、Japantodayの記事でも指摘されていた通り、「工事」という日本語を辞書で調べると、100%近く"construction"と出てきます。

ですが、英語での"construction"の意味は、" building something new"(何か新しいものを建てること)なので、この標示で言うところの「工事」は"maintenance"に近くなります。maintenanceの意味は、"fixing something that already exits"(すでに存在しているものを直すこと)です。

このように、文法や文型だけではなく、単語の意味自体も異なる言語間ではズレが生じてしまうケースも多々あります。ですので、翻訳するときは、一つ一つの単語の扱いにも気を付けなければなりません。

以上のことから、日本語を英語に翻訳するときは、

①まずは英語に直しやすい文に置き換えてみる:つまり特に主語、そして動詞や目的語などを意識した日本語に書き換えてから英語に翻訳する。この手順をたどると、より自然な訳ができあがるかと思います。

②単語の意味のズレを意識する

以上のことに気をつけると良いと思います。

英語もそうですが、日本語も今では様々な国の人たちがコミュニケーションツールとして使っているので、国際的な場においては、誰にでもわかりやすい話し方、書き方を意識してあげるのがマナーだと思います。


最後になりましたが、Japantodayの英語ネイティブのライターさんの誤訳分析は以下の通りです:


◯Due to maintenance, the waterfall in the outer garden is not flowing today.

◯Today, the waterfall is under maintenance.

×Today is under maintenance.

×Today is under construction.

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