- 小林 裕美子
- ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
最近はデザインに関心を持つ人がとても多くなって来て、ファッションは
もちろん、家具や照明や装飾、インテリア、食器やカトラリー、フラワー
アレンジメント、テーブルセティング等々、みなさん生活の中のいろいろな
場面で個性的な表現を大切にする様になって来ました。
皆さんの美意識が高くなっていることはデザイナーとして本当に嬉しい事です。
それなのに、一番肝心で高額な買い物の「家」だけは、今だに「車庫付3LDK
東南角の一戸建・・・」とか「駅から3分、交通至便の高層マンションの4LDK・・・」
とか、住宅展示場の「○○○の家」とか、既成の言わば「お仕着せデザイン」の
家の広告にお客さんが集まるのは何故なのでしょうか?
あれだけ細部にこだわる皆さんが、人生で一番大切な毎日の生活
スペースにはっきりした個性と要望を持たないのはとても不思議に思います。
「家」というものが大き過ぎて、自分自身で計画するには荷が重過ぎると
感じられるのでしょうか?
他人から与えられた制限あるスペースの中で如何に個性的な雰囲気を
作り出せるかを楽しむ為でしょうか?
高額商品故に、大きな企業に保証された「家」が安心だからでしょうか?
理由は色々あると思います。
でも人生の中で、自分自身で計画して購入出来る家に住む期間は多分40年位。
その家で過ごせる時間はそんなに長くはありません。
それなら50歳からほんの20~30年の間の生活に、もっと自分の趣味や個性を
取り入れて毎日の生活をその家で楽しみたいと思いませんか?
家自体はボロでも立派でも、古くても新しくても、綺麗でもそうでなくても
構わないのです。そんな事より、御自分がそこで誰と何をしたいかという事が
ちゃんとその家のデザインに反映されている事の方が大切ではないでしょうか。
木工仕事の好きな人が、綺麗過ぎる家の床を傷付けたり汚したりしない様に
気を使ったり、友人との飲み食いの好きな人が上等のテーブルに輪染みを
付けない様に心配したり、犬を可愛がっている人が大理石の床の家に住んで
本当に良いのでしょうか?
家はあなたの大切な人生の楽園であり、最大のパートナーです。
ご自分は本当は家でどんなことをしたいのか?どんな家に住みたいのか?・・・
もっと真剣に考えてみませんか?
古いアパートメントを自分で描いた絵やガラス、本のコレクションで飾った
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