- 小林 裕美子
- ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
この家は私が関わったイタリアの家です。日本とは家の中のスペース配分や
使い方が違いますが、日本でも取り入れたい合理的なディテールもたくさん
あります。こんな家を参考にして、あなたのスペースをイタリア風に優雅に
健康的にリニューアルしてみませんか?
Ⅰ:一人住まいのキャリアウーマンの家
彼女の家はミラノ市の中央に近く、1900年代初頭の石造の建物で美しい 天井のレリーフが印象的です。床面積は約150㎡。 イタリア人は古いものをとても大切に保存、修理して使うので、床もどうしても 使えない部分だけは新しくしますが、古い床にグラインダーをかけて表面を薄く そぎ落としてからワックスをかけて、昔の模様組みを活かしたままのリニューアルです。 そのための費用は、新しい床を作るよりずっと高いのですが、みんな保存の為の 出費は比較的惜しみません。新しいものが好きな日本人から見ると、出費に めげずに古いものを大切にするのは国民性でしょうか? ついでですが、この大変優雅な家で彼女は2年くらい新しい家具を一切買わず、 古い安価な家具のまま不自由な生活をしました。家に費用がかかった事も ありますが、3代使う・・・と言う家具選びは超慎重で、新しい家に住みながら どんな家具が部屋に合うか、本当に必要かを2年かけて決めました。 これもイタリア人の国民性だと思います。
イタリアの家の広い玄関ホールは、一見無駄なスペースのようですが、実はとても 合理的です。お客様を迎え入れたりお送りしたり、コートを預かったり、テーブルを 置いて食前のスプマンテとおつまみで歓談したりする便利な社交場です。 この家は女性の一人住まいなので、時にはお客様を奥まで通さないで活躍する 大切な接客スペースです。それに無駄と思えるようなこの余裕が、この家と彼女の 生活に豊かさと優雅さを添えています。
玄関土間を昔の日本家屋ほどではありませんがちょっとだけ広く取って、 お客様を居間にまで案内しないで玄関で優雅におもてなしすれば、出入り口の 靴脱ぎだけ・・・と言う本当にもったいない使い方しかなかった玄関スペースを 有効利用できます。しかも玄関が家にもう一部屋豊かな余裕の空間を与えるなんて、 試してみたくなりませんか?
玄関スペースに続くエントランスホール床は傷みがひどかったので、既存の繊細な |
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