腸の話 - 心と体の不調全般 - 専門家プロファイル

荒木 健治
自然治癒力研究所 代表
愛知県
心理カウンセラー

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対象:心と体の不調

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
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市原 真二郎
(カイロプラクター)

閲覧数順 2024年04月23日更新

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週刊東洋経済2011年12月10日号の『腸!いい話』を書いた伊藤裕氏(慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授)の話。

 人間の腸は、消化器官の一翼以上の大事な役割を担い、体の調子を決めていることがわかってきたという。この大切な腸をどうすれば鍛えられるのか。

──臓器でいちばん早く老いるのは腸なのですか。

 腸と腎臓が最も早く老いると考えられる。これは、腸と腎臓が最も血液を使うぜいたくな臓器であることに関係している。まさに人は血管とともに老いる。それだけ、豊富な血管で養われている臓器が老いやすい。人は食べることと、排泄することを休むことはできないから、その機能にかかわる臓器が最も老いやすくなる。

──「腸能力」は、現代病といわれる糖尿病に効くそうですね。

 本当によく効く。治療維新といわれるほどの状況が糖尿病治療で起きている。それは意外にも「腸の働き」の増強によるものだ。腸は食物が入ってきたことや吸収されることを即座に感じ取り、インクレチンを分泌して、ほかのいろいろな臓器に指令を出す。

──インクレチン?

 インクレチンは腸のK細胞やL細胞などから分泌されるホルモン。膵臓に対し、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌を促し、逆に血糖を上げるグルカゴンの分泌を減らさせる。インクレチンは、単に分泌の調整をさせるだけでなく、脳に作用して、これ以上食べるな、胃に対しては小腸に食べ物を送り込むのはいったんやめてほしい、と命じたりする。この効能を活用して、インクレチンの類似物質が、気持ちよく血糖コントロールの介助をする優れた薬剤として誕生した。
──それを含めて、腸は大事とあります。
消化管は胃の次に十二指腸があり、続いて空腸、回腸という小腸につながり、人間ではほとんど退化している盲腸、さらに結腸や直腸で構成される大腸へと連なる。小腸は消化のメイン会場だ。小腸の粘膜面には多数のひだがあって、その表面には1ミリメートル足らずの絨毛(じゅうもう)が密集している。小腸を広げるとほぼ200平方メートルになる。テニスコート1面分に相当するほどだ。

──腸内に住む細菌の働きも重要とも。

 実に100兆個にも及ぶ細菌が住み着いている。人体は60兆個の細胞で成り立っているから、実にそれより多い。腸内細菌については、一般の人は乳酸菌飲料の効能で気にしたり、抗生物質を飲んで下痢したりして意識するぐらいで、知識としてはブラックボックスではないか。ところが、100種以上、重さにして1キロ以上の細菌が、人の体に大いにかかわって生きている。
腸内細菌の研究が進み始めたのは1990年代初めだから、まだ20年ぐらいしか経っていない。今や研究テーマの宝庫とみられている。人間は生きていくために何かと共生していく。端的な例が細胞内のミトコンドリアだが、この腸内細菌も同様で、大きな役割を果たしている。アレルギー性の病気もほとんどが関係しているのではと考えられている。

──その「機嫌」次第で病気が発症する?

 腸に圧倒的に多い特殊な免疫グロブリンが発症に介在する。それも腸内細菌が機嫌を悪くして、つまり普通と違う状態になって問題が起こることがだんだんわかってきた。病気にならない免疫力を決めるのに腸が大きな役割を担っていて、免疫グロブリンも半分以上が腸内でできている。また体の神経の半分以上も腸にあり、体のほかの部分の病気にも関係が大いにありそうなのだ。
胃がんの原因の一つピロリ菌の例がわかりやすい。抗生物質でピロリ菌を殺したら確かに胃がんにはならない。そういうタイプの治療法はこれからも増えるだろう。ただ、ピロリ菌が体内にいるのは人にとって何かいいことがあるからかもしれない。ピロリ菌を除菌した後に食道がんが増えているという研究結果もある。

──太らない体質に関係しているとも。

 いくら食べても太らない人がいる。いわゆるやせの大食い。よくいわれる理由は吸収が悪いから。その人の持っている腸内細菌が通常よりエネルギーを吸収できなくさせているのではという見方もある。

──最初の腸内細菌はどこから。

 母親から来ることが多い。いちばん最初にコンタクトしたものが入ってくるから、母乳などだ。それで決まるならば、その人の人生にまた母親由来の部分が大きく作用することになる。これは新しい発見につながるのではないか。
逆にその人の腸内細菌を総入れ替えしようとしても、これがなかなか難しい。他人の腸内細菌に対して拒否反応を示すことはわかっている。それこそ三つ子の魂百までではないが、最初に出た「抗体」をその人は一生引きずることになる。食事の内容で一部は変わっていくが、それは細菌の比率が変わるだけで一変するわけではない。ある意味で自分の体の一部分になってしまっている。

──病気治療への応用は。

 大いなる研究テーマだ。動脈硬化になりにくくする腸内細菌があれば、それを食べることで病気のかかり方に違いが出る。人のゲノムが解明されて、今米国では人が持っている腸内細菌の遺伝子を解明しようと真剣に取り組まれている。あれやこれや新たなメカニズムがわかれば、新しい発想での病気治療法が生まれてくるかもしれない。





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