- 前田 紳詞
- 代表取締役
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
新聞を読まない人たち
最近、始めた講義の一つに経済記事の読みこなし方法というのがあります。
新聞を中心にして、記事をただ読むだけでなく、いろんな角度から分析して時事問題に対する自分なりの考えを築くためのポイントを解説しています。
受講生はファイナンシャル・プランナーの資格を持つ方々が大半です。驚くのは、参加者の3割ぐらいが普段新聞を読んでいないことです。
多くの人たちはネットでニュースを読むか、時事問題に関心がない人たちです。
金融や経済に強いと言われるFPでこの比率だと、一般の方はどうでしょうか?
NHK国民生活時間調査では、1995年と2005年で各世代ごとの購読率の比較をしています。
これを見ると30代の男女ともに95年は半分以上、新聞を読んでいたのが2005年には3割以下です。
ちなみに1975年では8割近い人が新聞を読んでいました。
誤報が引き起こした社会不安
今は、情報社会です。かつては国が情報をコントロールして社会に影響を与えていました。
しかし、チベットで暴動があればすぐに全世界に伝わるように情報があらゆる人に瞬時に伝わります。
投資の世界でも
効率的市場仮説理論
というのがあります。[[効率的市場仮説:http://allabout.co.jp/glossary/g_money/w001799.htm]」とは情報社会になると誰もが瞬時にマーケット情報を入手するため割安株が存在しなくなり、全ての株価の動きは日経平均のようなインデックスに近づくという考えです。
分散投資を中心とするポートフォリオ理論や低コストのインデックスに投資するパッシブ運用の基礎になっている考え方です。
インターネットの普及がこういった情報社会を拡大させています。
しかし、韓国ではインターネットの普及が間違った情報を助長させ政権を揺るがす程の大事件になりました。
李明博(イミョンバク)政権が今年アメリカ産牛肉の輸入再開を決定しました。それに対して反政府寄りのテレビ局が
「韓国人の遺伝子はBSE(狂牛病)に対する感染率が90%以上」と報道し、輸入再開の危険性を訴えました。
この内容自体はデータを歪曲して誇張したデタラメであり、新聞やマスメディアで批判されました。
ところが新聞を読まない高校生達がインターネットからこの情報やうわさを信じ込み大規模デモに発展しました。
物価の急激な上昇による政府への不満も重なり、数十万人のデモに膨れ上がり、当初70%以上あった李政権の支持率は10%代にまで低下しています。
こういった社会不安はその国の経済を停滞させます。
普段から時事問題に関心を持ち、新聞やニュースを見ていれば、ここまで大規模な問題にはならなかったでしょう。
投資に時事問題の正しい知識は欠かせない
先日も[[勉強会:]]で今、世界経済で大問題となっている”ファニーメイ”やフレディーマック”という米国住宅資金供給公社の公的資金注入問題について触れましたが、多くの方がこの問題が存在することすら知りませんでした。
投資に関する個人相談を受けていると多くの方が不安を感じています。投資資産が減ったり、今後もずっとこの状況が続くのではないかと考え、投資をやめてしまう人も増えています。
確かに現在はかなり異常な経済状態が続いていますが、人生の中ではごく一部の期間に過ぎません。
これもいずれ正常な状態に戻ります。長期で考えるならば、投資を辞める理由にはなりません。
多くの人は今、どうなっているかが分からないため不安を感じています。
言い換えると
無知が恐怖を生んでいる
状態です。
これを解決するには新聞とかを読んで正しい知識を身に付けることです。
是非、皆さんには1日10分でも良いので、新聞の各紙面をざっと目を通すことをオススメします。