リラックスした時にはコロリン、コロリ~ン♫と、床に背中を着ける様に寝転がる、可愛い仕草を見せてくれるウサギのルビーと一緒に住み始めて9年くらい経ったある日、私は彼の或る変化に気づき始めました。
そう、それは彼が急に老いて来た事です。《゚Д゚》!
いつもは身軽にピョン♪と飛び上がるソファーに、上がり切れずにズレ落ちてしまったのを初めて目撃したその日、私は彼の後ろ足のとても強かったバネが、弱くなり始めた事を感じたのです。
「あぁ、彼は年を取って、いつの間にかおじいちゃんになっているのだなぁ」と・・・。( ; _ ; )
でも足は少しずつ弱って来てはいても、彼はとても元気でしたので、そのまま暫くいつも通りに時は流れて行きました。
そんなある日、私がバレエの衣裳作りの為に生地を裁っている時に、珍しくルビーが私の傍に来て、床に座って作業している私の足に「ねぇ、僕に構って」という感じで何度も手をかけに来るのです。
彼は今までそんな事が一度も無かったので「どうしたのかな???」と思いました。《゚Д゚》!?
その時、私は「彼には珍しく、とても自分に構って欲しがっている」と感じたので、たまたまお休みだった次の日を、私は ☆ルビーday☆ として「衣裳作りも一切しないで、彼の気の済むまでとことん彼に付き合おう!」と決めました。
次の日私は一日中、時間があれば彼の為に極力床に仰向けに横たわりました。
例により、私の脇下に何度ももぐり込んで来ては、私の脇に顔を乗せる彼の頭を、いつもの様に優しくなでてあげる時間で、その日は一日が過ぎたと言っても良いでしょう。(; ;) ♡
そうしてあげたら彼は満足したらしく、次の日からはいつもの様にクールに自由を愛する、気ままなルビーに戻っていました。(^^♪
けれどそれから一週間ほど後に、彼の具合が悪くなり始め、急に弱って行くのが分かりました。
歩く足も日増しに弱って、フラフラになったのです。( ; _ ; )
食欲も落ちて、ケージで休んでいても呼吸が荒く、眠ると言うより目を閉じて何かじっと苦しみに耐えている様に感じました。
そんな彼を見て、私は「彼を病院に連れて行ってあげた方が良いのかな?」と思い始めました。
次の日の朝、私は出かける用事があったので、それを終えて帰宅したら「彼を病院に連れて行こう」と思いました。
固形物は殆ど食べなくなった彼ですが、私が出がけにヨーグルトを彼の口の傍に持って行ってあげたら、珍しく舐めたので、「食べたから今日は大丈夫かな?私が帰るまで、頑張って!」という気持ちで出かけたのです。
そして用事を終えて帰宅した私は、ルビーの様子を真っ先に窺いましたが、彼は朝と同じくケージの中で、何かに耐える様に目をつぶってハッキリとした呼吸をしていました。
所が、私が「これから彼を病院に連れて行こう!」と、心にそう決めた瞬間、彼は突然自分から (私が帰宅して開けておいてあげた) ケージの外に、自力で出て来ました。
「足がこんなに萎えているのに、凄い・・・」と思って見守っていると、彼は突然いつも自分がお気に入りだった、(あの自分で穴を空けた) ダンボールの中にダダダッ!!と、渾身の力を振り絞って走り込みました!
(;_;)!!!
その突然の彼の行動にはとてもビックリしましたが、私は彼がしたい様にさせてあげようと、静かに彼の動向を見つめていました。
するとその数秒後に、そのダンボールの穴から又走り出たかと思うと、今度は (ここもいつも彼がリラックスしていた場所であった) ダイニングテーブルの下に、最後の最後の渾身の力を振り絞る様にして又凄い勢いでダダダダッ!!!と走り込んだのです!(; ;)
私はすぐ彼の傍に駆け寄りましたが、彼はその時に自分からジャンプをして横になり、その途端に身体がピクン!ピクン!と全身痙攣を起こした様になりました。
そんな彼を見守りながら私は、今彼が正しく "死の瞬間" を迎えているのだという事を悟り、「ルビー!今なの? 今なの!? 」と思わず叫んでいたのです。
その状態が何秒間だったのでしょうか?
そうしてそのまま彼の身体は動かなくなり、彼は亡くなったのでした。( ; _ ; )
私は彼の死期が近い事は覚悟はしていましたが、あの日はまさか「今日がそれを迎える日だ」とは思っていませんでした。
私は過去、犬を飼っていた事もあり、最期を看取ってあげた経験がありましたから、"死"というものはどこかに「最後は動けず静かに息を引きとる」というイメージがあったせいでしょうか?
彼はきっと動物の本能で、自分の死期を自分で感じて、そして「今から僕死ぬよ!」という様な覚悟をして男の子らしく勇ましく亡くなった様な気がしてなりません。( ; _ ; )
彼は自分の死に様を、敢えて私の為に見せてくれたのではないか?と思えてしまうのです。☆彡
彼には珍しかった「僕に構って」と思えた行動も、「僕、もうすぐ天国に行くんだよ。だから最後のお別れの時間を作って!」という事だったのかもしれませんね?
そして彼が最後にあの様に渾身の力を振り絞り、最初にダンボールの中に入ったのは、本当は彼は最初はそこを自分の死に場所にしようとしていたのではないか?
(動物は自分の死んだ姿を見せない様にすると、良く聞きますね?)
でもその後に、(本当は苦しかったでしょうに) わざわざそこから最後の力を振り絞ってダイニングテーブルの下まで走ったのは、敢えて私に見える様にと彼が最期の場所に選んでくれたのではないか?
そしてそれが、何か大きな大きなメッセージを私に残す為だった様に思えてならないのです。_(_^_)_
この世に生まれたものは、例外なく必ず死というものを迎えますね。
それも自然の営みの中の一つです。☆彡
その誰もがいつかは必ず迎える死ぬ時の心構えを、彼は敢えて私にお手本で示してくれた様な、そんな気がするのです。
(人は、死ぬ瞬間の心の状態が一番大事だと言われますね)
ウサギなのに、私に"死"というものの尊厳を感じさせてくれる様なドラマティックな彼の亡くなり方を、私は一生忘れる事はないでしょう。(ルビー、ありがとう♡ )
今回は、この様に飼い主の私に最期をちゃんと看取らせてくれて、最期まで飼い主孝行をしてくれた友達のウサギのお話しでございました。
☆_(_☆_)_☆
ひょっとして、彼は次は人間に生まれ変わるかも・・・!?(笑)(^^✿
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年