50歳からは人生を楽しむ家づくり  20 - 住宅イメージ - 専門家プロファイル

小林 裕美子
ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所 
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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50歳からは人生を楽しむ家づくり  20

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 ■これからの二世帯住宅

 

 今回は、家を計画しようとする皆さんの現実的な問題として考慮されていると思う、

 二世帯住宅の作り方に関してちょっと別の観点からお話したいと思います。

 

 皆さんが二所帯住宅と言うと、子供の家族と一緒に暮らしたいおじいちゃんおばあちゃん

 の希望をかなえる、又は土地が高額なので自力で新築はちょっと辛いし、両親の家を

 建て直して一緒に住む・・と言う印象がありませんか?

 でもせっかく建てるなら、その作り方についてもっといろいろな可能性を考えて、

 普通に二世帯が1階と2階を分けて住む様な住宅から一歩進んでみませんか。


 ドイツの友人の家はごく普通の家族4人プラス祖母の5人が暮らす、地上3階

 地下1階のドイツでは平均的な一軒家です。1階は玄関と、キッチン、WC、

 庭に続く広々としたリビングダイニング。

 2階はマスターベッドルーム、2個室、1書斎、バスルーム。

 地下は1個室、セラー、WC、裏庭に続く家事室です。

 そして3階は祖母のアパートメントで、ベッドルーム、リビングダイニング、キッチン、

 バスルームです。ここで注目したいのは、高齢の祖母がわざわざ3階に住んで

 毎日階段を上り下りする様にしている事です。それは足の悪い祖母のリハビリの為で、

 この家にエレベーターは有りません。それと彼女は同じ家の中に住んでいますが、

 完全に独立した生活を送っていて、食事も自炊して一人で食べています。

 息子たちの4人家族と食事を共にするのは、イースターやクリスマス、お客様との

 特別の時だけです。でも彼女はお菓子作りがとても得意で、3階から甘い香りが

 漂って来ると家族はたまらずに3階に上がって行って、お菓子を食べたりコーヒーを

 飲んだり一緒に楽しい時間を過ごします。


 リハビリと言えば、ミラノの「高齢の音楽家の為の家」もやはりエレベーターの無い

 3階建の家で、主旨は同じです。両者とも、年寄りがどうにも動けなくなったら1階に

 引っ越させる事で対処し、わざわざ動けるうちは出来るだけ動かなければ暮らせない

 様な家にしています。

 この考え方は今流行のバリアフリーの正反対ですが、それも一理あると思います。

 高齢になったから1階に住む、バリアフリーにする・・・と言うのは高齢者を大切に

 している様で、ある意味まだまだ普通に暮らせるはずの元気な本人の持てる力を

 ダメにしているとも言えます。

 本当に動けなくなった時の対策さえしっかり考えてあれば、健康維持の観点からも

 最初から高齢仕様にする必要はありません。

 また同じ家に住んでいるからと言って、何もかも一緒に生活する事がお互いの

 精神衛生上良いとは言えません。

 新築のせっかくの機会に、親世代子世代どちらにとっても良い形を

 もう一度考えてみては如何でしょうか。


 casa


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